飯島寛騎「今までとは違う飯島寛騎を見せられた」新境地を開拓したホラー映画初挑戦 『オカルトの森へようこそ THE MOVIE』【インタビュー】

2022年8月26日 / 10:00

 『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズ、『貞子vs伽椰子』(16)などで知られるホラー界の鬼才・白石晃士が監督・脚本・撮影を務めた『オカルトの森へようこそ THE MOVIE』が、8月27日から全国公開となる。本作は、異界とつながるたたりの森を舞台に、迫りくる恐怖の真相に挑む映画監督・黒石光司ら5人がたどる運命を描いたオリジナルPOV(ポイント・オブ・ビュー=主観視点)ホラーだ。この作品で、黒石一行に加わる金髪ホスト風カリスマ霊能者・ナナシを演じるのが、「仮面ライダーエグゼイド」(16~17)「警視庁・捜査一課長」シリーズなどで活躍する若手俳優の飯島寛騎。ホラー映画初挑戦の舞台裏を聞いた。

飯島寛騎(Photo:Tominaga Tomoko/ヘアメーク:牧野裕大(vierge)/スタイリスト:中西ナオ)

-二転三転するジェットコースター的なストーリーと、POV形式の臨場感あふれる映像に、最後まで引きつけられてしまいました。オファーを受けたときの感想はいかがでしたか。

 今までやったことのないジャンルだなと思いました。台本にもカタカナが多く、声のトーンや振る舞い方、不思議な感じをどんなふうに見せるのか、白石監督と相談しながら、細かく作り込んでいきました。

-上下を黒で固めた衣装も、ナナシのキャラクターを際立たせていますね。

 衣装は、セットアップのかっちりとしたジャケットを着ることになった後、「中はどうする?」という話になり、黒や白のシャツを着てみたんです。でも、それだとホストにしか見えなくて。ナナシは“ホスト風”なだけで、ホストではないので、その辺のニュアンスが監督も僕もしっくりこなかったんです。そこで、たまたまそこにあった水色の入った爽やかなカラーリングのシャツを着てみたら、「これじゃない?」って。そこから、右手だけグローブをつけよう、みたいな感じで、一つずつ発見しながら決めていきました。

-白石監督からは役についてどんな話がありましたか。

 監督からは、キャラクター的に「力んでいない方がいい」と言われたので、歩き方はちょっとだらしなく、常にたばこを吸っている感じにしました。でも、やるときはやる。ただし、「ガラッと変わる」のではなく、「よっこいしょ」ぐらいのギアの入れ方で。そういうものが、衣装が決まった段階で自分の中にスッと入ってきた印象です。

-演じる上で苦労した点は?

 ナナシは化け物と戦う場面が多いんですけど、全部CGで作っているので、現場には何もないんです。そういう“見えない敵”と戦うのが難しかったです。何もないところに向かって、想像しながら殴ったりしなきゃいけなかったので。はたから見ると、かなりシュールな光景だったんじゃないかな(笑)。でも、結果的にはきちんとした映像になっていたので、ほっとしました。

-POV形式ということで、黒石役の白石監督自身がカメラを持ち、移動しながらかなりのワンカット長回し撮影をしていることが本作の特徴です。その分、NGを出すと時間も大幅にロスするので、撮影は大変だったのでは?

 それでも、ワンカットあたり、10テイクぐらいは回したんじゃないでしょうか。最初から最後まで通しでやって、ちょっと芝居が違うだけで「ごめんなさい、もう一回」、画角がちょっとずれただけでも「こっちだった」、「気持ち遅かった」っていう感じで。監督の頭の中に完成図があるので、それを体現するのは大変でした。ただ、監督はご自身のイメージを言葉や体でしっかり伝えてくれたので、自分の中にスッと落とし込むことができました。

-ワンカットが長いので、10テイクも回すと、集中力を保つのも大変そうですね。

 そうなんです。だから、できるだけ気持ちをフラットに保つように気をつけて。真夏の撮影だったので、暑さもあり、疲労もすごかったですし。ただ、基本的には日のあるうちに撮って、日が落ちたら終わりだったので、毎晩ぐっすり眠ることができました。現場自体の雰囲気も和やかで、すごくやりやすい環境でした。むしろ、変な音を立てないようにしたり、いろいろと神経を使ったスタッフさんの方が大変だったかもしれません。とにかく暑くて大変だったんですけど、キャスト、スタッフみんなで助け合いながら作っていった感じです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

草笛光子「老女がはちゃめちゃな、摩訶不思議な映画ですから覚悟してご覧ください(笑)」『アンジーのBARで逢いましょう』【インタビュー】

映画2025年4月3日

 突然町に現れ、いわくつきの物件でバーを開店した白髪の女性と町の人々との不思議な交流を描いたファンタジー映画『アンジーのBARで逢いましょう』が4月4日から全国公開される。本作で主人公のアンジーを演じた草笛光子に話を聞いた。 -まず、出演に … 続きを読む

門脇麦、「芝居に対してすごく熱い」田中圭と夫婦役で5度目の共演 舞台「陽気な幽霊」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年4月2日

 田中圭を主演に迎え、若村麻由美、門脇麦、高畑淳子ら豪華共演者で贈る舞台「陽気な幽霊」が5月3日から開幕する。本作は、20世紀を代表する劇作家ノエル・カワードによるウェルメイド・コメディー。1945年にはデヴィッド・リーン監督により映画化も … 続きを読む

今田美桜「『アンパンマン』のように、幅広い世代に愛される作品に」連続テレビ小説「あんぱん」いよいよスタート!【インタビュー】

ドラマ2025年4月1日

 3月31日から放送スタートしたNHKの連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルに、何者でもなかった朝田のぶと柳井嵩(北村匠海)の2人が、数々の荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『 … 続きを読む

坂本昌行&増田貴久がミュージカルで初共演「笑顔になって、幸せになって帰っていただけたら」 ミュージカル「ホリデイ・イン」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年4月1日

 坂本昌行と増田貴久をはじめとした豪華キャストが出演するミュージカル「ホリデイ・イン」が4月1日から開幕する。本作は、1942年に公開された映画『Holiday Inn』(邦題『スウィング・ホテル』)をもとに舞台化されたミュージカル作品。「 … 続きを読む

藤原竜也が挑む「マクベス」 「1日1日、壁を突破することが目標」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年3月29日

 2024年5月にスタートした、吉田鋼太郎が芸術監督を務める【彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd】。待望の二作目となる「マクベス」が、藤原竜也を主演に迎え、5月8日から上演される。藤原に初めて挑む「マクベス」への思いや吉田とのクリエイトに … 続きを読む

Willfriends

page top