「ストックホルムロケで、とんでもないものが出来上がりました」中村勘九郎(金栗四三)西村武五郎(演出)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年3月10日 / 20:50

 オリンピックの開催地ストックホルムに到着した金栗四三(中村勘九郎)と三島弥彦(生田斗真)が、異国の地で苦しみながらも絆を深めていく姿が描かれた第10回。ここから第13回まで4週にわたり、現地ロケで撮影された“ストックホルム編”が放送される。ここでは、放送に先駆けて行われた第10回、第11回のマスコミ試写会の際、記者会見に出席した中村勘九郎、演出を担当した西村武五郎ディレクターの言葉を届ける。

三島弥彦役の生田斗真(左)と金栗四三役の中村勘九郎

-ストックホルムロケの感想は?

勘九郎 昨年の8月、3週間掛けてストックホルムに行ってきました。100年以上前のオリンピックで実際に使われたスタジアムで撮影しましたが、当時のまま残っている姿を初めて目にしたときは、「ここで撮れるんだ」といううれしさと、「すごいものにしなければ」というプレッシャーで、全身の毛穴が開くような感覚に襲われました。これほど長期の海外ロケは初めての経験でしたが、あれほど濃密な日々を送れたことは、僕にとって大きなプラスになり、今後の自信にもつながりました。

西村 ストックホルム編は、われわれが力を込めて作り上げてきた前半のクライマックスです。金栗さんと三島さんという若い2人が、現地の人とどう交流し、どう戦ったか。それをリアルに表現したいと考え、海外キャストの起用には、それぞれの国でオーディションを行ないました。北欧感を出すため、カメラを国内編より被写界深度の深いものに変え、撮影にもこだわっています。ストレートな青春編として、素直に感動していただけるものになったのではないかと思います。

-第10回では、落ち込む三島を四三が励ましたことをきっかけに、2人の距離がぐっと縮まりましたね。

勘九郎 16歳から負け知らずのとつけむにゃあ(=とんでもない)男、三島天狗があれほどの姿になるというのは、台本を読んだときも衝撃的でした。それと同時に、これがきっかけで、練習相手になったりもするので、三島さんがより近くに感じられた瞬間でもありました。ただ、ストックホルムであまりに濃密な時間を過ごしたため、帰国後にスタジオでホテル内のシーンを撮影した際、三島さんと恋人のように映ってしまい…(苦笑)。「ここはもうちょっと距離があります」と指摘され、改めてシフトチェンジしたことを覚えています(笑)。

-四三と三島の密着ぶりがすごかったですね。

勘九郎 ほぼ台本通りです(笑)。ただ、スランプになって3階の窓から飛び降りようとした三島さんを止める場面は、普通なら「ありがとう」と抱き合って終わるところ。そこに、(大森)安仁子(シャーロット・ケイト・フォックス)が2人の関係を誤解する一幕を加える宮藤(官九郎/脚本)さんは天才だな…と(笑)。

西村 男2人で海外に行き、周りに頼れる人もいない彼らの状況を追体験して行くと、密着していかざるを得ないのかな…という印象はなんとなく受けました(笑)。

勘九郎 だから金栗さん、完全に恋人は三島さんです(笑)。僕がヒロインパートだという自覚もあります(笑)。

-これまで以上に、四三の人間的な部分が表現されていたのも印象的でした。

勘九郎 今まで描かれていなかっただけで、もともと金栗さんにも“肥後もっこす”らしい気質はあったと思うんです。ところが、ストックホルムに行ってみたら、選手は三島さんだけだし、最も頼りにしていた嘉納(治五郎/役所広司)先生も最初はいない。そういう環境でフラストレーションをため込み、ああいうふうに自分を出していかないと、心を保てなかったのではないかと。それほどの不安とプレッシャーと孤独と寂しさの中で戦っていたのでしょう。演じるときは、「この辺まで行っちゃって大丈夫ですか」と何度も相談しましたが、西村さんからは「どんどん出してほしい」と。出来上がったものを見て、その通りだと納得しました。

 
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