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巨匠・黒澤明監督とその多くの作品に主演した三船敏郎が、初めてタッグを組んだ映画『醉いどれ天使』(48)が舞台化され、9月3日から上演される。本作は、先が見えない終戦直後の日本を舞台に、闇市を支配する若いやくざ・松永と、酒好きで毒舌な貧乏医師・真田がぶつかり合いながら、明日に向かって歩みを進めようとする姿を描く。松永を桐谷健太が、真田を高橋克典が演じ、演出は三池崇史が務める。三船が演じた松永に新たに息を吹き込む桐谷に、公演への意気込みを聞いた。
実は、三池さんが夢に出てきたことがあったんです。(夢の中で)「よろしく」と声を掛けられたので、僕も「どうも、よろしくお願いします」と返事をして、そこでそのときの夢は終わったんですが、すごく印象に残っていたので覚えていました。そうしたら、その1週間後ぐらいに、この作品のお話を頂いたんです。つながったなと僕の中では納得感がありましたし、ぜひやらせていただきたいと思いました。
僕は誰が演じたからということはあまり考えないです。時代も違いますし、今回は脚本も蓬莱(竜太)さんが書いていて、映画とはまた違った素晴らしさのある脚本になっているので、自分は自分の松永を演じるという思いです。
意外と力みはないです。どう変わっていくんだろう、どうなっていくんだろうという楽しみの方が強いです。(取材当時)まだ稽古も始まってないので、どうなるのかは分かりませんが、今現在は、その時を生きて、ライブ感を大切に演じたいと思っています。もちろん、そのためにも稽古をして積み上げていくことが大事になりますが、例えば、公演中にその時々で感じるものを素直に出したいと思います。その瞬間、その公演でしか出せない松永があっていいと思うので、「その時」を大切に演じたいです。
もちろん、当時の資料を読んだり、戦争経験のある方のお話を読んだり聞いたりもしたいとは思っていますが、あまりこうだと決めつけ過ぎずに、挑戦的に挑みたいと思います。ビジュアル的なことも含めて、あまり決めつけてしまうと面白みが減ってしまうのではないかという思いもあるんです。舞台なので、自分の中で余白があって、それが時には埋まったり、普段と違うところが埋まったりとなったら面白いんだろうなと。今回は、演出が三池さんということもあって、決められたことを毎公演、同じようにやるというよりも、自分の中で新鮮な気持ちで楽しんで演じたいと思います。
映画では、その時代を生きる人だからこそ分かることもすごくたくさんあったと思います。なので、現代を生きる僕たちが見たときに、これはなんだろうと思うところもあると思うのですが、蓬莱さんの脚本では、そういった現代の僕たちにはピンとこなかったところまでしっかりと描いているので、スッと染み込んできます。
不器用で口も悪くて酒好きな真田という役ですが、高橋さんの優しい笑顔が真田にもう一つの魅力を与えてくれると思います。僕は、高橋さんとお芝居で共演するのは初めてなので、まだまだ未知数だらけですが、だからこそ楽しみしかありません。
正直なところ、僕はコロナ禍ではないときにも、明治座のような劇場の舞台に立ったことがないので、どうなるのかは分からない部分もあります。ですが、いろいろな思いを抱えて来てくださるお客さまがたくさんいらっしゃると思うので、僕は役者として稽古に真摯(しんし)に臨んで、前向きに向き合っていきたいと思います。
俳優の仕事に対してということだけではありませんが、昨年の自粛期間は、自分のことを見つめられる期間にはなったと思います。その時間は自分を大きくしてくれたと思いますし、自分にとってはすごく必要だった時間でもあったとも思います。もちろん、大変な時期でしたし、いろいろな思いを抱えていらっしゃる方がいるので、一概に手放しでいい期間だったとも言えませんが。
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