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NHKで放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。父・時政(坂東彌十郎)を追放した主人公・北条義時(小栗旬)が、ついに御家人たちのトップである執権に就任。物語はいよいよクライマックスに突入する。その義時と深く関わり、終盤のキーパーソンとなるのが、鎌倉幕府3代将軍・源実朝だ。今までとは一味違う実朝を演じる柿澤勇人が、気になる義時との関係やその人物像、撮影の舞台裏などを語ってくれた。
立場は自分の方が上ですが、若過ぎる実朝には政(まつりごと)を動かす力がないので、現状では母の政子(小池栄子)や義時に任せるしかありません。ただ、回を追うごとに、当初は信用していた義時の行動と実朝自身の思いが乖離(かいり)していきます。それが原因で事件も起きるため、次第に義時の力を抑えなければ…と考えるようになり、“敵意”とまではいきませんが、“危険な存在”として認識していくことになります。ただし、争いの嫌いな実朝は、力でねじ伏せるのではなく、犠牲者を出さないように、先回りして封じていくようになります。
主役ですし、義時自体が難しい役なので、普通なら自分のことだけで手いっぱいになってもおかしくありません。でも、小栗さんは座長として視野を広く持ち、周りのキャストやスタッフにも気を配り、気軽に話しかけてくれるんです。おかげで変な緊張感もなく、大河ドラマとは思えないぐらい現場はアットホームな雰囲気なので、すごくありがたいです。すっかりおなじみになったマスクの手書きメッセージも、僕がクランクインしたときは、「実朝ようこそ」と書いてくれて、うれしかったです。
大河ドラマでは、毎週月曜日にその週に収録する重要なシーンのリハーサルが行われます。僕は基本的に監督の指示通り動くようにしていますが、時代劇特有の所作があることで、心が動きにくくなることもあるんです。そうしたらある時、僕の表情からそれを察した小栗さんが、「カッキーちょっと一回、言われたこと全部なくして、自分がやりたいことをやってみなよ」と言ってくれたことがあって。役者自身が考えたプラン通りに動く方が魅力的で、芝居が豊かになることを分かっている小栗さんは、そういうことを自分のときだけでなく、気を使って周りの人にも提案してくれるんです。それはすごくありがたいです。
第34回、婚姻のことを尋ねた実朝に対して、義時が勘違いして自分の再婚話をしてしまった場面のやりとりです。夜の場面だったので、2人で話をしながら義時が部屋の明かりをつけて回った後、小栗さんが持っていた火種を僕が扇子で消すくだりがありましたが、あれ、実はアドリブだったんです。小栗さんが手であおいで消そうとしていたんですけど、なかなか消えなかったので、「どうしよう!?」と思って、僕がとっさに手にしていた扇子であおいでしまって(笑)。監督もそのまま使ってくれましたが、あれは面白い瞬間でした。
実朝のことは今までよく知りませんでしたが、三谷(幸喜/脚本)さんが実朝に強い思い入れを持っていて、「世間に知られていない本当の実朝を描きたい」とおっしゃっていたんです。だから、プレッシャーを感じながらも、この作品の時代考証を担当されている坂井孝一先生の実朝に関する最新の研究をまとめた本や、太宰治の小説『右大臣実朝』、実朝が遺した『金槐和歌集』といった資料を読み込んでいきました。
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