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2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が1月9日からNHKで放送開始となる。「新選組!」(04)「真田丸」(16)を手掛けたヒットメーカー、三谷幸喜のオリジナル脚本の下、源平合戦から鎌倉幕府誕生に至る時代を背景に、鎌倉幕府の最高権力者に上り詰めた2代執権・北条義時の生涯を描く物語だ。主演は、これまで数々の大河ドラマに出演してきた小栗旬。放送開始を前にドラマの見どころ、撮影の舞台裏などを語ってくれた。
実際にやってみると、それほど普段と変わらないな、と。ただ、道のりが長いので、なかなか大変だと思うことは多いです。ほぼ毎日、撮影をしているので、不思議な感覚です。ゴールはまだ全然見えませんし、それでいて、もう半年が過ぎている。普段の撮影は「仕事に行っている」という感覚ですが、今回は生活の一部になっているようで、「なるほど、こういうことをライフワークというのかな」という感じです。
今回は、本当に何もしていません(笑)。皆さんそれぞれ経験があり、いろいろなところで自分の現場を持たれてきた方たちばかりなので、僕が「こんな現場にするぞ」と引っ張っていく必要がないんです。それはすごく助かるな、と。だから、僕もいたいようにいて、やりたいように芝居をさせてもらっている、という感じで。本当に居心地よくやらせてもらっています。
初めて脚本を読んだとき、「なるほど、こういう切り口で始めるんだ」とすごく感じました。源頼朝を推挙して挙兵するまでが、北条家のホームドラマみたいなんです。大河ドラマはそんなふうに家族の物語から始まることも多いと思いますが、三谷さんらしいユーモアもあり、皆さんに楽しんでいただける作品になるのではないでしょうか。また、今回の三谷さんの脚本は「去り行く人たちの美学」みたいなものが、非常にかっこよく描かれています。それはちょっと「うらやましいな」と。皆さんの「散り際」がものすごくかっこいいんですけど、僕は最後まで去らないですから(笑)。
普段、時代劇の場合は「ちょっと」という言葉を使ってはいけないと思って参加するのですが、三谷さんの脚本には「ちょっと」が結構出てくるんです。それを見て、「言っていいんだ!?」と(笑)。頼朝役の大泉(洋)さんも「ちょっといいかな?」というせりふがあって、「まさかこんなせりふを大河で言うとは思わなかった」と言っていましたし(笑)。時代劇ではその時代に合った言葉を使わなければいけないので、普通はアドリブを挟むことが難しいのですが、今回はそういう縛りが薄い分、より面白くなっている部分もあるのではないでしょうか。
あくまで僕たちが作っている作品の中の話ですが、義時はもともと、自分の置かれている立場にそれほど不満を持っていない青年だったんです。戦にもそれほど興味がなく、米蔵で米の勘定をしている方が楽しい、と言っていたぐらいで。それが、兄の宗時(片岡愛之助)を筆頭にした「源氏が平家に反旗を翻す」という動きに巻き込まれていく。そこから頼朝の横でさまざまな政治のあり方を見てきた結果、だんだん清濁併せ飲む計算高い人になってくる。歴史劇としてはそれが面白いところなのでしょうけど、演じている僕としては、あんなに真っすぐだった青年が、少しずつ「家族を守るためには、こうせざるを得ない」ということに手を染めていくところに悲しさもあって…。
いつの時代もあることなので、人間にとっては避けられないことなのかなと。僕らもそういう歴史の上にいるので、一概に「醜い」とも言えませんし。その裏にあった物語を描くのが歴史劇ですし、単に「俺は権力が欲しい」というだけではない事情が分かると、そこに人間ドラマが見えてくるはずです。義時の場合も、決して権力が欲しかったわけではなく、守らなければいけない人たちが増え、「この人たちを守るためには、こう決断をせざるを得ない」ということを繰り返した結果、権力闘争に加わっているだけで。そんなふうに「この人の本来の心根はどうだったんだろう?」ということが見えてくると、受け取り方も変わってくるのではないでしょうか。
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