【インタビュー】映画『サマーフィルムにのって』河合優実「好きなことにのめり込んでいくのは素晴らしいと感じてもらえたらすてきだな」 祷キララ「前向きな気持ちになれるポイントがたくさんある映画」

2021年8月4日 / 13:31

 高校3年生のハダシ(伊藤万理華)は、時代劇映画が大好きだが、所属する映画部では時代劇が作れずくすぶっていた。そんなハダシの前に、武士役にぴったりの凛太郎(金子大地)が現れる。彼との出会いに運命を感じたハダシは、幼なじみのビート板とブルーハワイを巻き込み、個性豊かなスタッフを集めて映画製作に乗り出す。元乃木坂46の伊藤万理華が主演した青春映画『サマーフィルムにのって』が8月6日から公開される。本作で、ビート板とブルーハワイを演じた河合優実と祷キララに話を聞いた。

祷キララ(左)と河合優実

-映画の中では、ずっとニックネームで呼ばれていましたが、役名はあったのでしょうか。

河合 役名はあったのかな…。ニックネームについては、設定表には、私の役は運動神経が鈍くて、小学校のプールの授業にビート板を持っていっていたから、そう呼ばれるようになったと書いてありました。

 ブルーハワイは、ファミレスや喫茶店でクリームソーダを頼みたいのに、いつも間違えて「ブルーハワイください」と言ってしまうので、それをニックネームにされたと。主人公のハダシだけは本名だと聞きました。

-お二人とも、つい最近まで高校生でしたね。部活動はやっていましたか。また、今回“映画部”を体験してみていかがでしたか。

河合 私はダンス部でした。大人数の仲間と一緒に一つのものを作るという体験をし、その楽しさも分かっていたので、それを思い出しながら演じたところはありました。  

 私はバレーボールをやっていました。ただ、中学校のときに、クラスで「3年4組殺人事件」という短編映画を作ったことがあって、修学旅行のバスの中で1度だけ上映したのですが、そのとき、皆が見ている後ろ姿を見ながら、とても幸せな気持ちになりました。今回は、そのことを思い出しながらやっていました。

-この映画を通して、映画作りの魅力について、どのように感じましたか。

河合 大きな現場になると、ハダシのように全員の意思をまとめることは難しいと思いますが、この映画で、ハダシが撮りたいものが皆に伝わっていって、皆が同じ方向を向くというのを見ながら、根本はこうあるべきだと思いました。最初に「誰かのやりたい何か」というのがあって、それをちゃんと皆で共有できる、というのが物作りの理想なのではないかと思いました。その意味では、この映画の現場は、それに近いものがありました。ほとんど順撮りだったので、ハダシ組として映画を撮るのと、『サマーフィルムにのって』という映画を撮ることがリンクしている感覚がありました。それがいい作用として、完成した映画に出ていればいいなと思います。

 私も同じように思いました。映画は、俳優の演技、照明、録音、編集、音楽など、いろいろなものが合わさって完成します。自分の得意分野や好きなことを持っている人が集まって、足りない部分を補い合いながら、それを組み合わせて、一つの作品を作り上げます。この映画の登場人物たちも、皆が違う役割を持っていて、それを集めることで、大きな力になっていきます。それがこの映画のテーマでもあるし、実際の映画作りの現場でも、軸になることだと思いました。

-ハダシが撮る映画は時代劇でした。時代劇についてはどう思いましたか。

河合 今まで、積極的に見る機会はありませんでしたが、やっぱり長い間残っているものには理由があると思いました。例えば、今撮っているものが、何十年かたったら、時代劇みたいになるかもしれないし、そう考えれば、現代劇と何ら変わるところはないと思います。これからも時代劇を勉強したいと思いますし、出てみたいです。

 クランクインする前に、(松本壮史)監督から「これを見た方がいい」というリストが送られてきて、それを基にいろいろと見ました。撮影で、実際に時代劇を見るシーンもあったので、ハダシ役の伊藤(万理華)さんと一緒に『座頭市』も見ました。すごく昔に撮られたものなのに、撮り方やカメラの寄り方など、今の映画よりも新しく感じる瞬間があって、古いものだとは全く思いませんでした。黒澤明監督の『椿三十郎』(61)がすごく好きになりました。出ている人が、そのたたずまいだけで、いろいろなものを醸し出しているし、見る人を信じて撮っている感じがして感動しました。

-この映画には、青春映画やラブストーリーとしての魅力もありますね。

 中学生のときに、一生懸命映画を作ったことも、今から思えば青春ですが、そのときは「青春だな」と思いながらやっていたわけではありませんでした。この映画の撮影に臨んで、完成した作品を見て思ったのは、「青春映画として作っていないから、青春映画になったのかな」ということでした。本当に、皆が、目の前のことに精いっぱいで、真っすぐで、体当たりで、というさまを、そこにいない人が客観的に見たら、「青春だ」と思うのではないかと。この映画で気付きました。

 
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