「朝ドラとの出会いは運命」母として、女優としての歩みを信じ、重責を担う母親役に挑む 松嶋菜々子(柴田富士子)【「なつぞら」インタビュー】

2019年4月9日 / 17:44

 戦災孤児の奥原なつ(広瀬すず)を引き取り育てる、北海道・十勝で酪農を営む柴田家の母・富士子を演じる松嶋菜々子。私生活でも母となり、「ひまわり」(96)以来、23年ぶりに朝ドラに帰って来た松嶋にとって、前作は女優として生きる決意をさせてくれたという。では、本作にはどんな思いをめぐらせているのだろうか…。

柴田富士子役の松嶋菜々子

-久しぶりの朝ドラの現場はいかがですか。

 スケジュールの過密さに、私もこれをこなしていたなぁ…と懐かしさを覚えています。がむしゃらに走るしかなかった、あのときの必死さがよみがえります(笑)。撮る量が多いので、当時は「朝ドラか、昼ドラか」と言われるぐらいきつかったのですが、これをやると他に怖いものがないぐらい心身が鍛えられるので、すずちゃんも経験値が上がると思います。

-オファーを受けたときのお気持ちは?

 「次に朝ドラに出るなら母親役だね」とスタッフに言われたことがあったので、現実となり光栄で信じられない気分です。朝ドラから始まり、そこから歩んできた約四半世紀の女優人生の一つの区切りになると思いました。

-富士子は優しく、たくましく、なつとの関係に戸惑いながらも、わが子同然に育てようと務める女性ですが、演じる上で心掛けていることはありますか。

 戦争孤児としての試練を背負ったなつが、北海道で培った開拓精神を胸に人生を切り開いていくのがメインストーリーなので、母としては娘に新たな試練を与える必要はなく、愛情を注ぐのが一番だと考えています。その中でも、葛藤や互いに遠慮することもありますが、そこは素直に表現したいですね。そう思えたのは、私も子育てに向き合ってきた経験があるからかもしれません。自分が一生懸命にやってきたことを信じ、富士子に投影して演じています。

-撮影中の印象的なエピソードをお聞かせください。

 富士子がなつに自分の母への思いを語るシーンがあるのですが、「ひまわり」にも似た感じのやりとりがあったことを思い出しました。当時、母親役の夏木マリさんの演技を見て感動したし、なんて重たい役なんだろうと感じたことも覚えています。今、自分がその役回りを担うことは感慨深く、どれだけ表現ができるだろう……と悩みましたが、演じるのは自分でしかないのだから、今のままの私がやればいいと思い取り組みました。

-現場はどのような雰囲気ですか。

 皆さん、朝ドラがどういうものか、また、撮影がいかにきついかを理解しているので、最初から「みんなで仲良く楽しくやりましょう」「家族になりましょう」という感じでした。初めて北海道ロケに行ったときは、みんなで縄跳びをしたり、食事に行ったりもしました。すずちゃんが東京でのシーンを撮って3週間ぶりに柴田家に戻って来たときは、「ほっとする。久しぶりに会えてうれしい」と言ってくれて、私も「体調は大丈夫だった?ちゃんと食べていた?」と本当の母のようになっていました(笑)。

-広瀬さんとは初共演ですが、どのような印象を持たれましたか。

 天性の女優ですね。かわいらしくて、頑張り屋で、安定感もあるので、こちらが支えようなどと余計なことを考える必要はなく、富士子としてなつに全力で向き合っています。

-なつの幼少期を演じる粟野咲莉ちゃんの大人顔負けの演技にも注目が集まっていますね。

 役にピッタリですよね。なつは戦争孤児として苦労したこともあり、少し子どもらしくないところがありますが、咲莉ちゃんも気配りができてとても大人びているので、思わず本当は何歳なんだっけ?と考えてしまい、感心するばかりです(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

川口春奈、高杉真宙「自分や家族、周りの人たちを大事にしようと思うきっかけになったらうれしいです」『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 大腸がんによって24歳で他界した遠藤和(のどか)さんが亡くなる10日前までつづり続けた手記を映画化した『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が、10月2日から全国公開される。本作で、主人公の和と夫の将一を演じた、川口春奈と高杉真 … 続きを読む

木戸大聖「悲しいと思っていてもそれを表情に出せないのが難しかったです」『沖晴くんの涙を殺して』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 余命1年の音楽教師・京香(広瀬アリス)と、喜び以外の感情を失った高校生・沖晴が織りなす、切なくも温かい感動の人生賛歌『沖晴くんの涙を殺して』が10月2日から全国公開される。本作で、訳あり高校生の沖晴を演じた木戸大聖に話を聞いた。 -沖晴の … 続きを読む

小瀧望「ファンの皆さまの声に応え続けたい」 舞台「ロックンロール」では「僕たちの芝居とともに、当時のロックミュージックも楽しんで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月30日

 小瀧望が主演する舞台「ロックンロール」が、11月6日から上演される。本作は、世界的な劇作家トム・ストッパードが祖国チェコスロバキアを舞台に、20年以上にわたる歴史のうねりを描きながら、自由の尊さをうたう物語。愛するロックンロールと母親を守 … 続きを読む

佐津川愛美「酒井監督に惚れました(笑)」念願だった酒井麻衣監督との初タッグ『時給三〇〇円の死神』【インタビュー】

映画2026年9月30日

 10月2日から全国公開となる『時給三〇〇円の死神』は、累計発行部数36万部を突破した藤まるの同名小説を原作にしたファンタジーだ。生きる希望を失った大学生・佐倉真司(西畑大吾)が、謎めいた同級生・花森雪希(福本莉子)に誘われ、この世に未練を … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

page top