「鎌倉殿の13人」クライマックスへ! 「義時は危険な存在に」柿澤勇人(源実朝)【「鎌倉殿の13人」インタビュー】

2022年10月16日 / 12:00

-『金槐和歌集』といえば、実朝は歌人としても有名ですね。

 和歌に関しては僕も素人ですが、いろいろな本を読み、芸能指導の先生にお話を伺ってみると、実朝は、自分の感情や世の動きを何げない日常の風景に託して歌を詠むことがうまかったそうです。例えば、舟をこぐ漁師を見て、「この平和がずっと続いてほしい」とか、庭先の梅を見て、「自分がいなくなっても忘れないでおくれ」といった感じで。派手か地味かといったら、すごく地味で素朴。父の頼朝や兄の頼家と同じ血を引いているとは思えないぐらい純朴で、ピュアといってもいいかもしれません。そういう性格が歌にも表れているんだなと。これから歌を詠むシーンも出てくるので、楽しみにしていてください。

-当初、「気が弱い」、「おとなしすぎる」といわれながらも、次第に優れた才能を発揮していく政治家としての実朝についてはいかがでしょうか。

 結果的に失敗に終わった宋に渡る船を作った史実について、今までは「気まぐれで船を作って失敗した愚かな将軍」といわれてきました。でも、最新の研究によれば、「国を豊かにする」という目的を持ち、日宋貿易を手始めに、世界と渡り合うことを考えていたともいわれています。自分の家や土地を守ることしか考えず、北条だ、比企だと、家同士でいがみ合う身勝手な御家人たちに囲まれながらも、日本や鎌倉の現状を客観的に見つめ、自分の非力さを謙虚に受け止めた上で、京の後鳥羽上皇と手を組み、自分の理想を実現しようともしていた。そう考えると、実朝はとても先進的な人だったのではないかと思います。

-実朝にとってもう一人重要な人物に、将軍という立場を離れて率直に話ができる和田義盛がいますね。

 以前、義盛が実朝のことを「武衛」と呼ぼうとしたことがありましたが、あれが布石となって、さらに2人の関係が発展していくシーンもあります。これは余談ですが、実朝と義盛の関係って、シェークスピアの『ヘンリー四世』に出てくるハル王子とフォルスタッフにそっくりなんですよね。生真面目で若いハル王子に、大酒飲みで豪快なフォルスタッフが、ちょっと悪い遊びを教える、という感じで。三谷さんがその2人を意識して実朝と義盛を描かれたとおっしゃっていて、僕も(義盛役の横田)栄司さんもすぐに理解ができました。

-実朝と和田義盛の関係においては今後、和田合戦という大きな事件が待っていますが…。

 関係が深まっていく分、和田合戦で義盛を失うのは、実朝にとってとてもつらく悲しい出来事になります。栄司さんとは、これまでも何度か舞台でご一緒させていただき、兄弟役を演じたこともあります。一緒に食事に行って熱い議論を交わしたこともある「芝居ばかなよきお兄ちゃん」という感じの方で、僕も大好きです。言葉にできないほどの壮絶な義盛の最期では、そんな“横田栄司さんの役者魂”を見せつけられました。

(取材・文/井上健一)

源実朝役の柿澤勇人 (C)NHK

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