「隆盛と一緒にいる熊吉を見て、ホッコリしてもらえたら」塚地武雅(熊吉)【「西郷どん」インタビュー】

2018年10月29日 / 14:48

 戊辰戦争後、故郷・薩摩で暮らしていた西郷隆盛(鈴木亮平)は、明治新政府の要請を受け、東京へとやって来た。このとき、隆盛と共に上京したのが、西郷家の使用人・熊吉だ。隆盛の幼少期から仕える熊吉を第1回から演じてきたのは、人気お笑いコンビ、ドランクドラゴンの塚地武雅。1年にわたって間近に見てきた西郷家の印象などを語ってくれた。

熊吉役の塚地武雅

-これまで西郷家を離れたことのなかった熊吉が、ついに東京に出てきました。演じてみた感想は?

 とにかく、楽しくて仕方がなかったです。今まで鹿児島や奄美大島のロケがありましたが、どこにも行ったことがなかったので…。だから、別の土地に行くことになって、僕自身ものすごくウキウキしました(笑)。しかも、明治編に入って服装もメークもかつらも新しくなる。楽しくて、楽しくて…。街中を馬車が走っている様子を見たら、お芝居しようと思わなくても勝手に「うわっ!」となりました(笑)。

-熊吉は第1回から登場している数少ない人物ですね。

 今いるキャストで第1回から出ているのは、僕を含めてほんの数人。でも、一番長くいる割には、何も変わっていなかったんです(笑)。他のみんなは衣装が良くなったり、メークも立派な雰囲気に変わったりしているのに、僕は明治編に入るまでボロボロの衣装一着で、メークも一切変わらない。だから、「年齢不詳」、「あいつは不老不死なのか」、「妖精なのか」といろいろ話題になっていたようです(笑)。

-そんな熊吉にとっての西郷家とは?

 隆盛や他の兄弟たちが外に出ていったり、新しくお嫁さんが嫁いできたりする中、熊吉は外のことは全く知りません。ただ、その分、江戸や京でいろいろなお役目を経て戻ってくる隆盛を、無条件に迎え入れることができる。いくら出世しても、ここに帰ってきたときは、妹に怒られたり、おかしなことを言う僕に突っ込んだりする関係は、子どもの頃から何も変わりませんから。僕たちが田舎に帰って昔の友達に会うように、隆盛にとって西郷家はリセットできる場所。だから、僕自身は「何も変わらずにありたい」という気持ちでやっていました。恐らく、家族を演じたみんながそうだったのではないでしょうか。

-そのために、お芝居で心掛けたことは?

 台本を読むと、隆盛は大きな事件に巻き込まれて疲れて帰ってくる、みたいなことが分かりますが、そういう前後の事情は意識しないようにしていました。外でいろいろなことがあっても、西郷家は西郷家。熊吉にとっては「若さぁ(=隆盛)が帰ってきた」ということでしかない。隆盛が政治の話をしても、こっちは「誰々のところのいもがおいしくて…」みたいな話をするだけ。それが、隆盛にとって安らぎになるのではないかと。

-熊吉とは対照的に、どんどん変わっていく西郷隆盛=鈴木亮平さんをどんなふうにご覧になっていますか。

 西郷隆盛の成長に合わせて、鈴木亮平くん自体が変わっていくんです。時代に合わせて声も次第に低く、穏やかな感じに変わっている。明治編に入ってからは短髪になりましたが、それに加えて、年齢が上がるにつれて髪をすいてみたり、縁をそってみたり…。徹底して西郷隆盛に見えるように作っている。その変化の仕方はすごいなと。その対比で、僕が変わらずにいればいるほど、隆盛の変わり様がより明確に伝わるのかなと思っています。

-大河ドラマ出演は「平清盛」(12)に次いで2度目とのことですが、違いはありますか。

 「平清盛」は途中3カ月ぐらいの出演でしたが、今回は1年を通しての出演。その間、スタッフや演者さんのこだわりを目にして、実在の人物を演じることの責任を痛感しました。実在の人物の場合、子孫の方や、縁のある地域に暮らす方、歴史好きの方などがいて、それぞれが持つその人物に対するイメージがある。演じる上では、それを完全に裏切るわけにもいきません。今回、熊吉の子孫の方から「熊吉はこんな人物で、演じてくれることを喜んでいます」と書かれた長文のメールをいただいたんです。そういう思いを知ると、「やる以上は、子孫の方にも喜んでもらえるように演じなければ」という気持ちも湧いてきましたから。

 
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