【インタビュー】舞台「パタリロ!」最新作、加藤諒が語る“はまり役”パタリロへの思い「ずっと演じ続けられる役に出会えた」

2020年12月4日 / 08:00

 加藤諒が主演する、舞台「パタリロ!」~霧のロンドンエアポート~が、2021年1月21日から上演される。本作は、16年に初演、18年に第2弾「スターダスト計画」が上演され、19年には劇場版が上映された、人気シリーズの最新作。パタリロ以外のキャストを一新し、“シーズン2”として上演される。初演から主人公・パタリロを演じる加藤に、作品への思いや公演への意気込みを聞いた。

パタリロ役の加藤諒(ヘアメイク:伊熊美砂/スタイリスト:東正晃)

-まずは、またパタリロとして舞台に戻ってくることが決まったときの気持ちから聞かせてください。

 (渥美清が演じた)寅さんのように、ずっと演じ続けられる役に出会えたと思っていたので、今回、キャストが変わっても“シーズン2”として改めてスタートが切れることは、すごくうれしいです。正直にいうと、僕は初演のメンバーへの思い入れがすごく強いんです。僕が初めて主演をしたときに支えてくれたメンバーですので、彼らがいないことには不安もありましたが、新メンバーはみんな、フレッシュでかわいらしい子ばかりなので、このメンバーで「パタリロ!」を作れることを今は楽しみにしています。

-初演時から、パタリロは加藤さんのはまり役という声も大きかったと思いますが、加藤さん自身は、パタリロという役に出会ったときにどんなことを思いましたか。

 漫画をじっくりと読んだことがなかったので、僕の最初のパタリロのイメージは、(劇中でのパタリロの呼ばれ方である)「つぶれあんまん」だったんです。目が線で描かれている猫ちゃんのような姿だと思っていたので、僕で大丈夫なのかなと不安でした。でも、改めて原作を読んでみたら、目がキリッとした姿のパタリロが登場していたので、これならいけるんじゃないか、と。実際に、初演のビジュアルを解禁したときに、ファンの方からも「すごく似ている」というご意見を頂けたので安心しました。

 先日、ミーちゃん先生(原作者の魔夜峰央氏)から、パタリロが「つぶれあんまん」になったのは、重力に負けて押しつぶされたからだという話をお聞きしたんですよ。僕も初演から比べると肉付きが良くなっていますし、年齢を重ねてどんどん「つぶれあんまん」に近づいていくのかなと思うと、それも面白いことだと感じています。

-今回は、どんなところにポイントを置いて演じたいですか。

 新メンバーたちが若いということもあり、僕は貫禄を出していきたいと思っています。初演から5年がたち、「パタリロ!」の世界を築き上げてきた一員として、みんなを引っ張っていくというのが今回の目標です。

-初演から演出を担当している小林顕作さんの演出家としての印象は?

 2.5次元ミュージカル作品の稽古場には、原作がズラーっと並んでいて、それを見ながらシーンを作っていくことも多いのですが、顕作さんは現場では原作を読まないんです。原作に沿って作り上げるというよりは、原作を壊していったら、結果として原作に近いものができたという作り方をされるので、それがすてきだなと思います。それから、まさに「働き方改革」とでもいうように、17時には稽古が終わるので、ありがたいです(笑)。その代わり、途中に休憩はほとんど挟まずに、集中して稽古をするのですが、僕はそういったお稽古は顕作さんとしか経験したことがなかったので、印象的でした。

-加藤さんは、2.5次元作品が大好きだと公言していますが、自身が2.5次元作品に出演されるときにはどんなことを意識するのですか。それ以外の舞台と違うことはありますか。

 ベースは、あまり変えているつもりはないです。ただ、常に「自分らしさ」や「自分がやる意味」を考えながら演じています。2.5次元作品は、漫画やアニメといった原作があって、ある意味「正解」がある中で、その「正解」に向かって作り上げていくことができます。もちろん、作品によってはそうすることが大事な場合もあるのですが、僕は自分色を出して、その役の中にもちゃんと加藤諒が存在しているようにと考えて演じています。

-加藤さんが考える2.5次元作品の魅力は?

 自分が漫画やアニメで見ていたものが具現化されて、生身の人間が演じているということが2.5次元の魅力だと思います。今は、たくさんの作品が舞台化されているので、きっと、それぞれが慣れ親しんできた作品も舞台化されていると思います。ストレートプレーやグランドミュージカルを見に行くのは気が引けるという方も、知っている漫画やアニメの舞台ならば入っていきやすい。舞台を初めて見るきっかけにもなるのが2.5次元作品の魅力の一つなのかなと思います。

 
  • 1
  • 2

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

北村匠海 連続テレビ小説「あんぱん」は「とても大きな財産になりました」【インタビュー】

ドラマ2025年9月12日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、ついに『アンパンマン』の誕生にたどり着いた。 … 続きを読む

中山優馬「僕にとっての“希望”」 舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~の再始動で見せるきらめき【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年9月11日

 中山優馬が主演する舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~が10月10日に再始動する。本作は、天藤真の小説「大誘拐」を原作とした舞台で、2024年に舞台化。82歳の小柄な老婆が国家権力とマスコミを手玉に取り、百億円を略取した大事件を描く。今 … 続きを読む

広瀬すず「この女性たちの化学反応は一体何なんだという、すごく不思議な感覚になります」『遠い山なみの光』【インタビュー】

映画2025年9月9日

 ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロが自身の出生地・長崎を舞台に執筆した長編小説デビュー作を、石川慶監督が映画化したヒューマンミステリー『遠い山なみの光』が9月5日から全国公開された。1950年代の長崎に暮らす主人公の悦子をはじめ、悦子 … 続きを読む

Willfriends

page top