エンターテインメント・ウェブマガジン
小栗さんの存在は、僕にとってものすごく大きかったです。思ったような芝居ができず、僕が自信をなくしていたとき、それが伝わったのか、忙しい小栗さんがわざわざ時間を割いて、2人きりで食事に誘ってくれたことがあるんです。そのとき、小栗さんが「自信を持って大地の好きなようにやればいい。自分の芝居に納得できず、言いづらかったら、俺に言ってくれれば、俺が『もう一回やりませんか』って言うから。なんでも言ってくれ」と言ってくださって。
現場を止めることになるので、そんなことは普通なかなか言えませんが、その言葉のおかげでどこか気持ちが吹っ切れて、義時と2人の芝居でも、もっとぶつかっていこうと思えるようになりました。あのときの小栗さんの優しさには、本当に救われました。現場でも、僕の芝居に配慮して「このせりふ、俺がどう言えば、言いやすい?」と、一緒に考えてくださったこともありますし…。小栗さんがいなければ、演じられなかった部分はたくさんあったと思います。
「頼家やばい」という意見もありましたが、その一方で「かわいそう」「切ない」という見方をしてくださる方もいて、頼家の苦悩がきちんと伝わっていることが分かってうれしかったです。
びっくりしたのが、第29回で頼時(坂口健太郎)に“泰時”への改名を命じた場面、僕の振り向く芝居がネットのニュースになったことです。実はあれ、かなり苦戦したんです。監督から「きつくにらんでほしい」と言われていたんですが、何回やっても「もうちょっと怖く」「もうちょっと気持ち悪く」と、なかなかOKが出なくて。小栗さんも「こうやったらいいんじゃない?」といろいろ相談に乗ってくださった結果、出来上がったシーンだったんです。まさか記事になるとは思っていませんでしたが、「シャフ度」と呼ぶことも分かって面白かったです(笑)。
初めての大河ドラマで源頼家という役を演じさせていただき、かけがえのない経験ができました。本当にいい作品に出会えたと心から思っています。ずっと自信が持てず、「これでいいのかな?」と不安を抱えたままやっていましたが、小栗さんをはじめとする共演者の皆さんやスタッフ、監督の皆さんのおかげで演じ切ることができました。皆さんの力で、作品がこんなによくなるんだと改めて実感しました。そういう熱量のある作品に参加できたことが、一番の幸せです。これからも、どんな作品にも熱量を持って取り組んでいくつもりです。
(取材・文/井上健一)
映画2025年12月5日
-戦場で、田丸が絵や漫画を描くことにどのような意味があったと思いますか。 功績係に任命された田丸には、もちろん何かを書き記すという使命感もあったでしょうが、いつ自分や仲間が命を落とすか分からない状況の中で、自分の世界の中で向き合えるものが … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年12月4日
YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む
ドラマ2025年12月1日
-雰囲気のいい現場だったようですね。 中でもしのぶさんは、「これはこういうことなのかな?」といった感じで、積極的に質問をされるんです。その上、「私、緊張しちゃう」などと、ご自身の気持ちを織り交ぜながら現場にいてくださるので、私も質問が … 続きを読む
ドラマ2025年12月1日
―確かにその通りですね(笑)。 ただ、大半は史実通りですが、(小田)新之助(井之脇海)とふく(=うつせみ/小野花梨)ととよ坊の一家、序盤に登場した蔦重の恩人の花魁・朝顔(愛希れいか)など、一部に私が創作したオリジナルキャラもいます。と … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年11月30日
今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む