唐沢寿明「俳優冥利に尽きる作品」内田有紀「みんなが唐沢さんに道場破りに来るような現場」期待のサスペンス大作に手応え十分「連続ドラマW フィクサー」【インタビュー】

2023年4月21日 / 08:00

 ある夜、総理大臣を乗せた自動車が事故に遭い、運転手が死亡する。総理が意識不明の重体となったことで、権力の座を狙う政治家、真相を追う刑事やジャーナリストたちが動き出す。その中心で暗躍するのは、刑務所帰りの謎の男、設楽拳一。関係者たちを手玉に取る拳一の目的、そして事件の裏に隠された真相とは…。4月23日からWOWOWで放送・配信スタート(第1話無料)となる「連続ドラマW フィクサー」は、3Seasonで全15話にわたって展開されるノンストップサスペンス大作だ。超豪華キャストが集結した本作の主人公・設楽を演じる唐沢寿明と報道番組キャスター・沢村玲子役の内田有紀が、撮影の舞台裏やドラマの見どころを語ってくれた。

唐沢寿明(左)と内田有紀

-脚本を手掛けたのは、唐沢さん主演の「白い巨塔」(03~04)をはじめ、数々のヒット作を送り出してきた井上由美子さんです。脚本を読んだときの感想は?

唐沢 井上さんとは今まで何本もやっていて、それぞれ素晴らしいんですけど、その中でも今回は特に「来たな!」という感じです。こういう作品に出られてよかったなと、つくづく思います。

内田 台本を読む手が止まりませんでした。たくさんの登場人物一人一人がみずみずしく描かれていたので、「全員に命が吹き込まれている台本だな」と感じました。最後までワクワクしながら一気に読んでしまい、とても刺激的な経験となりました。

唐沢 登場人物それぞれのバックグラウンドがちゃんと書かれていて、俗に「脇」と言われる人たちが自分の足で立っている。だから、主役だけじゃなく、みんなやりがいがあるんじゃないかな。逆に自分はあまり前に出なくていい感じで。拳一が言ったことに対して、人が動いたり、状況が変わったり、というようにすごく見応えがあるから。

-唐沢さん演じる設楽がさまざまな人物と関わることで、ちりばめられた謎や思惑が少しずつ明らかになっていく展開はとてもスリリングです。

唐沢 拳一は語り部みたいなもので、いっそナレーションでもよかったんじゃないかと思うぐらいで(笑)。皆さんがこの作品の作風を分かっていて、脚本も十分に読み込んでいるから、顔つきも違いますよね。藤木(直人/総理大臣首席秘書官・中埜弘輝役)くんもそうだし、要(潤/拳一の秘書兼運転手・丸岡慎之介役)くんなんか、せりふも少なく、拳一の横に立っているか、車を運転しているだけ、みたいな感じなんだけど(笑)、これが本当にいい役で。驚きますよ。こうきたかって。

内田 しびれますよね。

唐沢 最初は分からないんだけど、進んでいくと、「おいおい、いい役じゃん…」って。これが、「俳優冥利(みょうり)に尽きる」ってことじゃないかな。普通は、運転手のバックグラウンドなんて描かれないもの。

内田 監督の西浦(正記)さんが、一人一人のキャラクターをとても丁寧に粒立たせてくださるので、皆さん現場に入ると、自然とその世界観に染まっていくんですよね。もちろん脚本自体も、そういうイメージを駆り立ててくれるように書かれていますし。

-内田さんが演じる沢村玲子も設楽と関わっていきますが、演じてみた手応えは?

内田 唐沢さんとは今回が「初めまして」だったんですが、初日にご一緒させていただいたとき、「面白い役だね。大変だけど、やりがいあるよね」とおっしゃってくださり、撮影現場でもスタッフの皆さんの足並みがそろっていることがよく理解できました。演じる側は常にやりがいのある仕事を求め、その期待に応えたいと思っていますが、役者がどれだけ年齢を重ねどんな経験をしても、それを発揮する機会を与えてくださる方がいないとその思いはかないません。そういう意味でも今回は素晴らしいステージに参加させていただけたので、1日も早く役柄を心になじませたいと思っていました。こうして形になっていく日々を感じ、すごく充実しています。

唐沢 詳しくは言えませんけど、彼女とも面白い展開がいろいろあるんです。でも、こんなに「撮っても撮っても終わらない現場」は本当に久しぶり(笑)。

内田 Season3までありますからね。拳一の部屋のセット撮影は、唐沢さんの道場みたいですよね(笑)。

唐沢 道場なんだ?(笑)

内田 唐沢さんの道場に俳優が道場破りに来る、みたいな感じ(笑)。それを手のひらで転がしていく拳一さんが魅力的で。だけど拳一さん自身も翻弄(ほんろう)されたり、かき乱されたり、いろんなことを経てフィクサーになっていく。その心情の変化も見どころです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『六人の嘘つきな大学生』(11月22日公開)  大手エンターテインメント企業「スピラリンクス」の新卒採用の最終選考に残った6人の就活生への課題は「6人でチームを作り、1カ月後のグループディスカッションに臨むこと」だった。  全員での内定獲得 … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

 ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍する生駒里奈が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで作り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作、梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」に出演する。生駒に … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

 毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送している、ドラマ「モンスター」。趣里演じる主人公・神波亮子は、“高校3年生で司法試験に合格した”人物で、膨大な知識と弁護士として類いまれなる資質を持つ“モンスター弁護士”という設定。しかし今 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

 韓国発の大ヒットWEBコミックを日本で映画化したサスペンスホラー『他人は地獄だ』が、11月15日から公開された。  地方から上京した青年ユウが暮らし始めたシェアハウス「方舟」。そこで出会ったのは、言葉遣いは丁寧だが、得体のしれない青年キリ … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

Willfriends

page top