「信秀から信長へ。ここからが新しい時代の幕開けです」高橋克典(織田信秀)【「麒麟がくる」インタビュー】

2020年4月5日 / 20:50

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「麒麟がくる」。第七回から織田信長(染谷将太)も登場し、いよいよ役者がそろってきた。その一方で、主人公・明智光秀(長谷川博己)の主君・斎藤道三(本木雅弘)のライバルとして物語を盛り上げてきた信長の父・織田信秀が、4月5日放送の第十二回でついに最期を迎えた。ここまで信秀を演じてきたのは、これが大河ドラマ初出演となる高橋克典。これまでの撮影で感じたことや、役に込めた思いを語ってくれた。

織田信秀役の高橋克典

-大河初出演の感想は?

 とても楽しかったです。やはり大河ドラマの現場は、スケールが大きいです。どこへ行っても大掛かりなセットが組んであるので、毎回驚かされました。大勢の出演者やスタッフがいますし、撮影もどんどん進んでいきます。僕にとっては、なかなかない現場だったので、非常に刺激的で、「大河」という名のごとく、大きな河の流れの中に撮影自体もあるような気がしました。今回は4Kでの撮影に加えて、年齢的なことから自分のポジションも今までとは変わってきているので、どんなお芝居が合うのか、模索しながら演じました。

-織田信秀という役柄を、どのように演じていましたか?

 プロデューサーからは、「今までの信長のイメージを信秀が請け負ってほしい」と言われていました。その割には、戦に出て行って負け、気持ちを切り替えて勢いよく出て行きながらも、また負ける…の繰り返しでしたが(笑)。信秀は疲れ切っていて、運もなく、体には毒も回ってきている。それを自分でも見切っているんです。それでも力を振り絞って元気に見せていますが、内側はどんどん弱っていき、さらに息子たちを見るとふがいなくて「この運も俺限りかな…」と思っている。あまり剛毅なところを見せられなかったのはやや残念で、もう少し暴れたかったところですが、自分なりに精いっぱい演じたので、それが伝わってくれたらいいです。

-信秀と信長の関係をどんなふうに見ていましたか。

 信長にとっての信秀は、もしかしたら越えられない山なのかもしれません。尾張は、周りが幾つもの国に囲まれていて大変だったはず。それでも、金を使うなどいろいろな手を用いて国を守ってきた。そんな信秀は、信長から見たら憧れであり、反面教師でもあったと思います。とはいえ、どんな形でも、父が息子に与えた影響は絶大だったはず。僕は愛情を持って信長のことを見ていましたが、もっとドライで精神的に突き放した冷たさがあってもよかったかなと思っています。「ふがいない」と、信長を諦めているぐらいでもよかったのかなと。

-15、16歳の信長に対して、高橋さんが声を掛けるとしたらどのような言葉を?

 「もっと熟慮しろ。熟慮して力を使うべきところに力を使え」ですね。ただ力が強いだけでなく、そういう頭の良さを持ちなさい、と伝えたいです。例えば、第9回で松平広忠(浅利陽介)の首を持ってきたときも、婚儀で手を結んでいる美濃まで厄介事に巻き込むことになるので、「今これをやってしまうと、余計に大変だ」と信秀は落胆するんですよ。だから、「ただ力が強いだけでなく、策も使わないと先に進めない」ということを伝えたいです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

二宮和也「子どもたちの映画館デビューに持ってこいの作品です」『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY』【インタビュー】

映画2025年5月17日

 テレ東系で毎週月~金、朝7時30分から放送中の乳幼児向け番組「シナぷしゅ」の映画化第2弾。番組のメインキャラクター「ぷしゅぷしゅ」と相棒「にゅう」が、バカンスで訪れた「どんぐりアイランド」を舞台に繰り広げる冒険をオリジナルストーリーで描き … 続きを読む

【週末映画コラム】異色ホラーを2本 デミ・ムーアがそこまでやるか…『サブスタンス』/現代性を持った古典の映画化『ノスフェラトゥ』

映画2025年5月16日

『サブスタンス』(5月16日公開)  50歳の誕生日を迎えた元人気女優のエリザベス・スパークル(デミ・ムーア)は、容姿の衰えによってレギュラー番組を降ろされたことから、若さと美しさと完璧な自分が得られるという、禁断の再生医療「サブスタンス= … 続きを読む

新原泰佑、世界初ミュージカル化「梨泰院クラス」に挑む「これは1つの総合芸術」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年5月16日

 世界中で大ヒットを記録した「梨泰院クラス」が、初めてミュージカル化される。主人公のパク・セロイを演じるのは小瀧望。日本・韓国・アメリカのクリエーターが集結し、さまざまな人種が混じり合う自由な街・梨泰院で権力格差や理不尽な出来事に立ち向かう … 続きを読む

グレッグ・ターザン・デイビス「とにかく、ただ純粋に面白い映画を撮ることだけが、自分たちに与えられたミッションでした」『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』【インタビュー】

映画2025年5月15日

 トム・クルーズ主演の大ヒットスパイアクション「ミッション:インポッシブル」シリーズの第8作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』が、5月23日の公開に先駆けて17日から先行上映される。前作『ミッション:インポッシブル/デッ … 続きを読む

研ナオコ、認知症のおばあちゃん役で9年ぶりの映画主演「主演女優賞を狙ってます(笑)」岡﨑育之介監督「研さんの人生の奥行きがにじみ出た」『うぉっしゅ』【インタビュー】

映画2025年5月12日

 人生に迷いながらソープ嬢として働く若い女性・加那と、彼女に介護されることになった認知症の祖母・紀江の交流を明るくポップなタッチで描いたユニークな映画『うぉっしゅ』が絶賛公開中だ。  本作で、加那を演じる若手注目株の中尾有伽と共に、紀江役で … 続きを読む

Willfriends

page top