「らんまん」長田育恵 「自分で選んだ人生を咲き誇ろうとする人たちの物語」脚本家が語る創作の舞台裏【インタビュー】

2023年9月7日 / 08:15

連続テレビ小説「らんまん」の脚本家 長田育恵さん 写真提供:NHK

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「らんまん」。“日本の植物分類学の父”牧野富太郎博士をモデルに、愛する植物のため、明治から昭和へと激動の時代をいちずに突き進む主人公・槙野万太郎(神木隆之介)の波瀾(はらん)万丈な生涯を描く物語だ。物語は終盤に差し掛かりつつあるが、全話の執筆を終えた脚本家の長田育恵が、作品に込めた思いや創作の舞台裏を語ってくれた。

-最終回まで脚本を書き上げた今のお気持ちは?

 ほっとした、の一言に尽きます。チームの皆さんの思いを裏切ることなく、物語を最後まで無事に紡ぐことができたのではないかと、胸をなでおろしているところです。

-朝ドラの脚本に初挑戦した感想は?

 これまで、連続ドラマは5話までしか書いたことがなかったので、一度始まったら最後まで降りられない朝ドラは、ひたすら締め切りに追われ、視聴者からさまざまな反応が返って来るプレッシャーが常にありました。とはいえ、執筆に取り組むうち、私自身、登場人物を生み出し、その行方を考えることが何より好きなので、それを丁寧にやれるこの仕事は、自分に向いているのではないかと感じていきました。おかげで、他では得られない貴重な経験ができました。

-主人公・槙野万太郎とモデルになった牧野富太郎さんの違いを教えてください。

 初めから牧野富太郎さんの偉人伝にするつもりはなく、槙野万太郎という、草花を生涯愛した人物を広場に見立て、その下に集まる人々や人間関係、ネットワーク、それぞれの人生が咲き誇るさまを描こうと考えていました。そういう意味では、富太郎さんがモデルではありますが、全く違う人物像になっています。

 

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