「100年前にオリンピックが行われた競技場に立ったとき、『このために一生懸命頑張ってきたんだ』という思いが湧きました」生田斗真(三島弥彦)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年3月17日 / 20:50

 いよいよストックホルムオリンピックが開幕し、日本初のオリンピック選手の1人、三島弥彦は、マラソンの金栗四三(中村勘九郎)に先駆けて短距離競技に出場した。ところが結果は惨敗。最後は棄権という選択をすることとなった。とはいえ、持てる力を出し切ったそのすがすがしい姿に、心打たれた視聴者も多かったはず。第11回で入魂の演技を披露した三島役の生田斗真が、ストックホルムロケの思い出や作品の舞台裏を語ってくれた。

三島弥彦役の生田斗真

-第11回のクライマックス、400メートル走のシーンは素晴らしかったですね。

 今までの撮影で最も苦労したのがこのシーンです。ドキュメンタリータッチで、実際に400メートルを走り、そのまま走り切った後のお芝居に流れていくという撮影で、本当に大変でした。でも、それだけの苦労をして余りあるいいシーンになったと思います。

-最終的に棄権という選択をした三島を演じてみて、どんなことを感じましたか。

 僕も実際にストックホルムに行き、外国の俳優の方と一緒に仕事をさせてもらいましたが、やっぱり皆さん、ものすごく体も大きくて足も速い。もちろん、そういう方を集めているからではあるのですが、外国の方を見慣れていて、触れ合ったことのある現代人の僕ですら、そう感じるわけです。それを考えると、100年前、たった2人で初めて外国を訪れた金栗さんや三島さんはきっと、「とんでもないところに来てしまった」と思ったのではないでしょうか。そのときに味わった敗北感や屈辱は、尋常ではなかっただろうなと…。

-ストックホルムロケの感想は?

 ストックホルムに行かせていただいたことは、何ものにも代え難い貴重な経験でした。100年前、実際にオリンピックが行われたスタジアムに行き、三島さんが走ったトラックを走ることができたわけですから。撮影が始まったのは昨年の春ですが、トレーニングはもっと前から続けていたので、ストックホルムの地に立ち、トラックの土を踏みしめたときは、「このときのために一生懸命頑張ってきたんだ」という思いが心から湧いてきました。それと同時に、実際にオリンピックに出場する選手たちには、僕らには計り知れないプレッシャーや思いがあるんだろうな…ということも実感しました。

-一緒にストックホルムへ行ったことで、実際の三島さんと金栗さんのように、生田さんと中村勘九郎さんの絆も強くなったのでは?

 そうですね。撮影自体が、本当にストックホルムオリンピックに出場したと錯覚するぐらい大規模なものだったので、僕らもどこか、物語の世界に紛れ込んだような気持ちになりました。撮影が終わると毎日のように勘九郎さんと一緒に夕食を取り、空き時間には美術館を回ったり、買い物に出掛けたりしていましたし…。おかげで、僕と勘九郎さんも、三島さんと金栗さんのように強い絆で結ばれたと思っています。今でも、「夢のような時間だった」と2人で話しています。

-撮影以外で印象に残っていることは?

 最も印象に残っているのは、遊園地に行ったときのことです。昼過ぎに撮影が終わったある日、街中に遊園地があったので、勘九郎さんと「行ってみよう」という話になって。スタッフ数人を誘った後、思い切って声を掛けてみたら、竹野内(豊/大森兵蔵役)さんも来てくれたんです。遊園地では、みんなで大きな落下する絶叫マシンに乗ったのですが、動き出したときに隣の勘九郎さんが「怖い、怖い…」と言っている反対側で、竹野内さんがあの美声で「ハッハッハ…」と笑っていて…(笑)。この2人に挟まれた状況が、ものすごく楽しかったです。まさか竹野内さんと一緒に遊園地に行くとは、思ってもいませんでした(笑)。

-それでは改めて、三島弥彦を演じる上で心掛けていることは?

 「痛快男子」と呼ばれる三島さんですが、「痛快」の「痛」は現代的には「イタい」と読むこともできます。そういう意味で、空回りする三島さんの「イタさ」も、ほんの少し香るといいなと思いながら演じています。「痛快さ」と「イタさ」が混在する感じですね。その一方で、お金持ちの上に勉強もスポーツも万能、スーパーマンのように思われがちな三島さんも、実はお兄さんに対する劣等感や母親から認めてもらえない悲しみを秘めている。そういう、みんなと変わらない悩みや孤独感を抱えた人間だということも、重くなり過ぎずに表現できたら…と。

 
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