蓮佛美沙子「松田龍平さんに引っ張られて、芝居が変わっていった」一人二役で挑んだパニック・スリラーの舞台裏 「連続ドラマW 鵜頭川村事件」【インタビュー】

2022年8月26日 / 12:00

-演技以外で、松田さんの素顔について、印象に残ったことはありますか。

 想像の二倍しゃべる方でした(笑)。寡黙な方だと思っていたら、すごくおしゃべり好きな方で、誰に対しても壁を作らず、年齢や性別に関係なく、みんなと分け隔てなくお話しされていて。だから、私もたわいのない話をしましたし、丸山澪ちゃん(岩森の娘・愛子役)とも本気で言い合いをしていて…(笑)。子どもと同じ目線なんです。だから、子どもと遊ぶのが得意なんじゃないでしょうか。

-そのほか、撮影現場で印象に残ったことを教えてください。

 とても印象的だったのが、美術の素晴らしさです。嵐に襲われた村が舞台ですが、映画のように時間を掛けて撮れる現場だったので、荒れた土地の表現が見事で、物語に相応しい気味の悪さも出ていて…。第1話でも嵐の前、村伝統の“エイキチ祭り”の準備で、みんなが広場に集まってくる場面があるんですけど、そこに立っている“エイキチ様”の像も、圧倒されそうな存在感。クランクインして間もない頃の撮影だったので、物語の世界観に入っていく上で、すごく助けられました。

-2カ月にわたる地方ロケを実施した本作の撮影について、蓮佛さんは「想像以上に精神的に負荷のかかる日々でした」とコメントしていますが、気分転換はどのようにしていたのでしょうか。

 おいしいパン屋さんを見つけて、ほぼ毎日のように通っていました(笑)。パン屋さんだけでなく、ホテルの周りにおいしいお店が多かったので、食事には本当に助けられました。そういうところで心を保ちつつ、現場では追い詰められつつ、みたいな感じで。ここまで精神的に負荷がかかることは今までなかったので、これだけどろどろした人間の負の感情にまみれた作品をやるときは、息抜きがすごく大事なんだなって今回、自分にとって大きな発見をしました。そういう意味では、龍平さんや澪ちゃんと3人で、しりとりをして遊んだたわいのない時間にも救われていたんだろうなって、今振り返ると思います。

-精神的に過酷な撮影を乗り越えた本作の中で、蓮佛さんが最も印象に残ったシーンを教えてください。

 個人的には、最終回(第六話)です。第一話をご覧いただくと、有美はあまり人と関わることが得意ではない、内にこもるタイプに見えると思います。でも私は、これを有美の救いの物語にしたかったんです。岩森さんという異物が入ってきたことで、村のいろんなことが変わっていく中で、有美も大きく変化していく。そういうキャラクターだと思ったので、最終回に向けて彼女が変化していくように、逆算しながら演じていきました。その結果、有美の感情が最終回で爆発することになるので、ぜひ最後までご覧いただきたいです。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)WOWOW

 

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

-なるほど。では、公演が12月ということで、2024年の振り返りをお願いします。  今年は自分で掲げた目標に対しての成果も感じることができたので、充実した1年でした。これまではどこかで「やらされている」という感覚があって、自分の意志でできた … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

  Q:合格に向けて、どのように勉強されたか教えてください。 早川 中3の2月に、予備試験を目指すぞって決めてからは、興味の赴くままがむしゃらに勉強してました。平日は、学校から帰ってきて、先ほどお話しした「伊藤塾」のオンライン授業を夜10時 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

-お2人は今回初共演となりますが、現場での様子はいかがでしたか。 八村 「シェアハウス対ユウ」という構図がある中で、共演者の方々とどういう距離感で接すればいいのか、だいぶ悩みました。でも僕は、役のために距離を取ったりすることが苦手なんです。 … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

「ローマの共和制の問題点は、今の世界が直面している数々の問題と重なる部分が多い」『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』コニー・ニールセン【インタビュー】

映画2024年11月15日

-息子役のポール・メスカルやデンゼル・ワシントン、ペドロ・パスカルら共演者の印象は?  キャスティングを見たら「リドリーありがとう」という気持ちになりました。まるで買い物に行くような感じで、毎日わくわくしながらセットに入りました。こうした優 … 続きを読む

Willfriends

page top