「鎌倉殿の13人」クライマックスへ! 「義時は危険な存在に」柿澤勇人(源実朝)【「鎌倉殿の13人」インタビュー】

2022年10月16日 / 12:00

 NHKで放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。父・時政(坂東彌十郎)を追放した主人公・北条義時(小栗旬)が、ついに御家人たちのトップである執権に就任。物語はいよいよクライマックスに突入する。その義時と深く関わり、終盤のキーパーソンとなるのが、鎌倉幕府3代将軍・源実朝だ。今までとは一味違う実朝を演じる柿澤勇人が、気になる義時との関係やその人物像、撮影の舞台裏などを語ってくれた。

柿澤勇人(スタイリスト:杉浦優/ヘアメーク:松田蓉子)

-執権に就任し、政治の実権を握った義時は、実朝にとってどんな存在になるのでしょうか。

 立場は自分の方が上ですが、若過ぎる実朝には政(まつりごと)を動かす力がないので、現状では母の政子(小池栄子)や義時に任せるしかありません。ただ、回を追うごとに、当初は信用していた義時の行動と実朝自身の思いが乖離(かいり)していきます。それが原因で事件も起きるため、次第に義時の力を抑えなければ…と考えるようになり、“敵意”とまではいきませんが、“危険な存在”として認識していくことになります。ただし、争いの嫌いな実朝は、力でねじ伏せるのではなく、犠牲者を出さないように、先回りして封じていくようになります。

-義時役の小栗さんの印象はいかがですか。

 主役ですし、義時自体が難しい役なので、普通なら自分のことだけで手いっぱいになってもおかしくありません。でも、小栗さんは座長として視野を広く持ち、周りのキャストやスタッフにも気を配り、気軽に話しかけてくれるんです。おかげで変な緊張感もなく、大河ドラマとは思えないぐらい現場はアットホームな雰囲気なので、すごくありがたいです。すっかりおなじみになったマスクの手書きメッセージも、僕がクランクインしたときは、「実朝ようこそ」と書いてくれて、うれしかったです。

-芝居について小栗さんと相談するようなこともあるのでしょうか。

 大河ドラマでは、毎週月曜日にその週に収録する重要なシーンのリハーサルが行われます。僕は基本的に監督の指示通り動くようにしていますが、時代劇特有の所作があることで、心が動きにくくなることもあるんです。そうしたらある時、僕の表情からそれを察した小栗さんが、「カッキーちょっと一回、言われたこと全部なくして、自分がやりたいことをやってみなよ」と言ってくれたことがあって。役者自身が考えたプラン通りに動く方が魅力的で、芝居が豊かになることを分かっている小栗さんは、そういうことを自分のときだけでなく、気を使って周りの人にも提案してくれるんです。それはすごくありがたいです。

-小栗さんとの芝居で印象に残ったエピソードを教えてください。

 第34回、婚姻のことを尋ねた実朝に対して、義時が勘違いして自分の再婚話をしてしまった場面のやりとりです。夜の場面だったので、2人で話をしながら義時が部屋の明かりをつけて回った後、小栗さんが持っていた火種を僕が扇子で消すくだりがありましたが、あれ、実はアドリブだったんです。小栗さんが手であおいで消そうとしていたんですけど、なかなか消えなかったので、「どうしよう!?」と思って、僕がとっさに手にしていた扇子であおいでしまって(笑)。監督もそのまま使ってくれましたが、あれは面白い瞬間でした。

-ここで改めて、実朝役のオファーを受けたときの感想を聞かせてください。

 実朝のことは今までよく知りませんでしたが、三谷(幸喜/脚本)さんが実朝に強い思い入れを持っていて、「世間に知られていない本当の実朝を描きたい」とおっしゃっていたんです。だから、プレッシャーを感じながらも、この作品の時代考証を担当されている坂井孝一先生の実朝に関する最新の研究をまとめた本や、太宰治の小説『右大臣実朝』、実朝が遺した『金槐和歌集』といった資料を読み込んでいきました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

尾上眞秀「お母さんやおばあちゃんが喜んでくれました」寺島しのぶの長男が舘ひろしとの共演で映画初出演『港のひかり』【インタビュー】

映画2025年11月14日

 日本海沿岸の小さな漁師町を舞台に、元ヤクザの漁師・三浦と目の見えない少年・幸太という、年の離れた孤独な2人の絆を描くヒューマンドラマ『港のひかり』が、11月14日から全国公開中だ。  主演に舘ひろしを迎え、『正体』(24)の俊英・藤井道人 … 続きを読む

『物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家の物語』(7)神々がすむ土地を語る

2025年11月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼玉田永教と神道講釈  銭湯の湯け … 続きを読む

ハリウッド・リメイク決定!インド発ノンストップ・アクション!「日本の皆さんにも楽しんでいただけるはず」ニキル・ナゲシュ・バート監督『KILL 超覚醒』【インタビュー】

映画2025年11月13日

 40人の武装強盗団が、ニューデリー行きの特急寝台列車を襲撃! 刀を手に乗客から金品を奪う強盗団のリーダー、ファニ(ラガヴ・ジュヤル)は、大富豪タークルとその娘トゥリカ(ターニャ・マニクタラ)を人質に取り、身代金奪取をもくろむ。だがその列車 … 続きを読む

上白石萌歌「小さなお子さまから大人の方まで幅広く届いてほしいと思います」『トリツカレ男』【インタビュー】

映画2025年11月11日

 何かに夢中になると他のことが目に入らなくなってしまうジュゼッペ(声:佐野晶哉)は、街の人々から「トリツカレ男」と呼ばれている。ある日、ジュゼッペは、公園で風船売りをしているペチカに一目ぼれし、夢中になるが…。作家・いしいしんじの同名小説を … 続きを読む

八木莉可子「相反する二面性をどちらも大切にしたい」「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」【インタビュー】

ドラマ2025年11月10日

 草なぎ剛主演の月10ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時)。第3話で強烈なインパクトを残したゆずは(八木莉可子)の母(雛形あきこ)が、再びHeaven’s messenger … 続きを読む

Willfriends

page top