吉岡里帆「一つの映画やドラマで人生が変わることもある」 脚本家役を演じたミステリーの現場で感じたその力「連続ドラマW 湊かなえ『落日』」【インタビュー】

2023年9月9日 / 09:41

-日頃から仕事で関わる脚本家役を演じてみて、印象的だったことは?

 黒木瞳さん演じる大物脚本家・大畠凜子(真尋の師匠)とのやりとり中に、「今は他人のリアルをネットで簡単に見られる時代だから。頭の中で考えただけの物語じゃ追い付かなくなってる。自分の足を使って目で確かめて、リアルに追いついて、そこからさらに想像力で追い越す。そうしなきゃ次の10年は生き残れない」という話が出てくるんです。ただ面白おかしく脚色したり、勝手な想像だけで色をつけたりするのではなく、今という時代や題材に向き合い、きちんと取材して、真実を理解した上で、そこに必要な物語をつけ、脚本にしていく。それが、私達が目指すべきことではないの…? そんなアドバイスを真尋がもらうシーンは、すごく印象的でした。

-映画製作にかかわる人にとっては、大事なことかもしれませんね。さらに本作では、真尋や香だけでなく、ピアニストの真尋の姉など、エンターテインメントやアートといった文化的なものに関わる人物が他にも登場し、その魅力と怖さが描かれているのも印象的です。

 夢に対して真摯に向き合えば向き合うほど、狂気じみていく紙一重な様子は、とても湊先生らしいですよね。香が「事件を絶対に映画化したい」という執着も、美しさと強さの裏に狂気が潜んでいる感じがして。香が、真尋の過去を掘り下げていくシーンでは、何があったのか知りたい、という欲求を北川さんがまっすぐにぶつけてきたんです。そこでは、人に踏み込まれる瞬間の怖さを感じて、演じていてもドキドキしました。

-そのお芝居は見どころになりそうですね。

 とても見応えのあるシーンになったと思います。ただ今回は、湊先生の作品の中でも、希望をより濃く描いていると感じていたんです。湊先生が現場を見学に来てくださったとき、それをお伝えしたら、「そこさえ押さえていれば、自由に演じていただいて結構です」とおっしゃってくださって。だから、「希望」は大事にしたいと思っていました。

「連続ドラマW 湊かなえ『落日』」


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)  真面目な税務署員の熊沢二郎(内野聖陽)は、天才詐欺師の氷室マコト(岡田将生)の巧妙な詐欺に引っかかり大金をだまし取られてしまう。  熊沢は、親友で刑事の八木(皆川猿時)の … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

-なるほど。では、公演が12月ということで、2024年の振り返りをお願いします。  今年は自分で掲げた目標に対しての成果も感じることができたので、充実した1年でした。これまではどこかで「やらされている」という感覚があって、自分の意志でできた … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

  Q:合格に向けて、どのように勉強されたか教えてください。 早川 中3の2月に、予備試験を目指すぞって決めてからは、興味の赴くままがむしゃらに勉強してました。平日は、学校から帰ってきて、先ほどお話しした「伊藤塾」のオンライン授業を夜10時 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

-お2人は今回初共演となりますが、現場での様子はいかがでしたか。 八村 「シェアハウス対ユウ」という構図がある中で、共演者の方々とどういう距離感で接すればいいのか、だいぶ悩みました。でも僕は、役のために距離を取ったりすることが苦手なんです。 … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

Willfriends

page top