「勘九郎さんとはずっと一緒にやってきた仲なので、兄弟を演じられることがうれしい」中村獅童(金栗実次)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年2月24日 / 20:50

 オリンピックの参加費用捻出に悩む金栗四三(中村勘九郎)の窮地を救ったのは、熊本の兄・実次だった。地元の資産家に頭を下げて金策に走ってくれた実次や家族、仲間たちの声援を受けた四三は、いよいよ開催地のストックホルムへ旅立つ。金栗家の長としての厳しさと、弟思いの優しさを併せ持つ実次を人間味たっぷりに演じるのは、大河ドラマ「八重の桜」(13)をはじめ、数々の作品で活躍する中村獅童。同じ歌舞伎役者の中村勘九郎と兄弟役で共演した感想、実次役にまつわる意外なエピソードなどを語ってくれた。

金栗実次役の中村獅童

-同じ歌舞伎俳優の中村勘九郎さんと兄弟役で共演した感想は?

 ものすごくうれしいです。勘九郎さんとは新春浅草歌舞伎という若手の公演で10年近く一緒にやってきた仲。亡くなった勘三郎兄さん(十八代目、中村勘三郎/勘九郎の父)にも、僕は息子のようにかわいがっていただきました。ですから、勘九郎さんが大河ドラマの主役を務めるなら、勘三郎兄さんへの思いも含めて、多少なりとも力になれれば…と思いながら演じています。

-間近で見ている勘九郎さんの役作りについては、どんな印象を持っていますか。

 クランクインの前から、歌舞伎の公演が終わった後に走るなど、並々ならぬ意気込みで体作りをしていたことは知っていました。「全身全霊、心を込めて演じる」というのが、勘三郎兄さんの教え。僕らはそう教わってきたので、勘九郎さんも主役の責任をしっかり持って役作りを行い、年代に合わせた四三の変化を細かく表現していると思います。

-実次は弟思いの兄という役ですが、演じてみた感想は?

 勘九郎さんとは一緒に育ってきたので、お芝居をする上でも思い入れが深くなります。それともう一つ。台本を読みながら、「誰かに似ているな…?」と思っていたんです。しばらくして、ふと気付いたのが「うちの親父だ」と(笑)。弟思いという点で、実次さんは父に似たところがあるんです。

-どんな部分でしょうか。

父は小川三喜雄という名で、子どもの頃に歌舞伎を廃業し、銀行で働いていました。ところが、弟の(萬屋)錦之介が東映の映画に出るようになると、父も銀行を辞めて東映に入り、錦之介の映画をプロデュースするようになったんです。錦之介が亡くなったときも、それまで泣いた姿を見たことのなかった父が、人目もはばからずに泣いていました。そういう弟思いの優しい人でした。それに加えて、昔かたぎで真っすぐな性格で、熱いところもある。そんな点も実次さんに似ているな…と。

-四三の活躍を知った実次の思いについては、どう受け止めていますか。

 とても喜んでいますよね。父親を早くに亡くし、自分は一家の長という責任がある中で、自分のできなかったことを弟が実現しているわけですから。これもまた、父を思い出す部分です。

-というと?

 僕が「歌舞伎役者をやりたい」と伝えたとき、父は「好きならやりなさい。ただし、手助けすることはできない」と言っていたんです。だから子役時代は、一度も僕の舞台を見にきたことがありません。そうやって30歳を過ぎた頃、初めて主役を務めさせていただく機会がありました。そのとき、幕が開いたら、真正面にものすごく大きな拍手をしている人がいる。「まだ何もしていないのに…」と思いながら見たら、父でした(笑)。「何もできない」と言いながらも、心配して、陰でいろいろな人に頭を下げてくれたという話も後から聞きました。重ね合わせるつもりはないのですが、台本を読んでいると、どうしてもそういう父の顔が浮かんできます。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

朝ドラ100作目のヒロイン抜てきは最強運のおかげ!「せっかくだから楽しみたい」広瀬すず(奥原なつ)【「なつぞら」インタビュー】

ドラマ2019年3月25日

 連続テレビ小説「なつぞら」は、戦災孤児の奥原なつが、父の戦友に引き取られて北海道・十勝で酪農を手伝いながらたくましく育ち、やがて上京して草創期のアニメ業界で生きていくさまをすがすがしく描く物語。4月1日から放送される、記念すべき朝ドラ10 … 続きを読む

【2.5次元】「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage 田村 心&小林亮太&猪野広樹&北村諒インタビュー

舞台・ミュージカル2019年3月25日

 シリーズ累計発行部数2100万部を超える、集英社『週刊少年ジャンプ』で2014年から連載中の堀越耕平による大人気漫画「僕のヒーローアカデミア」が「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage(以下、ヒロステ)と題して舞台化さ … 続きを読む

【インタビュー】『ダンボ』コリン・ファレル「これなら自分の子どもたちにも見てもらえると思いました」

映画2019年3月25日

 1941年製作のディズニー・アニメ映画『ダンボ』を実写化したファンタジーアドベンチャー『ダンボ』が3月29日から公開される。サーカス団に飼われ、大きな耳を使って空を飛ぶことができるゾウの子どもが、サーカス団の家族の力を借りて引き離された母 … 続きを読む

【映画コラム】黒人がKKKに入団!? うそのような潜入捜査を描いた『ブラック・クランズマン』

映画2019年3月23日

 実際にあったうそのような潜入捜査の様子を、コミカル味を交えながら描いたスパイク・リー監督の『ブラック・クランズマン』が公開された。  舞台は、1970年代半ばの米コロラド州コロラドスプリングス。この町で黒人として初めて刑事になったロン・ス … 続きを読む

【インタビュー】「連続ドラマW 絶叫」尾野真千子「台本を読んで『私もこうなっていたかも…』と思い、ゾクッとしました」

ドラマ2019年3月22日

 3月24日からWOWOWで放送が開始される「連続ドラマW 絶叫」は、貧困や無縁社会、ブラック企業という現代社会の闇に切り込む社会派サスペンス。平凡な家庭に生まれながらも、家族の不幸をきっかけに人生を踏み外して転落、やがて犯罪に手を染めてい … 続きを読む

page top