【インタビュー】「十三人の刺客」中村芝翫「ぜひまた克典さんと共演を」高橋克典「家族に近い感覚でできたことが楽しかった」幼なじみの2人が、名作時代劇のリメークドラマで初共演

2020年11月27日 / 17:00

 昭和の名作時代劇が、令和の時代によみがえる。昭和38(1963)年の公開以来、映画やテレビドラマ、舞台劇として何度もリメークされてきた「十三人の刺客」が、NHK BSプレミアムで11月28日(土)午後9時から新作テレビドラマとして放送される。幕末の天保年間。老中・土井大炊頭(里見浩太朗)から、将軍の弟で、暴君として悪名高い明石藩主の松平斉継(渡辺大)暗殺の密命を受けた島田新左衛門は、ひそかに刺客たちを集める。その前に立ちはだかるのは、斉継の側用人・鬼頭半兵衛。だが、新左衛門と半兵衛は、かつて剣の腕を競った“竹馬の友”だった。参勤交代の途上で繰り広げられる両者の激闘の行方は…? 本作で島田新左衛門と鬼頭半兵衛を演じる中村芝翫と高橋克典は、実際に幼なじみ同士。気心の知れた2人が、初共演の感想や撮影の舞台裏を語ってくれた。

高橋克典(左)と中村芝翫

-完成した作品をご覧になった感想を。

芝翫 芝翫になりましてから、こういった本格的な時代劇をやるのは初めてでございまして、その上、克典さんは私の小学校からの先輩です。幼なじみというのはおこがましいんですけれど、“竹馬の友”として共演させていただけたことが、すごくうれしくございました。いつも「克典さん」、「幸二(芝翫の本名)」と呼び合っている仲で、相対して芝居をすることは初めてですので、最初はなんとなくむずがゆいようなところがございました。でも、おかげで島田新左衛門、鬼頭半兵衛という役を、改めて作らずに、そのまま自然体の中で行けたような気がします。

高橋 小学校の頃は、一緒に電車通学していたんです。そんな頃からの、僕にとってはものすごく近い友だちですけど、役者としては大先輩。ずっと彼の背中を見ながらやってきたようなところがあります。だから今回、初めて一緒にやらせてもらうことに、緊張と喜びがありました。家族ではないけれど、限りなく家族に近いような、そういう感覚の中でできたことが、すごく楽しかったです。

-オファーを受けたときのお気持ちは?

芝翫 例えば、「忠臣蔵」であれば、ちょっと視点を変えて描く作品もありますが、「十三人の刺客」に関しては、物語の柱になる部分はどの作品でも変わりません。だから、小学校の漢字ドリルではありませんが、点をなぞって字を書くようなことになってはいけないな…と思っていました。(63年の映画に主演した片岡)千恵蔵先生や、他の皆さんが出演された作品も、それぞれ雰囲気は違いますし、僕や克典さんがやる中では、また違ったものを取り込んでいきたいし…と。そういう意味では、撮影が終わった後も、まだ物足りない印象があって、とても奥深い感じがしました。

高橋 僕は以前、この作品の舞台版で島田新左衛門役をやらせていただいたことがあるんです。だから、機会があれば鬼頭半兵衛をやってみたいと思っていたので、うれしかったです。

-実際に共演してみた印象はいかがでしたか。

芝翫 僕は、(中村)勘三郎の兄貴と(坂東)三津五郎の兄貴のように、ライバル心を持っているのって、とてもすてきだと思うんです。でも残念ながら、僕には歌舞伎界では同い年の人がいません。(市川)中車(香川照之)くんが出てきましたけど、それも後年になってから。こうやって同年代でしのぎを削るようなことができるのは楽しいんだな、と改めて思ったので、「ぜひまた克典さんと共演させてほしい」とお願いしているところです。

高橋 すごくよかったです。喜怒哀楽のさまざまな感情を、時代劇の所作を含めて、いろんなさじ加減で豊かに表現する彼の芝居は、とても勉強になりました。本番中にちょっとした芝居の相談をしたり、普段は役者同士ではしないような話もできましたから。

芝翫 克典さんが、時代劇を大事にしている様子が垣間見えました。京都の東映撮影所の中の役者さんたちとも、仲良く交流されていて…。スタッフの皆さんも生き生きとしていました。

高橋 時代劇をもっとやりたいんですよね。京都の撮影所は、言ってみれば“日本のハリウッド”みたいなもので、撮影に特化した職人さんたちの集団。とはいえ、そうそうたる先輩方の芝居を間近に見てきた人たちなので、そういう方々と比較される怖さもあって。

芝翫 そうですね。僕も、初めて東映撮影所に行かせていただいたときは、まだ千恵蔵先生がいらっしゃいましたから。僕は歌舞伎役者であるのと同時に、映像の世界でも育てていただきました。最初に東映の時代劇に出演したとき、井戸から水をくんで手を洗うシーンがあったんです。でも、それまで水が入っていないおけで手を洗う芝居を勉強してきたので、本物の水で手を洗う芝居ができず、20回以上もNGを出してしまい…。怒られて、すごく苦しい思いをして。千恵蔵先生の指示で、オープンセットに行って、裸足で立ち回りをさせられたこともありますし…。いろいろと勉強させていただいたことを思い出しました。

-お二人が演じる島田新左衛門と鬼頭半兵衛の見どころは?

芝翫 やっぱり、男の友情ですよね。あと今回は、新左衛門に娘(大島優子)がいることになったおかげで、その人となりがちょっと垣間見えたような気がします。

高橋 半兵衛と新左衛門のように、絆で結ばれた友がいる人生というのは、幸せなことではないかな…と。そんな感慨も含めて見ていただけたらうれしいです。

 
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