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加害者のルポルタージュは、日本の事件以外にもいろいろ読んでいますが、結局、何で罪を犯したのかが最終的には分からないことが多い。そこはあくまでもミステリアスにしておいた方が、面白いし、リアルだろうと。雅也は、巻き込まれてのめり込んでいきながら、人生自体が影響を受けて変わっていくので、家族を描くことは重要でした。
『凶悪』の時、面会室をどう撮るかは大きな課題でした。あのときは、人物の正面と反対側の正面をカットバックするだけだったんです。それがあったから今回はもう縦横無尽にカメラを動かそうと。光も、強弱をつけたり、壁際を落としたり、雰囲気を出して、ガラスの映り込みもしっかり調整して、使えるものは何でも使おうと(笑)。森田芳光監督の『39 刑法第三十九条』(99)とか是枝裕和監督の『三度目の殺人』(17)とか、面会室のシーンが印象的な映画はけっこうありますけど、特別参考にしたということはないです。いくら見直しても、面会室ってやれることに限界があるので。最後はもうやれることがなくなって、阿部さんに「隣の部屋に入ってみてください」と。あれは現場で思い付いた演出でした。
助監督時代の経験が大きいです。僕は若松プロ出身なのですが、若松孝二さんは独立プロでやっていたのでお金をかけられなかった。なので若松組では雨降らしをやった経験がないですし、クレーンもほとんど使っていない。その後、若松プロを離れてから他の現場で雨の映画的な効果を実感して、これは面白い!と。雨を降らせるだけで、何でもないシーンでもドラマチックになるんです。それを何度も体験したので、ホントは全編雨の映画を撮りたいんですけど、さすがに怒られますから(笑)。
なので、ポイントとしてどこかに雨を入れられるときは入れたいと思い、脚本が出来上がると、脚本には雨が降っているかどうかは書かれていないので、このシークエンスなら雨が降っていてもいいかなとプロデューサーと相談する。このシークエンスだと2回、ここは3回雨降らし隊が出動することになるとか、最初に明確に意識します。ただ雨はもろ刃のつるぎで、悲しいシーンに使い過ぎると逆効果なので、皆とけんけんがくがくやりながら決めています。
黒澤明監督の映画を見ると、雨だけでなく風だったり、あらゆる映画的な効果を使っているので、できることはやっていいんじゃないかと思います。ポン・ジュノ監督も、『パラサイト 半地下の家族』(19)は雨でアカデミー賞を取ったんじゃないかというぐらい、上下の空間を雨で表現している。自然を映画の中に映し込んで画面を作り込んでいく。それは映画の大きな醍醐味(だいごみ)の一つだと思います。僕の場合は、まだまだですけど。
(取材・文/外山真也)
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