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ただ注意したいのは、『愚管抄』という有名な歴史書に「日本は女人入眼(にょにんじゅげん)の国」という記述があることです。これは、「日本は女性たちが仕上げる国」という意味であり、当時の女性は一般的に日陰の存在で、政子だけが特別だった、というわけではありません。他にも、自分の夫を操り、積極的に舵取りをしていく強い女性たちが次々に登場します。朝廷側で政子と渡り合う丹後局(鈴木京香)や政子の継母・牧の方(宮沢りえ)などがそれに当たります。政子にもライバルがたくさんいたということは、新しい発見になると思います。
八重は、非常にミステリアスでドラマチックな人生を送った女性です。『曽我物語』には頼朝が政子の前にある女性と結婚していたと書かれています。それが八重です。後の征夷大将軍の妻でありながら、歴史の影にひっそりと消えていった存在。そんな八重にぴったりだったのが、「すてきな女性」というパブリックイメージを持ちつつも、「実はどういう人なんだろう?」というミステリアスな部分もある新垣さんでした。初の本格的な時代劇出演ですが、素晴らしいお芝居をされる女優さんだと改めて舌を巻きました。
思わず笑ってしまうようなコミカルな部分がある一方で、残酷だったり、理不尽な運命に人々が苦しめられるシーンもある。それが三谷さんのドラマの大きな魅力ですが、皆さん「その振れ幅の大きさが大変」とおっしゃっています。それでも皆さん、うそのないように全力で、その時その時の感情を大切に演じていらっしゃることを、そばで見ていてひしひしと感じます。
作り手としても、その面白い部分とシリアスな部分をいかに一つのドラマにまとめ上げていくかが、三谷ドラマならではの難しさであり、醍醐味(だいごみ)だと思っています。いずれにしても、スタッフ、キャストの努力によって、日曜夜8時が待ち遠しくなるような素晴らしい作品が出来上がりつつあることだけは間違いありません。期待を裏切らない内容に仕上がっていますので、ぜひお楽しみください。
(取材・文/井上健一)
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