「いい意味で、宮藤さんに裏切られました」阿部サダヲ(田畑政治)「最終章はニトロのエンジンを積んでアクセル全開」中村勘九郎(金栗四三)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年10月27日 / 07:00

-そのほか、この作品を通して感じたことは?

阿部 近現代は、大河ドラマであまり扱ってこなかったこともあり、知らないことが多かったです。すごく勉強になったし、もっと知られてもいいんじゃないかな…と。「知らないことは、知らないままでいい」と考えることもあると思いますが、知らないことを知るのは面白いですよね。僕も、東京にオリンピックがやってくるまでの歴史はもちろん、二・二六事件や五・一五事件のことも詳しく知らなかったので、知る楽しさを改めて感じました。

勘九郎 学校の歴史の授業でも、明治以降の近現代は、期末試験ギリギリに駆け足でやってしまいますが、この作品と出会って、今を生きる僕たちが学んでおかなければいけない一番大事な部分ではないかと思いました。

-大河の主役を経験して得たものは?

勘九郎 1年半もの間、1人の人物を演じる機会はそうそうありません。だから、金栗さんと出会えたこと、宮藤さんが作った「いだてん」という物語に出会えたことは大きな財産です。キャストの方々もすごい人たちばかりで、まるで「和製アベンジャーズ」。役者、ミュージシャン、お笑い、落語家…と、本当にすごい人たちとご一緒できたことも財産になりました。また、僕は膝の具合がよくないのですが、走っていると調子がいいんです。歌舞伎の稽古をしていた方が膝にきます。だから、膝のためにも、今後も走り続けるつもりです。フルマラソンにも、どこかでこっそり挑戦しようと思っています(笑)。

阿部 今回は、今までの大河と比べて段違いに出演する役者の数が多かったんです。その中には、役所広司さんなど、なかなかご一緒する機会のない方もいらっしゃったので、そういう方とお芝居できたことは、とてもいい経験になりました。ショーケンさん(故・萩原健一/高橋是清役)とも、ご一緒にお芝居でき、大きな財産になりました。

-第40回以降の最終章に対する抱負を。

阿部 第40回は、終戦から東京オリンピック直前の1963年までを一気に見せるので、改めて「ここから始まる」という雰囲気になると思います。今までの「いだてん」とはまた違った感じで楽しんでいただけるのではないでしょうか。

勘九郎 今までもものすごいエンジンで突っ走ってきましたが、最終章はニトロのエンジンを積んでアクセル全開、という感じでさらに加速していきます。僕も放送が楽しみです。

(取材・文/井上健一)

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