エンターテインメント・ウェブマガジン
考え方次第で、誰の日常にも“奇跡”があふれている。4月29日から公開される『ツユクサ』は、平凡な毎日を生きる大人にそっと寄り添ってくれる人生賛歌の物語。『愛を乞うひと』『閉鎖病棟-それぞれの朝-』の平山秀幸監督が10年以上温めてきた企画だという。主演の小林聡美と相手役の松重豊が、その魅力を語り合ってくれた。
小林 あまりにもやってこなかったので、そこはあまり考えないように(笑)。特に意識せずに、役の気持ちで映画の中に存在すれば自然と流れていくのではないかと思っていました。
松重 僕は、実際はやったことがないのに、人殺しとか殺される役はしょっちゅうやっていたものですから、恋愛の経験値は高くないんですけど、恥ずかしさや照れはないですね。やってみたい気持ちの方が大きかった。人を殺す役と同じように、どんな気持ちが生まれてくるのか? ということを楽しもうと思いました。
松重 僕はもう、小林さんは大林宣彦監督の『転校生』(82)の頃から観客としてずっと見てきた方ですから。小林さんのスクリーンから醸し出す存在感に関して、僕らの世代共通の憧れがあるので、そこをこっちで強く意識してはいけないと思いながら、なるべく自然に振る舞おうとはしていたんですけど。どこかにぎこちなさはあったかもしれない。
小林 いやいやいや。
松重 僕らにとっては、スターですから。
小林 どこがですか(笑)! 私の方は、松重さんとは何回かご一緒させていただきましたけれど、冗舌でなくとも、そこにいるだけで語れる希有な俳優さんだと思っていて。そこが妙に心地いいというか、語らないところで正直に向き合えるという面白さが松重さんとのお芝居にはあります。
小林 特別変わったキャラクターではないし、日常的な中にちょっと、ハッとするようなことが散りばめられている面白い脚本だったので、その世界観を壊さないよう、自然にいようと思いました。そもそも私の場合、松重さんのように、人を殺すとか非日常的なキャラクターが来ないんですけど(笑)。
松重 分からないですよ、これから。
小林 いいですね(笑)。でも、普段も役について突き詰めては考えないですね。非日常キャラの気持ちとか、考えてみたい。
松重 逆にそっちの方が考えなくなりますよ。殺人鬼を考えても仕方がないですから(笑)。
小林 そっか、でもそれはそれで面白そう。
松重 ゾンビの気持ちを考えてもねぇ。
小林 ハハハハ。
松重 僕も特に考えずに、というか、人と出会って心が動いていく話なので。僕が演じる篠田がなぜこの町に来て、道路工事の現場で働いているかっていうことを劇中で細かく説明もしていないですから。ある女性と出会って心が動いていくっていうことを、できればドキュメンタリーのように見えたらいいなと思って。ただ「いる」っていうことを心掛けようと思っていただけですけどね。
小林 監督の求めていたのも、そういう何げないところを切り取ることだった気がします。
松重 出てくる人が誰一人、痕跡を残すようなことをしようとしていないので、あの海の近くの町に生きている人のリアリティーみたいなものしか、役者の体を通して見えてこないので、そこがすてきだなと思う。
小林 でも、痕跡を残しそうな人たちばっかりなんですけどね。
松重 残そうとすればいくらでも残せる人たち。あえて封印している。
小林 そうそう、だからちょっとドキドキする。だって泉谷しげるさんだって渋川清彦さんだって、やろうと思えばねぇ(笑)。
ドラマ2025年7月7日
トリンドル玲奈が主演するドラマ「レプリカ 元妻の復讐」が、7日23時6分からテレ東系で放送がスタートする。本作は原作・タナカトモ氏、作画・ひらいはっち氏による同名漫画を映像化。整形して別人として生きる主人公・伊藤すみれ(トリンドル)が、人 … 続きを読む
ドラマ2025年7月5日
韓国の百想芸術大賞で作品賞、脚本賞、男性最優秀演技賞の3冠を達成した極上のサスペンス「怪物」。WOWOWが世界で初めてそのリメイクに挑んだ「連続ドラマW 怪物」(全10話)が、7月6日(日)午後10時から放送・配信スタート(第1話・第2話 … 続きを読む
ドラマ2025年7月5日
7月13日(日)にスタートする、松本潤主演の日曜劇場「19番目のカルテ」(TBS 毎週日曜夜9時~9時54分)。原作は富士屋カツヒト氏による連載漫画「19番目のカルテ 徳重晃の問診」 (ゼノンコミックス/コアミックス)。脚本は、「コウノド … 続きを読む
映画2025年7月4日
第42 回吉川英治文学新人賞を受賞した武田綾乃の小説を原作にした鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』が、7月4日公開となる。浪費家の母(河井青葉)に代わってアルバイトで生活を支えながら、奨学金で大学に通う主人公・宮田陽彩が、過酷な境遇を受 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年7月4日
2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。 物語の舞台は歌舞 … 続きを読む