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今回は、ぎりぎりまでフェースシールドを付けていたり、なるべく距離を置いて演じなければならなかったので、その分、人と触れ合うことの大切さを気づかされました。寅ちゃんにも、ハグしたくなるような瞬間がたくさんあったのに「あっ、ちょっと近いな」とか(笑)。何ということはない親子の触れ合いですが、そういう瞬間が親子っぽく見えるのかなと思いました。
家族がそろうシーンで布団の打ち直しをするところがあって、その当時の普通の日常の風景なんですが、こういう一つ一つの作業をみんなでやっていたんだなあ、こういう時代だったんだなあと思ったことが印象に残っています。これを見て、懐かしいと思われる方もいらっしゃると思いますし、逆に新鮮に見ていただけるシーンでもあると思います。
私は、脚本を読んだときに、亡くなった祖父のことを思い出しました。祖父は渥美清さんの大ファンだったので、いろいろな思い出がよみがえってきました。前回のドラマもそうですが、きっと今報告したら、うれしがるだろうなとか、もっといろんなことを聞きたかったなあとか、そんなことを思いました。今回のスペシャルは、寅ちゃんが、大好きだったお母さんや家族のことを、思い返すという物語です。今、コロナ禍で、会いたくても会えない人がたくさんいると思います。このドラマには、相手を思うことの大切さが込められているので、見終わった後に、会えないけど会いたいな、という大事な人のことを思えるような作品になっていると思います。
(取材・文・写真/田中雄二)
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