「トクヨさんは、彼女だけで物語が作れるぐらい魅力的な女性です」寺島しのぶ(二階堂トクヨ)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年4月14日 / 20:50

 ストックホルムオリンピックを終えた金栗四三(中村勘九郎)は日本に帰国。時代は明治から大正に移り、世の中には新しい風が吹き始める。その流れの中で、四三の前に新たに姿を見せるのが、東京女子高等師範学校で助教授を務める二階堂トクヨだ。トクヨは今後、男性中心の世の中で女子体育の普及に尽力するなど、日本のスポーツ発展に大きな役割を果たすことになる。演じる寺島しのぶが、トクヨのユニークなキャラクターや演技の舞台裏について語ってくれた。

二階堂トクヨ役の寺島しのぶ

-第14回、二階堂トクヨの初登場シーンはインパクトがありました。

 トクヨさんは元気があって声も大きく、覇気のある女性です。今まで、登場人物は男性が中心で、男性に立ち向かっていくような女性はほとんどいませんでした。その分、インパクトのある存在になるので、初登場の場面は大事にしたいと思っていました。だから、大勢の男性がいる中で、ズバッと意見を言って「なんだ、この人?」と思わせる雰囲気はしっかり出したいなと思っていました。インパクトを与えられたのならうれしいです。

-トクヨは、どんな女性でしょうか。

 とても勝ち気な人です。周囲はほとんど男性という時代に生きていた女性であるにもかかわらず、自分の主張をきちんと持っています。その上、男の人を叱咤(しった)するようなせりふが加わるので、初めのうちは怒鳴ってばかり。ただ、演じるのはとても爽快ですね(笑)。

-トクヨは、女子体育の普及に大きな役割を果たした人ですね。

 今の日本女子体育大学を創立するとともに、女子のオリンピック選手を数多く送り出すなど、歴史を作った女性です。でも、もともとは文学好きな女性で国語の先生になるつもりでした。それが、なぜか赴任した学校で体育の担当にさせられてしまった。それをきっかけに体操に打ち込んだ結果、病弱だった体が丈夫になったことから、男性と同様、女子の教育にも体育を取り入れるべきだ、と大きく考えが変わっていったようです。

-第14回でトクヨは、オリンピックで敗れた金栗四三に厳しい言葉をぶつけましたが、トクヨは四三をどんなふうに見ていたのでしょうか。

 世界に通用するようなことをしなければいけないと考えていたのではないでしょうか。文学少女だったので、いろいろな本を読んだりして、オリンピックに関する知識はあったと思うんです。だから、「オリンピックといえば世界のもの。出る以上は世界に通用することをしなければいけないし、日本の恥をさらすわけにはいかない」という考えを持っていた。にもかかわらず、金栗さんは恥をさらしてしまった。だから「そういうことでは困る」と。トクヨさんも当時の日本人として、そういう誇りは持っていたでしょうから。

-トクヨと恩師の永井道明(杉本哲太)とのやりとりも見どころになりそうですね。

 永井先生はトクヨさんの恩師に当たる人で、第14回では早速、イギリスに留学させてくれました。にもかかわらず、海外でいろいろなものを吸収して帰ってきたトクヨさんから、永井先生は「あなたはもう古い!」と言われてしまうんですね(笑)。最初の頃は、2人でそんなバトルを何度も繰り広げます。師弟なのにそういう関係になるところが面白いな…と。哲太さんとは今まで何度も共演しているので、とてもやりやすく、楽しんで演じています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

安田顕「水上くんの目に“本物”を感じた」水上恒司「安田さんのお芝居に強い影響を受けた」 世界が注目するサスペンスで初共演&ダブル主演「連続ドラマW 怪物」【インタビュー】

ドラマ2025年7月5日

 韓国の百想芸術大賞で作品賞、脚本賞、男性最優秀演技賞の3冠を達成した極上のサスペンス「怪物」。WOWOWが世界で初めてそのリメイクに挑んだ「連続ドラマW 怪物」(全10話)が、7月6日(日)午後10時から放送・配信スタート(第1話・第2話 … 続きを読む

TBS日曜劇場「19番目のカルテ」が7月13日スタート 新米医師・滝野みずき役の小芝風花が作品への思いを語った

ドラマ2025年7月5日

 7月13日(日)にスタートする、松本潤主演の日曜劇場「19番目のカルテ」(TBS 毎週日曜夜9時~9時54分)。原作は富士屋カツヒト氏による連載漫画「19番目のカルテ 徳重晃の問診」 (ゼノンコミックス/コアミックス)。脚本は、「コウノド … 続きを読む

南沙良「人間関係に悩む人たちに寄り添えたら」井樫彩監督「南さんは陽彩役にぴったり」期待の新鋭2人が挑んだ鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』【インタビュー】

映画2025年7月4日

 第42 回吉川英治文学新人賞を受賞した武田綾乃の小説を原作にした鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』が、7月4日公開となる。浪費家の母(河井青葉)に代わってアルバイトで生活を支えながら、奨学金で大学に通う主人公・宮田陽彩が、過酷な境遇を受 … 続きを読む

紅ゆずる、歌舞伎町の女王役に意欲「女王としてのたたずまいや圧倒的な存在感を作っていけたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年7月4日

 2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。  物語の舞台は歌舞 … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】異領域を融合する舞台芸術、演出家イ・インボの挑戦

舞台・ミュージカル2025年7月3日

 グローバルな広がりを見せるKカルチャー。日韓国交正常化60周年を記念し、6月28日に大阪市内で上演された「職人の時間 光と風」は、数ある韓国公演の中でも異彩を放っていた。文化をただ“見せる”のではなく、伝統×現代、職人×芸人、工芸×舞台芸 … 続きを読む

Willfriends

page top