「小栗さんがいなければ、演じられなかった」苦悩の鎌倉幕府2代将軍役 金子大地(源頼家)【「鎌倉殿の13人」インタビュー】

2022年8月28日 / 20:50

-ところで、頼家から見ると、主人公の北条義時に裏切られた形ですが、義時役の小栗旬さんとの共演はいかがでしたか。

 小栗さんの存在は、僕にとってものすごく大きかったです。思ったような芝居ができず、僕が自信をなくしていたとき、それが伝わったのか、忙しい小栗さんがわざわざ時間を割いて、2人きりで食事に誘ってくれたことがあるんです。そのとき、小栗さんが「自信を持って大地の好きなようにやればいい。自分の芝居に納得できず、言いづらかったら、俺に言ってくれれば、俺が『もう一回やりませんか』って言うから。なんでも言ってくれ」と言ってくださって。

-それは、すごいですね。

 現場を止めることになるので、そんなことは普通なかなか言えませんが、その言葉のおかげでどこか気持ちが吹っ切れて、義時と2人の芝居でも、もっとぶつかっていこうと思えるようになりました。あのときの小栗さんの優しさには、本当に救われました。現場でも、僕の芝居に配慮して「このせりふ、俺がどう言えば、言いやすい?」と、一緒に考えてくださったこともありますし…。小栗さんがいなければ、演じられなかった部分はたくさんあったと思います。

-そうやって演じてきた頼家に対して、視聴者の反響も大きかったと思いますが、どう受け止めていましたか。

 「頼家やばい」という意見もありましたが、その一方で「かわいそう」「切ない」という見方をしてくださる方もいて、頼家の苦悩がきちんと伝わっていることが分かってうれしかったです。

-その中で、特に印象に残ったものは?

 びっくりしたのが、第29回で頼時(坂口健太郎)に“泰時”への改名を命じた場面、僕の振り向く芝居がネットのニュースになったことです。実はあれ、かなり苦戦したんです。監督から「きつくにらんでほしい」と言われていたんですが、何回やっても「もうちょっと怖く」「もうちょっと気持ち悪く」と、なかなかOKが出なくて。小栗さんも「こうやったらいいんじゃない?」といろいろ相談に乗ってくださった結果、出来上がったシーンだったんです。まさか記事になるとは思っていませんでしたが、「シャフ度」と呼ぶことも分かって面白かったです(笑)。

-この作品への出演は、金子さんにとってどんな経験になりましたか。

 初めての大河ドラマで源頼家という役を演じさせていただき、かけがえのない経験ができました。本当にいい作品に出会えたと心から思っています。ずっと自信が持てず、「これでいいのかな?」と不安を抱えたままやっていましたが、小栗さんをはじめとする共演者の皆さんやスタッフ、監督の皆さんのおかげで演じ切ることができました。皆さんの力で、作品がこんなによくなるんだと改めて実感しました。そういう熱量のある作品に参加できたことが、一番の幸せです。これからも、どんな作品にも熱量を持って取り組んでいくつもりです。

(取材・文/井上健一)

源頼家役の金子大地 (C)NHK

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】70年代にこだわった『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』/とにかく草笛光子が素晴らしい『九十歳。何がめでたい』

映画2024年6月21日

『九十歳。何がめでたい』(6月21日公開)    数々の文学賞を受賞してきた作家の佐藤愛子(草笛光子)は、90歳を過ぎた現在は断筆宣言をして人付き合いも減り、鬱々(うつうつ)とした日々を過ごしていた。  そんな彼女のもとに、中年の … 続きを読む

森公美子、「天使にラブ・ソングを…」は「心の成長を描いたストーリー」 ブロードウェー来日版の上演に「本物に触れていただきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年6月20日

 ウーピー・ゴールドバーグ主演の大人気コメディー映画『天使にラブ・ソングを…』を原作としたミュージカルの来日版、ブロードウェイ・ミュージカル「天使にラブ・ソングを…(シスター・アクト)」が7月3日から上演される。ウーピー・ゴールドバーグ自身 … 続きを読む

Matt「自分が自然のままの自分でいられるのが音楽」 吹奏楽部での経験から学んだこと【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年6月19日

-吹奏楽は室内で演奏するイメージがありましたが、日焼けもするんですね。  マーチングもやっていたので。マーチングの練習は校庭でやりますし、体力、肺活量が大事なので毎日、走っていました。それに、野球部の応援にも行っていましたね。野球の応援は、 … 続きを読む

「光る君へ」第二十三回「雪の舞うころ」藤原為時や藤原道長ら、真面目な人々が紡ぐ物語の心地よさ【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年6月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。6月9日に放送された第二十三回「雪の舞うころ」では、前回波乱を巻き起こした殺人事件の顛末(てんまつ)が明らかになると共に、主人公まひろ(吉高由里子)と宋の見習い医師・周明(松下洸平)の交流などが … 続きを読む

「アンチヒーロー」最終話を前にプロデューサーが語る 「伏線はほぼ回収できたと思っています」

ドラマ2024年6月15日

 TBS系の日曜劇場で放送中のドラマ「アンチヒーロー」の最終話試写会が11日に行われ、16日の放送を前に飯田和孝プロデューサーが記者の質問に答えた。  まず、登場人物の名字に色が入っている点については、「明墨(長谷川博己)という主人公の名前 … 続きを読む

Willfriends

page top