【インタビュー】ミュージカル「HOPE」高橋惠子、「悔いのないようにやり切ろう」と出演を決めた初めてのミュージカル

2021年8月6日 / 08:00

 著名作家の遺稿の所有権をめぐって、実際にイスラエルで起こった裁判をモチーフに描いたミュージカル「HOPE」が、10月1日から上演される。日本初演となる本作で、主人公・ホープを演じるのは高橋惠子。高橋は、女優デビュー51年目にして初めてのミュージカルで主演に挑む。高橋に初ミュージカルへの思いや公演への意気込みを聞いた。

ホープ役の高橋惠子

-どのような思いから、初めてのミュージカルに挑むことを決めたのですか。

 実は「あと2年ぐらいで女優を引退しようかな」なんて思っていたんです。ですが、先日まで出演していた舞台「キネマの天地」で、ステージに立ってお芝居をしていたら、やっぱり女優業は面白いなと改めて感じました。それに、自分の中でやり切っていないのに辞めるなんてまだ早いという思いも湧いてきたんです。それで、もう1回、いろいろなことに挑戦して、悔いのないようにやり切ろうと決めた直後にこのお話を頂いたので、これはもうやるしかない、と。できるできないは置いておいて、とにかくやるぞという前向きな気持ちでお引き受けしました。タイミングがすごく良かったんです。

-「女優を引退しよう」と思われたのはなぜだったんですか。

 女優業を50年やってきましたが、「これだけで終わってしまうのももったいないな。ほかのこともやってみたいな」という思いがあったからです。じゃあ、ほかのことって何かと言われると、具体的なものはなかったのですが。それから、女優は自分には向いてないんじゃないかな、と。50年やってきて今さら向いてないというのもおかしな話ですが(笑)、そんな気持ちもあったんです。

-そんな中での舞台出演で、改めて女優業の魅力に気付き、今回の挑戦につながったんですね。出演に当たっては、どのようなお気持ちですか。

 公演まで限られた時間ですが、そこに向かって精いっぱいトレーニングをして、とにかく歌えるようになりたいと思っています。なので、まだプレッシャーを感じている暇もありません(笑)。

-脚本を読んで、本作の魅力をどこに感じましたか。

 ホープは、母親から譲り受けた原稿を手放さず、それにこだわって、それを頼りに生きたのですが、その姿に、人間にはすごい力があるんだということを感じました。肩書きもなく、財産もなく、何も持っていなくても、自分自身でいることでそこには強いエネルギーがあるものだと思います。それから、ホープが最終的に選ぶ生き方には感動しましたし、私もホープを見習わなければいけないと思うところもたくさんあります。私はイスラエルには行ったことがなく、戦争という大変な出来事も体験していないので、その辺りは今後、さらに深めていかなければいけないと思っていますが、1人の人間として共感できる部分はたくさんあると思います。

-本作では、俳優の新納慎也さんが初めて演出をするということでも注目されています。新納さんとは、すでに何か話しましたか。

 まだお会いしてないんです。共演の経験もないので、今回、役者と演出家という形で初めてご一緒させていただきます。顔合わせのときにはお会いできると思うので、お会いできるのが楽しみです。この作品は、新納さんが翻訳もされて、上演台本も書かれているのですが、それだけ思い入れがあるということだと思いますので、その期待に応えられるよう頑張らなければいけないと思っています。

-ホープとホープの母・マリーが守ってきた原稿を擬人化した「K」役で出演する永田崇人さんと小林亮太さんとも初共演になりますね。

 はい。今日(取材当日)は、ビジュアル撮影を行っていたのですが、そこで初めてお会いして、お二人ともとても魅力的な若者でしたので、共演できることがうれしいです。きっといろいろな刺激を頂けるんじゃないかと思っております。それから、(過去のホープ役の)清水くるみちゃんとは、(19年に上演された)「黒 白 珠 KOKU BYAKU JU」という舞台作品でご一緒させていただいたので、今回もまたご一緒できるのがすごくうれしいです。(マリー役の)白羽ゆりさんともご縁があって…。このコロナ禍で時間ができたので、フランス語を習いに行っていたのですが、そこで白羽さんのお姉さまと同じクラスになって、知り合ったんです。それがきっかけで、白羽さんともお会いして、「一緒に舞台に立てるといいね」というお話をしていたんですよ。こんなに早く実現できるとは思っていなかったので、すごく楽しみです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵』『てっぺんの向こうにあなたがいる』

映画2025年11月1日

『爆弾』(10月31日公開)  酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。  やがてその言葉 … 続きを読む

福本莉⼦「図書館で勉強を教え合うシーンが好き」 なにわ男⼦・⾼橋恭平「僕もあざとかわいいことをしてみたかった」 WOWOW連ドラ「ストロボ・エッジ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 福本莉⼦と⾼橋恭平(なにわ男⼦)がW主演するドラマW-30「ストロボ・エッジ  Season1」が31日午後11時から、WOWOWで放送・配信がスタートする。本作は、咲坂伊緒氏の⼤ヒット⻘春恋愛漫画を初の連続ドラマ化。主人公の2人を軸に、 … 続きを読む

吉沢亮「英語のせりふに苦戦中です(笑)」主人公夫婦と関係を深める英語教師・錦織友一役で出演 連続テレビ小説「ばけばけ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」。明治初期、松江の没落士族の娘・小泉セツと著書『怪談』で知られるラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)夫妻をモデルに、怪談を愛する夫婦、松野トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ) … 続きを読む

阿部サダヲ&松たか子、「本気でののしり合って、バトルをしないといけない」離婚調停中の夫婦役で再び共演 大パルコ人⑤オカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年10月31日

 宮藤官九郎が作・演出を手掛ける「大パルコ人」シリーズの第5弾となるオカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」が11月6日から上演される。本作は、「親バカ」をテーマに、離婚を決意しているミュージカル俳優と演歌歌手の夫婦が、親権を … 続きを読む

高杉真宙「見どころは、何よりも坂口健太郎さんと渡辺謙さんの演技だと思います」『盤上の向日葵』【インタビュー】

映画2025年10月30日

 『孤狼の血』で知られる柚月裕子の同名小説を映画化。昭和から平成へと続く激動の時代を背景に、謎に包まれた天才棋士・上条桂介(坂口健太郎)の光と闇を描いたヒューマンミステリー『盤上の向日葵』(配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/松 … 続きを読む

Willfriends

page top