【インタビュー】ドラマ「少年寅次郎スペシャル」井上真央(車光子)「このドラマには、相手を思うことの大切さが込められています」

2020年12月3日 / 06:00

 最愛の妹さくらに見送られて葛飾・柴又を旅立った寅次郎(井上優吏)が1年ぶりに柴又に帰ってくるが…。昨年放送されたドラマ「少年寅次郎」のスペシャル版である「少年寅次郎スペシャル」が、12月4日と11日の午後10時からNHK総合で放送される。前回に続いて、寅次郎の育ての親・光子を演じた井上真央に今回の見どころや役柄について聞いた。

車光子役の井上真央

-1年ぶりの撮影の感想は?

 前回のドラマが終わったときに、本当にみんなが家族のように仲良くなって、この作品が大好きだったので、「また再会できたらいいね」なんて言っていました。それで「もし続きができたら、どんな感じの話になるんだろう」と。寅ちゃんが悪さをしようとすると、幽霊になった光子が出てきて「寅ちゃん!」って叱るという…。そんな浅い妄想をみんなでしたりしていました。その後、私の周りでも反響が大きくて、もしかしたら新たな形でやれるかもしれないということを耳にして、すごく楽しみにしていました。ただ、コロナで、どうなるのだろうというのがあったので、本当にやれるのかな、みんなと会えたらいいなと、そわそわしていました。少し状況が落ち着いて撮影が再開できることになり、岡田(惠和)さんの脚本が届いたときに、「なるほど。寅ちゃんが柴又に帰ってきて、私は回想という形で出るんだ」と。前後編の2回だけですけど、その続きが読みたくなるような脚本だったので、うれしかったです。最初のリハーサルのときに、皆さんホッとした感じでした。こういう大変な状況の中で“家族”に会えたことはすごく心強かったです。

-寅次郎を演じた子役たちと再会した印象は?

 「変わってないな」と思うことが多くてホッとしました。ただ、やっぱり会話をしていると、「あっ、ちょっと成長したな」というところもありました。大寅ちゃん(井上優吏)はすごく背も高くなって、大人に近づいているな、立派な子に成長しているな、という感じがしました。もともとシャイな子ですが、人見知り度が増していまして、今回も10回話し掛けて、やっと1回答えが返ってくるという感じで、「ちょっと、お母ちゃん寂しい」と思いました。ただ今回は、大寅ちゃんはお芝居的にもとても大変なシーンがあっただったので、彼なりに、前回よりも頑張らなくては、と思っている感じはしました。小寅ちゃん(藤原颯音)に関しては、ほとんど変わっていませんでしたが、若干口が達者になっていました。今回も彼の明るさに助けられました。「口が達者になったわ」と思ったのは、私がまだ私服を着ていたときに、「お母ちゃん、そんな恰好で来たの」と言うから、「何で、かわいいでしょ」と言ったら、「まあいいや。おいらお母ちゃんの顔しか見ていないから」って(笑)。そんなことを言うようになったのかと思いました。

-では“家族”と再会した気持ちは?

 今回は、車家の家族が全員そろう場面があまりありませんでした。特に私は回想という形なので、みんなと会話をする場面もなかったのですが、多くを語リ合わなくても、そこにいるだけでホッとする感じがしました。それはみんなも感じていたと思います。私は寅ちゃんと、おいちゃん(泉澤祐希)とおばちゃん(岸井ゆきの)はさくらちゃんとのシーンが多くて、お互いに「さくらちゃんどうだった。変わってなかった」とか、「今日、こんなことを言っていたんだよ」みたいな会話を結構していました。子どもの成長を見守るのを、みんなで共有し合っている感じでした。

-光子を演じる上で意識したことはありますか。

 前回も今回も、私の中で光子は結構難しい役です。もちろん、岡田さんとは何度も一緒にお仕事をしていますし、台本を読むと愛情も感じますが、自分の知らない時代ですし、3人の子どもを持った経験もないので、自分の中に共通するものがなかなか見付かりません。それなのに、光子のような、大きくて肝の据わったお母ちゃんを演じられるのだろうか、という不安が常にありました。前回は『男はつらいよ』の寅さん、渥美清さんが小さい頃のお話しで、その世界観を大事にしたいという思いがあったので、私もずっと映画を見ていましたし、ドラマを見た人が懐かしくなったり、映画を見返したくなるようになればいいなと思っていました。だから、ちょっとしたしぐさをまねしたり、取り入れたりもしました。今回は、どちらかと言えば、そういうものに自分がはまりに行こうとするのではなく、目の前にいる子どもに対して、自然に湧き上がる感情を大事にしたいと思いました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

今田美桜「『アンパンマン』のように、幅広い世代に愛される作品に」連続テレビ小説「あんぱん」いよいよスタート!【インタビュー】

ドラマ2025年4月1日

 3月31日から放送スタートしたNHKの連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルに、何者でもなかった朝田のぶと柳井嵩(北村匠海)の2人が、数々の荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『 … 続きを読む

坂本昌行&増田貴久がミュージカルで初共演「笑顔になって、幸せになって帰っていただけたら」 ミュージカル「ホリデイ・イン」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年4月1日

 坂本昌行と増田貴久をはじめとした豪華キャストが出演するミュージカル「ホリデイ・イン」が4月1日から開幕する。本作は、1942年に公開された映画『Holiday Inn』(邦題『スウィング・ホテル』)をもとに舞台化されたミュージカル作品。「 … 続きを読む

藤原竜也が挑む「マクベス」 「1日1日、壁を突破することが目標」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年3月29日

 2024年5月にスタートした、吉田鋼太郎が芸術監督を務める【彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd】。待望の二作目となる「マクベス」が、藤原竜也を主演に迎え、5月8日から上演される。藤原に初めて挑む「マクベス」への思いや吉田とのクリエイトに … 続きを読む

竈門炭治郎を演じる阪本奨悟が語る、舞台「鬼滅の刃」の魅力 「生身の人間が演じているからこそ、リアルに共感できる」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年3月28日

 「週刊少年ジャンプ」で2020年5月まで連載していた吾峠呼世晴による大ヒット漫画『鬼滅の刃』。2020年に初めて舞台化されて以降、シリーズを重ね、4月11日からはシリーズ5作目となる、舞台「鬼滅の刃」其ノ伍 襲撃 刀鍛冶の里が上演される。 … 続きを読む

【週末映画コラム】何と主人公がサル!? 新たな試みの音楽伝記映画『BETTER MAN/ベター・マン』/17回死んでは生き返った男の悲喜劇『ミッキー17』

映画2025年3月28日

『BETTER MAN/ベター・マン』(3月28日公開)  イギリス北部の街に生まれ、祖母の大きな愛に包まれながら育ったロビー・ウィリアムズ。1990年代初頭にボーイズグループ「テイク・ザット」のメンバーとしてデビューし、ポップスターの道を … 続きを読む

Willfriends

page top