【インタビュー】ウーマンリブvol.14「もうがまんできない」宮藤官九郎 大河ドラマを終え、次に描くのはストレスフルな人間たちの群像劇

2020年2月13日 / 12:00
 脚本家で演出家、俳優としても活動する宮藤官九郎が、NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」を終え、次に挑むのは自身が所属する「大人計画」の劇団公演「ウーマンリブシリーズ」だ。同シリーズは、宮藤が作・演出を務め、何ものにも捉われず、今やりたいことを自由に、ストレートに表現する公演。シリーズ第14作目となる今回は、「もうがまんできない」と題し「ストレス」をキーワードに、解散寸前のお笑いコンビ、デリヘル嬢と店長、浮気妻と間男が交差する物語をワンシチュエーションで描く。宮藤に本作を描くに至った心境や、見どころを聞いた。
 

ウーマンリブvol.14「もうがまんできない」作・演出の宮藤官九郎  スタイリング:チヨ(コラソン)

-「ウーマンリブシリーズ」は5年ぶりの公演となりますね。

 「ウーマンリブシリーズ」が久しぶりということももちろんですが、松尾(スズキ)さん、阿部(サダヲ)くん、荒川(良々)くんといった劇団員の人と舞台を作るのも5年ぶりなので、それがうれしいし、楽しみです。
 

-今回、「ストレス」をテーマに書こうと思ったきっかけは?

 日常生活は日々、便利になっていきますが、ストレスはむしろ増えている気がします。例えば、みんながスマホを持って、それを使って生活するのが当たり前になっていますが、Wi-Fiがつながらないだけで不便さを感じるし、スマホが普及したことによって素人でも動画を撮れてしまって、それがテレビで流されたり…。ものは使いようなのですが、便利になったことで、むしろ新たなストレスの種が生まれ、イライラが募っていると、何となく生活していく中で感じていて、それをうまくお芝居にできないかな、と。こういうドラマ、こういう物語をやりたいというよりは、慢性的に皆さんが持っている気分がお芝居の中に漂っていたらいいなというのが最初に思ったことです。なので、芝居を書くというよりも、エッセーに近い感覚で書きました。
 

-劇団員のほかに、今回は柄本佑さんと要潤さんも出演されます。売れないお笑い芸人役ということですが、お二人を起用しようと思った理由は?

 佑くんは映像でも独特なお芝居をされる方なので、いつか舞台をご一緒したいと思っていました。もちろん、彼が舞台に出演しているのを見に行ったこともあって、僕が演出したらどうなるだろうと思っていたので、今回、ぜひに、と。要さんとは、(宮藤が脚本を担当したテレビドラマの)「うぬぼれ刑事」と「流星の絆」で一緒に仕事をしているのですが、彼はなぜか笑えるんですよ。顔はいいのに、ふざけたがっている空気があって…これまでのドラマでもそうだったんですが、要さんが間違ったことを言えばいうほど面白いんです。それが「ウーマンリブ」のムードにも合うんじゃないかなと思ってお願いしました。
 

-前回のウーマンリブシリーズ「七年ぶりの恋人」はコント形式でしたが、なぜ今回はノンストップのワンシチュエーションなのですか。

 もともと「ウーマンリブ」はそのときにやりたいことならばどんな形でもいいと思っていたので、「絶対にこの形」というのがあるわけではないのですが、でも、コントが2回続くのもどうかなと思ったというのはあります。それから、そもそもこの話の発想は、三つの物語がスマホをきっかけにして接点ができていくというところがスタートしたので。それを本多劇場で(2018年に宮藤が脚色・演出を担当した)「ロミオとジュリエット」のセットを毎日眺めながら思いついて(笑)、そこから(物語を)固めていって、当て書きをしていったんです。
 

-「いだてん」を終えての本作ですが、大河ドラマを手掛けたことで、心境や仕事のやり方など、変化したことはありましたか。

 まだないですね。でも、(2020年度のNHK大河ドラマ)「麒麟がくる」の第1話を見たら、大河ドラマってこれだなって思いました(笑)。それは自分のやっていたことが間違っていたと言いたいわけではなく、多くの方から「大河っぽくない」と言われていたのは、きっとこの映像の色彩だったり、ルックだったりしたんだろうな、と。これを見ていた人たちが大河の視聴者なんだよなと改めて思いました。
 

-でも、その「大河っぽくない」というのは、狙っていたものだったのでは?

 僕は狙ってないです。スタッフさんの中には、革新的な大河ドラマを作ろうという意気込みを持った方もいましたが、僕自身はあれは物語として大河ドラマだと思っていたし、あえて違うことをやってやろうとは思ってなかったです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】大人たちの“遊び心”を刺激する『一度も撃ってません』

映画2020年7月4日

 伝説のヒットマン市川進、74歳。だが、実は彼の正体はハードボイルドを気取り、御前零児(ごぜん・れいじ)を名乗る売れない小説家だった…。18年ぶりの映画主演となった石橋蓮司が、二つの顔を持つ主人公をコミカルかつ渋く演じる『一度も撃ってません … 続きを読む

【インタビュー】ドラマ「M 愛すべき人がいて」 マサ役を熱演中の三浦翔平「ぶれずに恥ずかしがらずに」

ドラマ2020年7月4日

 安斉かれん&三浦翔平が主演するドラマ「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日系/毎週土曜午後11時15分から放送中。※ABEMAで独占配信中)が、怒濤(どとう)の展開と役者たちの熱い演技で話題を呼んでいる。本作は、歌姫・浜崎あゆみの誕生秘話と … 続きを読む

【インタビュー】映画『MOTHER マザー』奥平大兼 「まるで別人のような長澤まさみさんに引っ張られて、僕も周平に成り切ることができました」

映画2020年7月1日

 17歳の少年が祖父母を殺害した実在の事件をヒントに製作された衝撃のヒューマンドラマ『MOTHER マザー』が7月3日から全国公開となる。長澤まさみ扮(ふん)する自堕落なシングルマザー秋子のゆがんだ愛情で育てられた息子・周平を演じたのが、本 … 続きを読む

【インタビュー】映画『一度も撃ってません』阪本順治監督「こういう時代だからこそ石橋蓮司を見てほしい」

映画2020年6月29日

 ハードボイルドを気取る、売れない小説家の市川進には、伝説の殺し屋というもう一つの顔があった。だが、実は彼は一度も人を撃ったことはないのだ…。18年ぶりの映画主演となった石橋蓮司が、二つの顔を持つ主人公をコミカルかつ渋く演じる『一度も撃って … 続きを読む

【映画コラム】さらばランボー! その歴史に思いをはせる完結編『ランボー ラスト・ブラッド』

映画2020年6月27日

 『ランボー』(82)から38年。『ロッキー』シリーズとともに、シルベスター・スタローンの俳優人生を支えてきた『ランボー』シリーズの完結編『ランボー ラスト・ブラッド』が公開された。まずは、シリーズの流れから振り返ってみたい。  社会から孤 … 続きを読む

page top