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一つ一つのワンカットがこんなに長いんだというぐらい、みんな本当に丁寧に仕上げています。例えば、「すいません。ちょっと待ってください」と言いながら、後ろの方の葉っぱをぬらし始めたりして…。そこまで見えるの? みたいなところまで、すごく丁寧に作り込んでいます。衣装も、平安時代ということもあってすごく鮮やかで、画面もすごくきれいなので、大きな画面で見るのが楽しみだなと思っています。
主演としては、こんなに大人数のキャストが出ている作品に出ることなんて、今後あるのかも分からないですし。一度も共演せず、お会いしないまま、クランクアップしていく方もいらっしゃるので、自分と関わる方はなるべく巻き込んで楽しんでいきたいと思います。座長としてというよりも、人に甘えられるところは甘えて、なるべくみんなを巻き込んで、この作品にみんなで没頭できたらいいなと思います。
隙間風だらけ(笑)。すごく寒そうだなとか、冬は寒かったけど夏は涼しかったのかなと想像したりします。御簾1枚というプライバシーの環境も不思議だなと思いました。平安貴族は好き勝手にどこにでも行けるわけじゃないという、よく分からないルールのある時代だなと思ったり…。でもお金のない人たちには別に関係ない。だったらお金持ちとそうではない人とどちらがいいのだろうと思ったり、いろんな想像をします。同じだなと思ったのは、やっぱり人が好きなうわさ話とか、繰り返し人を好きになっていくこととか、浮いたり沈んだりする感情の起伏も変わらないのかなという感じです。
画面がすごく優しいです。 色使いも、淡いものもあって繊細ですし、着物の色合わせでも、それとそれを組み合わせるんだというのもある。すごく五感に敏感な時代だと思います。目で見るもの、耳に聞こえるものにいかに触れるか。風景の中には人の心を揺さぶるものがいっぱいある。それが歌になって、今度は耳が楽しんでみたいにつながっていく、連鎖していく。今だったら見落としてしまうような小さな幸せを、うまく生かしているなと思います。それが作品として残ったりしているところが見どころ。本当に男性の着物も、すごくきれいなんです。だから、どう見えるんだろうというのが楽しみです。
自分の周りで起きた出来事について、何かを感じることについては、平安時代の人よりも、現代の人の方が鈍くなったり、疎くなっているのかもしれません。まひろは、もう笑えるぐらい頑固。そういう人がどんどん言葉を紡いでいって、最後に残った大切なものを探す物語なのかなと感じているので、皆さんにはそれを見届けていただけたらと思います。
(取材・文/田中雄二)
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