寛一郎「壮亮さんのすごさを間近で感じた」池松壮亮「親戚の子と共演するような感じ」最注目の2人が時代劇で初共演『せかいのおきく』【インタビュー】

2023年4月27日 / 17:36

-その一方で、雪や雨など自然の風景がモノクロ映像の中で美しく表現されていました。その中で特に印象的だったシーンは?

寛一郎 僕が印象に残ったのは、おきくと中次が思いを伝え合う雪のシーンです。真冬に撮ったので、めちゃくちゃ寒かったんですけど、今回、プロデューサーも務めた美術の原田満生さんが、素晴らしい雪を降らせてくれて。モノクロスタンダードの映像にこれ以上ないぐらいの雪映えをしていました。

池松 好きなシーンばかりです。冒頭の雨のシーンが素晴らしいです。僕が初めて撮影したのが、小舟で中次と一緒に“うんち”を運びながら川を下るシーンなんですが、空と人と水があるだけ。何でもないシーンですが、ポエジーでとても美しい。現代のモノクロ映画を日本映画で、という長らく願っていた夢がかないました。

-現代にも通じるテーマを扱った本作を通じて、時代劇の魅力を改めて感じた部分はありますか。

池松 これまではむしろ、この国の時代劇があまり好みじゃなかったんです。古典を愛する気持ちはあります。本当は好きなんですが、時代劇というフォーマットを使って、何を語るために時代劇に立ち返るのかということがすっぽり抜け落ちた作品が多かったように思います。それでは懐古趣味にしかなりませんし、今回、あの時代にあった汚穢屋の姿を通して、今この世界に通じるもの、これからを語るための時代劇という発想が素晴らしいと思いました。そういった企画の発想、変換で、時代劇という過去、またはSFという未来劇には物語の可能性がたくさんあると思います。

寛一郎 壮亮さんの話と重複するかもしれませんが、文化と今日をつなぐのが、映画の良さであり、フィクションにできることだと思うんです。この作品では今日に通じるそういうものを、うまく時代劇にできたんじゃないかと思います。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)2023 FANTASIA

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「ボブの歌に込められたメッセージと愛を感じてほしいと思います」『ボブ・マーリー:ONE LOVE』レイナルド・マーカス・グリーン監督【インタビュー】

映画2024年5月21日

 ジャマイカが生んだ伝説のレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーの波瀾(はらん)万丈な生涯を映画化した『ボブ・マーリー:ONE LOVE』が、5月17日から全国公開された。本作のプロモーションのために来日したレイナルド・マーカス・グリーン監督 … 続きを読む

上白石萌歌&森田想&加藤拓也監督「8人の個人的なお話を楽しんでもらえたら」 ドラマ「滅相も無い」【インタビュー】

ドラマ2024年5月21日

 突如7つの巨大な“穴”が現れた日本を舞台に、穴に入るか悩む8人の男女が会合に参加し、お互いの人生を語り合うドラマ「滅相も無い」(MBS/TBSドラマイズム)が放送中だ。本作はドラマ「きれいのくに」(2021年)や映画『ほつれる』(2023 … 続きを読む

松本穂香&犬飼貴丈&関口メンディー ドラマ「95」主演の高橋海人は「唯一無二の魅力的な人」【インタビュー】

ドラマ2024年5月20日

 高橋海人が主演するドラマ「95」がテレ東系で放送中だ。早見和真氏の青春小説が原作の本作は、大人の作った社会の仕組みにあらがい、大切なものを守りながら1995年の渋谷をがむしゃらに駆け抜けた高校生たちの熱き青春群像劇。  本作で高橋が演じる … 続きを読む

市村優汰、憧れは父・市村正親のような俳優 「プリンス・オブ・マーメイド」で舞台初主演に「死ぬ気で頑張る」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年5月19日

 俳優・市村正親の長男で、ミュージカル「オリバー!」で本格俳優デビューを果たした市村優汰が、8月8日から上演される海の音楽劇「プリンス・オブ・マーメイド~海と人がともに生きる~」で舞台初主演を果たす。市村が演じるのは、人魚の王子タリク役。石 … 続きを読む

「光る君へ」第十九回「放たれた矢」華やかな宮廷劇の傍らで巧みに描かれたまひろの父の出世劇【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年5月18日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。5月12日に放送された第十九回「放たれた矢」では、権力の頂点に立った藤原道長(柄本佑)の活躍を軸に、藤原伊周(三浦翔平)・隆家(竜星涼)兄弟との確執や、図らずも実現した主人公まひろ(吉高由里子) … 続きを読む

Willfriends

page top