【インタビュー】映画『ツユクサ』小林聡美×松重豊「奇跡は特別なことではなく、気付けるかどうか」

2022年4月25日 / 12:00

-年を重ねると、恋愛に限らず一歩踏み出すのに勇気が要ります。踏み出すのに必要なものは何だと思いますか。

小林 考え過ぎないことじゃないですかね。これを始めたらこの先どうなるかとか考えずに、とりあえず行動してみる。私は、なるべく気楽に生きようと思っているので…。松重さんはどうですか?

松重 俳優でこうやってお仕事を頂いて、お金も頂いているんですけど、大した仕事をしてないなと思っているんですよ。

小林 でも結構な肉体労働だと思うときもありますよ。

松重 俳優は頂いたせりふをカメラの前で言えばいいといえばそれだけ。仕事以外にも世の中にはいろいろと面白いことがあるんじゃないかと考えると、人生残り少なくなってきているんで、やりたいことを自分の心に素直にやろうと思っている。隕石にでも、何にでもぶつかってみたいなと。

小林 新しく何かを始めたとか?

松重 最近は面倒くさいことをやろうと思って。音楽もサブスクリプションでスマホから直接聴けるようになったけれども、あえてレコードを聴くとか。コーヒーも布ドリップでちゃんと出す。車もあえてマニュアル車に乗る。ひげそりも電気とか5枚刃とか、何でそんなに便利にするんだろうと思って、両刃のT字でやるとすごく気持ちがいいことに気付いた。血も出るし、大変なんですよ。でも、便利にしたことで失っていくプロセスがある。このプロセスが豊かだったのにな、ということを忘れかけているので、新しく始めるというよりも逆に回帰しているのが、最近の僕のブームですね。

-この作品の根底に流れているメッセージ、テーマについてはどう思いますか。

小林 人生って、ゆったり続いていく中で、少しずつ変わりながら進んでいくもの。私は出来上がった作品を見て、人生というものの時間の流れのいとおしさというか、人生を肯定する目線を感じました。星座が季節で変わっていくように、人生もゆっくりいろいろと景色を変えていくみたいなことを。奇跡は特別なことではなくて、それに気付けるかどうか。隕石にぶつかることも、その捉え方によって、人生の豊かさは変わっていく。

松重 今、ここ2年以上コロナっていうすさまじいものにぶつかっているんですけど、それをどう捉えるかは受け止め方による。時間がたって、「あんなこともあってね、みんなマスクしていたんだよ」ということが奇妙なエピソードとして残っていく。そういう捉え方もあるんじゃないか。人生って、何が起きてもプラスに換えていけばいいんじゃないかというのが、平山監督が長年映画を撮ってこられた結論。最終的にこういうものを撮りたかったんだなと。ありふれたところにいろんな奇跡が転がっているし、「それが人生だよ」といえる応援歌になっている気がします。

(取材・文・写真/外山真也)

(C)2022「ツユクサ」製作委員会

 

 

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