河合優実、デビューから3年「ただがむしゃらにやればいいという時期はもう終わった」【インタビュー】

2022年5月21日 / 08:00

 2021年に第64回ブルーリボン賞新人賞や第95回キネマ旬報ベスト・テン 新人女優賞などを受賞し、今後の活躍に期待が高まる俳優の河合優実。5月27日から上演される、松尾スズキ作・演出の「日本総合悲劇協会 VOL.7『ドライブイン カリフォルニア』」では、ドライブインでアルバイトをするエミコ役を演じる。「私の根本には舞台がある」と話す河合に、本作への意気込みや演じることに楽しさを聞いた。

河合優実 (ヘアメーク:上川タカエ(mod’s hair) /スタイリスト:

-本作の作・演出の松尾スズキさんとは、20年上演の「フリムンシスターズ」以来2作目となります。「フリムンシスターズ」に出演し、大人計画(松尾が主宰する劇団)との出会いに衝撃を受けたそうですね。

 いつの頃からだったかは覚えていませんが、「大人計画」の存在は知っていて、まさか自分がその舞台に立てるとは思っていませんでした。なので、夢のような気持ちで「フリムンシスターズ」に臨んだのですが、そこで毎日、モンスター級の俳優さんたちが、本気で、楽しそうに、そして苦しそうに作品を作っていく姿を稽古場で拝見して、衝撃を受けました。皆さんの才能と歴史を肌で感じつつ、それでも、やはり本番へ向かう地道な過程があるのだなと。

-本作は、1996年、04年に続いて3度目の上演となります。これまでの公演はご覧になりましたか。

 04年の公演の映像を見させていただきました。なので、台本が(同じエミコを演じた)小池栄子さんの声で再生されています(笑)。

-どんな作品だと感じましたか。

いろいろな人がそれぞれの不幸や業を一つの場所に持ってきてしまい、一つの混沌(こんとん)とした悲劇になる作品です。「フリムンシスターズ」はカオスではあっても、ハッピーなムードが漂う作品でしたが、今回も、終わった後の後味は温かいものがあると感じています。

-今現在、エミコというキャラクターをどのように演じたいと思っていますか。

 エミコは、明るく気立てのいいアルバイトの女の子ですが、やることはやっている、そして自身の問題から逃げ続けている女の子です。とはいえ、さまざまなものを抱えている人が多い中で、一人、ポーンと明るくそこに存在できたらいいのかなと思います。ただ、今は素晴らしい共演者の方々の中に入れていただき、演じさせていただくことがただ楽しみで、どう演じようというところまで考えられていません。稽古の中で、より深く役を知り、(共演者から)刺激をもらいながら成長できたらと思います。

-河合さんは、会うと物静かな人に感じますが、作品の中の姿は、とてもパワーを放っています。それは、自然と切り替わるのですか。

 どうなんでしょう、切り替わっているんだと思います(笑)。

-俳優業を始める前からダンスを踊っていたそうですが、それはダンスをしていた頃に培われた感覚ですか。

 そうですね。「やらなければいけない状況になったらできる」というメンタルの強さはやはりダンスをしていたからだとは思いますし、そうした物おじしないところは、特に俳優1年目にはあったと思います。デビューして3年がたち、経験したことで感じる怖さも出てきているので、今回は、それを振り払いながら作品に向き合っていきたいと思います。

-これから続いていくキャリアの中で、今回の舞台はどういう作品になると思いますか。

 私はもともと、「舞台に立つのが楽しい」という気持ちがこの仕事を始めるルーツだったので、映画に触れる3年間をぐるっと回ったら、舞台に帰ってこられたというような思いがあります。楽しい気持ちを大切にしながら、日々新たな発見をしていきたいです。

-デビューからの3年間、改めて振り返ってみてどう感じていますか。

 公開する作品数も、参加させていただく作品数も、だんだんと増えてきたことを実感しながらお仕事をさせていただいてきました。求めてくださっている方がいることを感じ、とてもありがたく思うとともに、ただがむしゃらにやればいいという時期はもう終わったのかなとも思います。自分が何をするべきなのかをしっかり考えたいと思うようになりました。とはいえ、改めて振り返ってみると、この3年間、楽しいことの方が多かったと思います。もちろん、苦しいこともありますが、根本的にこの仕事が性に合っていて、好きなのだと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】新旧監督の話題作が並んで公開に『TOKYOタクシー』『金髪』

映画2025年11月22日

『TOKYOタクシー』(11月21日公開)  タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)を東京の柴又から神奈川県の葉山にある高齢者施設まで乗せることになった。  すみれの「東京の見納めに、いくつか寄ってみたい … 続きを読む

中川晃教「憧れることが原動力」 ミュージカル「サムシング・ロッテン!」で7年ぶりにニック役に挑戦【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月22日

 数々のミュージカル作品へのオマージュが登場するコメディーミュージカル「サムシング・ロッテン!」が12月19日から上演される。2015年にブロードウェイで初演された本作は、「コーラスライン」、「アニー」、「レ・ミゼラブル」などの人気ミュージ … 続きを読む

岩田剛典、白鳥玉季「全編を通してくすっと笑えるコメディー映画になっていますので、気楽な気持ちで映画館に来ていただきたいです」『金髪』【インタビュー】

映画2025年11月21日

 日本独特のおかしな校則、ブラックな職場環境、暴走するSNSやネット報道といった社会問題を背景に、大人になりきれない中学校教諭が、生徒たちの金髪デモに振り回されながら成長していく姿を、坂下雄一郎監督がシニカルな視点で描いた『金髪』が全国公開 … 続きを読む

加藤清史郎&渡邉蒼「僕たちも今、夜神月に巻き込まれている」 子役出身の二人が挑む「デスノート THE MUSICAL」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月21日

 映画やドラマ、アニメなど幅広いメディア展開を遂げてきた人気漫画「DEATH NOTE」のミュージカル版「デスノート THE MUSICAL」が11月24日から上演される。2015年に日本で世界初演された本作は、原作のスリリングな物語を世界 … 続きを読む

なにわ男子・大西流星「“timeleszのお兄さん”な原くんは印象通り」 timelesz・原嘉孝「流星は優しくてしっかりしてる子」 1月期ドラマでW主演【インタビュー】

ドラマ2025年11月20日

 なにわ男子・大西流星と、timelesz・原嘉孝がW主演する「東海テレビ×WOWOW 共同製作連続ドラマ 横浜ネイバーズ Season1」が、2026年1月から放送がスタートする。  本作は、令和版『池袋ウエストゲートパーク』として注目を … 続きを読む

Willfriends

page top