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1月7日からNHKで放送開始となる大河ドラマ「光る君へ」。平安時代、千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書き上げた紫式部を主人公に、時の権力者・藤原道長との絆を交えつつ、その波乱の生涯を描いた物語だ。脚本を手掛けるのは、連続テレビ小説「ふたりっ子」(97)、「セカンドバージン」(11)など数々のヒット作を手掛け、「功名が辻」(06)以来、二度目の大河ドラマ登板となる大石静。放送開始を前に、作品に込めた思いを語ってくれた。
確かな一次史料が残っているわけではありませんが、紫式部は幼い頃に母を亡くし、暮らしは貧しかったらしいといわれています。そこから、生きることは不条理に苛まれ続けることだと知ってしまった女性なんだろうなと。だから、何事にも真正面から一生懸命に向き合う、というわけではなく、「人生はそんなにうまくいくわけがない」とやや斜に構えたようなものの見方で少女期を過ごしている。そういう沸々としたものが、文学者としての萌芽(ほうが)になり、やがてそれを表現してみたいという意欲が湧いてくる…。そんな生きざまをイメージしました。
しかも、当時の一般的な貴族の女性たちのように「誰かの妻になりたい」と考えるだけではなく、「自分の使命は何なのか」と疑問を抱くほど、知的レベルも高かったのではないかと思います。同時に、藤原道長に思いを寄せ、道長から何度も「自分の妻になれ」と言われながらも、正妻だけでなく、妾もたくさんいる道長に嫁いで不自由な思いをしたくないと断り続ける自我の強さも持っている。「まひろ」という名は、1年間通して使い続ける上で、耳に心地よい音ということを考慮して決めました。
吉高さんは、非常に明るく朗らかな方ですが、ふとした時に見せるもの悲しさや寂しさといった陰のある表情もとても魅力的です。そんなふうに陽と陰が同居しているところが、複雑な内面を持つ紫式部にぴったりだなと。彼女とはこれまで何度かご一緒しているので、今回改めて「こうしてほしい」とお願いしたことはありませんが、ご本人が伸び伸びやっていただければ、私が期待した通りの紫式部になると思っています。
横暴な政治を行っていたといわれる藤原氏ですが、それは「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の かけたることも なしと思へば」という道長の有名な歌、一首が理由です。でも、時代考証の倉本一宏先生によれば、決してそうではなかったと。災害時には、庶民のために助け小屋を作ったり、話し合いによって物ごとを解決し、400年にわたって大きな戦のない世を作ったりと、現代にも通じるレベルの高い政治を行っていたんだそうです。
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