櫻井海音「俳優は目指そうと思って始めたわけではなかった」舞台「鎌塚氏、羽を伸ばす」【インタビュー】

2022年5月14日 / 08:00

 2011年から定期的に上演している人気舞台シリーズ「鎌塚氏シリーズ」の第6弾となる新作M&Oplaysプロデュース「鎌塚氏、羽を伸ばす」が7月17日から上演される。本作は、「完璧なる執事」として名高い・鎌塚アカシ役でシリーズ第1弾から主演を務める三宅弘城と、ヒロインの綿小路チタル役でシリーズ2度目の出演となる二階堂ふみによる、豪華列車を舞台に繰り広げられるスクリューボールコメディー。今回は、バンド・インナージャーニーのドラマー、俳優、ファッションモデルとして活躍し、本作で綿小路家の庭師見習い真鍋リョウスケを演じる櫻井海音に、舞台初出演や俳優活動への思いなどを聞いた。

櫻井海音 (C)エンタメOVO

-初舞台を迎えての現在の心境は?

 いまだに舞台に立つということに対して実感がないというのが本音です。もちろんどうなるかという不安もありますし、それと同時に絶対に面白くなるだろうという期待感もすごく強いです。舞台に出ることで、新たな自分の芝居の幅を広げられると感じているので楽しみです。

-舞台への出演を決めた理由は?

 1年ぐらい前にお話を頂き、最初はやっぱり不安が大きかったです。だけど、事務所の先輩の二階堂ふみさんが、真鍋役に僕を薦めてくれたと話を聞き、そうやって先輩に薦めていただけたという期待に応えたいという思いと、長く続いているシリーズで、舞台の第一歩を踏み出せるというチャンスを逃さずに何とかものにしたいということで出演を決めさせていただきました。

-本シリーズの印象は?

 二階堂さんが出演されていた第4弾の「鎌塚氏、腹におさめる」をDVDで見させていただいたんですけど、コメディーとしての面白さが強く、皆さんが本気で芝居をしていることによって、この作品は面白くて、届く作品だなと思いました。今までコメディー調の作品に出演したことがあまりなかったですし、役的にもそういうのはなかったので、生でお客さんが笑っていただけるように頑張りたいです。

-三宅さん演じる鎌塚や、二階堂さん演じるチタルの印象は?

 鎌塚はシンプルですけど、見ていて本当に面白いです。チタルは、一見お嬢さま特有の強さがあるけれど、内面はちょっと乙女で弱いところがあるという印象です。三宅さんとはビジュアル撮影でごあいさつさせていただきました。そのときに、三宅さんが「グループ魂」のドラマーということで、ドラムの話もしました。そういう共通の話題があるだけで、これからもコミュニケーションが取りやすくなりそうです。

-作・演出の倉持裕さんとは、会ったときにどのような話をしましたか。

 初舞台に対する話をさせていただきました。映像と舞台の違いについては、どちらでも演じるという点で根本的に変わらないという話をしていただいて、そこは少し不安要素が解けた感じはしました。倉持さんとは、コミュニケーションを取る一環で、お話をさせていただいたんですけど、そういうことを積極的にしてくださる方で、コミュニケーションを取りながら、いろんなことをやっていけそうな印象を受けました。

-俳優を目指そうと思ったきっかけは?

 目指そうと思って始めたわけではなかったんです。コロナ禍の中でバンドのライブ活動ができなくて、それがすごくもどかしくて、個人の仕事を始めようと思ったときに、ちょうどいろんなお仕事を頂けるチャンスがあり、チャレンジしてみたらすごく面白かったんです。志したというよりは、そういう流れの中で、これもやってみたいとやっていくうちに、その面白さや魅力を知っていったという感じです。

-俳優活動をサポートしてくれた人や、アドバイスをくれた人はいましたか。

 演技の勉強としてお芝居のレッスンを受けるときに、先生にはすごく相談していました。その先生がいたから、今こうやって楽しくできているんだろうなと感じているので、先生がいなかったら結構大変だったかもしれないです。

-本格的に役者の活動がスタートして、プレッシャーを感じることはありましたか。

 初めてやることに対して、プレッシャーや、緊張みたいなものは一生感じると思うんです。だけど、やるしかないという気持ちです。やらないと楽しくならないし、やって楽しくなったら、緊張というのは自然に解けてくるものなので、最初はどれだけ緊張や不安があっても、その現場に行ったら、もう後はやるだけと考え過ぎないようにしているのかもしれないです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】レジェンドたちの「朝鮮の旅」たどった写真家の藤本巧さん

2025年9月18日

 朝鮮の文化を近代日本に紹介した民藝運動家の柳宗悦や陶芸家の河井寛次郎。彼らが1930年代に見た朝鮮の風景に憧れ、1970年に韓国の農村を訪れたのが写真家の藤本巧さんだ。以来50年以上にわたり、韓国の人々と文化をフィルムに刻み続けてきた。 … 続きを読む

エマニュエル・クールコル監督「社会的な環境や文化的な背景が違っても、音楽を通して通じ合える領域があるのです」『ファンファーレ!ふたつの音』【インタビュー】

映画2025年9月18日

 世界的なスター指揮者のティボ(バンジャマン・ラべルネ)は、突然白血病を宣告され、ドナーを探す中で、生き別れた弟のジミー(ピエール・ロタン)の存在を知り、彼の隠れた音楽的な才能にも気付く。兄弟でありながらも異なる運命を歩んできた2人。ティボ … 続きを読む

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

 東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

Willfriends

page top