「小栗さんがいなければ、演じられなかった」苦悩の鎌倉幕府2代将軍役 金子大地(源頼家)【「鎌倉殿の13人」インタビュー】

2022年8月28日 / 20:50

 NHKで放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。物語は鎌倉幕府初代将軍・源頼朝(大泉洋)亡き後の御家人同士の権力闘争に突入したが、その渦中で運命を翻弄(ほんろう)されるのが、頼朝の息子で2代将軍の源頼家だ。8月28日放送の第33回では、頼家にさらなる過酷な運命が待ち受ける。初めての大河ドラマ出演で頼家を演じる金子大地が、撮影の舞台裏を語ってくれた。

源頼家役の金子大地 (C)NHK

-御家人同士の権力闘争に運命を翻弄される頼家ですが、8月21日に放送された第32回は、病から回復した後、愛する家族を失ったことを知るつらい話でした。中でも、事の真相を知った頼家が、「北条をわしは絶対に許さん!」と激怒し、母・政子(小池栄子)に「おまえもだ!」と怒りをぶつける姿は衝撃的でした。あのシーンの撮影はいかがでしたか。

 母上とのシーンはそれまであまりなく、あそこでやっと、きちんとぶつかることができたとても大事なシーンでした。怒りと憎しみと絶望と…。言葉にできないほどの深い悲しみや、たまっていたいろんなものが爆発するシーンだったので、きつかったですし、相当削られました。小池さんも、あのシーンはつらかったと思います。でも、母としてのリアルな存在感がありました。多分それは、小池さんの愛が僕にしっかり伝わったからだと思います。照れくさいんですけど、小池さんのことは本当の母のように思っていました。

-政子と一緒のシーンは多くなかったということですが、それでも、頼家が鎌倉殿になる際には相談に乗ったり、御家人の妻を奪おうとして叱られたり、印象的な場面が幾つもありました。政子役の小池栄子さんとの共演について教えてください。

 頼家は、本当は母上に自分の弱いところをもっと出したかったんじゃないかと思います。でも、同時に自分のたくましい姿を見せたいという気持ちもあるし、母上は北条の人でもある。だから、すごく複雑な気持ちで、親子ではあるけど、2人にはどこか距離があったような気がします。そんなこともあって、現場では普通にお話ししていましたが、小池さんとのシーンは毎回、緊張していました。僕自身も頼家のように、どこか距離を感じていたのかもしれません。特に、第32回のあの場面では、意識して会話を避けていたことを覚えています。ただ、終わった後は以前よりも話すようになり、距離もぐっと縮まりました。

-それでは改めて、ここまで演じてきた頼家の印象を聞かせてください。

 いずれ鎌倉殿になることは、生まれたときから決まっていたので、「頑張ろう」「鎌倉をよくしていきたい」という気持ちはとても強かったと思います。ただ、あまりにも早く鎌倉殿になってしまったため、誰もが抱く「あいつで大丈夫か?」という不安を頼家自身が一番感じていたんだと思います。しかも、何をやっても源頼朝という圧倒的なスターと比べられる重圧もある。だから、父親と同じことはしない、というどこか開き直った部分もあったんじゃないかなと。

-なるほど。

 とはいえ、まだまだ未熟で信用がない上に、自分のやりたいことは「やめた方がいい」と言われてしまう。欲まみれの大人たちに囲まれていることも、嫌で嫌で仕方がない。反発したくなるのも当然ですよね。そんな中、1人になると複雑な思いを抱えて、いろんなことを考えていた。そういう頼家の葛藤が、少しでも垣間見えたら…と思いながら演じていました。三谷(幸喜/脚本)さんが、頼家の不安や孤独も描いてくださったので、ただの“無知な暴君”ではなかったことも、すごくうれしかったです。ただ、ちょっとした行き違いであんな悲劇が起こってしまいましたが、実はものすごくうまくいった道もあったんじゃないのかな…と思ったりもします。

-鎌倉殿としての頼家を象徴するのが、勢ぞろいした御家人たちを前に、御所の上座に座る場面です。鎌倉殿になった第26回や、13人の合議制が決まった第27回など、何度かありましたが、演じたときの気持ちは?

 怖かったです。目の前にそうそうたる役者の方々が並んでいるので、とにかく圧がすごくて。でも、絶対に弱みは見せず、やってやるんだ、という気持ちでした。「ここで弱みを見せたら、負けだ」ぐらいの。そういう意味では、すごく背伸びをした状態で撮影に臨んでいましたね。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

山下美月が“かつてなく最高の主人公”に 「自分も成瀬あかりのような人間に近づきたい」舞台「成瀬は天下を取りにいく」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月16日

 舞台「成瀬は天下を取りにいく」が7月4日(土)から上演される。本屋大賞をはじめ数多くの文学賞を受賞し、主人公・成瀬あかりが全力で我が道を突き進む姿が読者を魅了した、シリーズ累計発行部数210万部を突破する大人気小説『成瀬あかりシリーズ』。 … 続きを読む

片山友希、MEGUMI「間違えても失敗しても、とにかく前に進み続けるということはお伝えできたかなと思います」『FUJIKO』【インタビュー】

映画2026年6月15日

 1970~80年代の静岡を舞台に、激動の時代を生きるシングルマザーが自らの生き方を模索しながら力強く歩んでいく姿を描いた、木村太一監督の『FUJIKO』が全国公開中だ。本作で主人公の富士子を演じた片山友希と、企画・プロデュースを担当し、出 … 続きを読む

舞台「キングダムII ―継承―」三浦宏規・高野洸・山本千尋・山口祐一郎、「死力を尽くさなければいけない」作品に再び挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月12日

 累計発行部数1億2000万部を突破した、原泰久による大ヒット漫画を原作とした舞台の第2弾となる「キングダムII ―継承―」が、8月9日から上演される。本作は、苛烈な戦乱の中にある中国・春秋戦国時代を舞台に、戦災孤児の少年・信と、のちの始皇 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第22回「播磨大誤算」戦国の世の難しさを印象付けた播磨攻略戦【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年6月11日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。小一郎と秀吉が播磨攻略に難渋する様子を描いた6月7 … 続きを読む

山本耕史、「RENT」に続き全編英語上演に挑む「ゼロからのスタートだけどやるしかない」 日米合作ブロードウェイミュージカル「フル・モンティ」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月11日

 山本耕史が、ゆりやんレトリィバァとブロードウェイで活躍するキャストとともに挑む、日米合作ブロードウェイミュージカル「フル・モンティ」が、8月19日から上演される。本作は、1997年に映画をもとに誕生し、トニー賞作品賞を含む9部門にノミネー … 続きを読む

page top