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映画『うちの弟どもがすみません』やドラマ『リベンジ・スパイ』など、数々の映画やドラマ、舞台で活躍する織山尚大の3年ぶりの主演舞台となる「エクウス」が1月29日から上演される。本作は、実際に起きた事件を基に描かれた、ピーター・シェーファーによる心理劇。17歳の少年アラン・ストラングが起こした、6頭の馬の目を突いて失明させる事件を巡り描き出される人間の「正気と狂気」の境界を、現代の視点から鋭く描き直す。織山に本作への思い、そしてデビュー10周年を迎える芸能活動について話を聞いた。

織山尚大【ヘアメイク:服部幸雄(メーキャップルームプラス)/スタイリング:小林洋治郎】 (C)エンタメOVO
自分にとっていろいろな節目を迎えた上での今回の舞台です。いろいろな方から「大変そうな作品だよね」と声をかけてもらいましたし、作品の資料を見たときにも「これは大変そうだな」と思ったのですが、ずっと「舞台をやりたい」と思っていたので、決まったときは本当にうれしかったです。
孤独で孤独でしかたないのかなと思います。でも、ふて腐れることもできないし、コンプレックスを抱えていて、それがどこにでもついてくる。お母さん、お父さん、そして精神科医のダイサートといった周りの人がみんな、(そのコンプレックスを)突き刺してくるのですが、彼は内臓がむき出しているような状態なので、突き刺されると痛いんですよ。だから毎日、落ち着けずにいる。そうしたアランに自分を重ねて演じているので、僕も毎日、落ち着かない感じですが、それはそれで「エクウス」の舞台だと感じて楽しいです。
アランというよりはエクウス(馬)の方が自分を重ねやすいかもしれません。エクウスが鎖につながれ、鞍(くら)などのいろいろなものをはめられている姿は、僕だけでなく現代社会の人たちに重なるところはあるのかなと思います。会社や学校などもそうですが「普通はこうなんだよ」というものがあって。全てを自由にすることはできないし、どこにも行けない。でも、このアランは、エクウスと1つになることによって自由になりたいという欲がすごく強かった。もしかしたら、アランは誰よりも人生を謳歌(おうか)しているのではないかとも感じます。ダイサートが途中からアランに対してどこか憧れのような感情が出るというのは、きっとそういうことなのかなと。今、まだそうやって作品をひもといている段階なので、僕自身もアランと似ているところはあるのかもしれません。
最近、「馬」というワードを出し過ぎているからか、スマホに「馬」しか出てこなくなったんですよ(笑)。それほど検索しているわけではないと思うんですが、至るところに馬の顔が出てきます(笑)。先日、この作品のために乗馬体験もさせていただいたのですが、馬と触れ合うのは初めてだったので、「馬ってこんなに大きいんだ」とか「馬に乗るとこんな景色が見えるんだ」とか「風を切るってこういうことなんだ」とか、いろいろなことを感じました。馬って本当に面白いですよね。神様が人間を乗せるために作られたのではないかという体の構造をしていて。鞍を乗せるところだけへこみがあるんです。それにも感動しました。この作品では、アランとエクウスが1つの存在になりますが、その感覚を少し感じられたような気がして。いろいろと試行錯誤しながら体験し、すごく充実した、刺激的な1日になりました。
初めてでした。目の前で見たのも初めてで。真っ白い馬だったんです。すごくきれいで、すてきでした。思ったよりも大きかったのですが、首を下げて頭を落として見てくるのがすごくかわいかったです。最初は触るところから始めたのですが、この作品の中にもそうしたシーンが出てくるんですよ。ゆっくりとなでて、匂いを嗅いで…というそのシーンを思い出しながら実際に触って、馬を感じることができました。想像以上に振り落とされそうになりながら乗りましたが、それも新鮮で楽しかったです。すごく良い経験になりました。
エクウスはアルミのワイヤーで表現されているので、それを持ってお芝居したり、乗ったり、馬と一体化しないと演じられないシーンがあります。だからこそ、乗馬クラブでいろいろな体験をさせていただいたのですが、馬がどういう動きをするのか、関節がどこにあるのか、足はどうやってあげるのかということを研究して、自分も馬であるかのように表現できたらいいなと思っています。ダンスというよりは表現ですが、冒頭のシーンで、エクウスと僕が抱き合うシーンがあるので、そこもぜひ注目して欲しいです。
たくさん経験してきました。もちろん事務所の人たちの舞台もそうですし、ラスベカスで「シルク・ドゥ・ソレイユ」の舞台を見たときも「世界って広いんだな。表現することってこんなに面白くて、楽しいんだな」と気付かされました。そうしたことから、自分も演出をやりたいと思い始めましたし、もっといろいろなことを知りたいと思えるようになりました。僕は中学時代に、すごくたくさんの舞台やコンサートを見る機会に恵まれたんですよ。特に東山紀之さんのステージは、生で見たら全然違うんです。これは映像では伝わらないと心から思いました。もちろん、映像には映像の美学があると思いますが、生で見るからこそ感じるものは絶対にあると思います。生の良さがあるんです。目の前で見ることが大事だなと。この舞台もそうです。今、稽古をしていてすごく面白いものが出来上がるのではないかと期待しています。
難しいですね…。全てを120パーセントでやってきて、全てにおいて絶対に手を抜くことはなかったので悔いはないですが、「結果が全てだ」という現実の壁にもぶち当たってきたなと今は思います。いくら全力でやっても、結果が中途半端なら駄目なんですよ。よく「出るくいは打たれる」と言いますが、出過ぎたくいは打たれないんですよね。それは僕が事務所に入所してすぐに自分のおじいちゃんが言ってくれた言葉なのですが、本当にその通りだなと思います。やり切らないといけないんですよね。最近になってそうしたことを思い、もう1段階、研ぎ澄まされたように感じていますし、完璧にならないと駄目なんだと思いました。
きっと20歳の頃だったら、この作品は表現できなかったと思いますし、分からない感情も多かったと思います。(20歳と現在では)2年しか違いはありませんが、アイドルにとっての10代から20歳と、その先という年齢の違いはすごく大きいんですよ。10代の後半はアイドルとして1番キラキラしている時期ですが、その先にある20代は感覚が全く違うものなんです。(20歳になって)やっと大人になれたと思っていたけど、まだまだ全然大人ではなかった。考え方もまだまだ未熟で、いろいろなものにすぐに押しつぶされてしまう。例えば、劣等感もいまだに抱いています。そういうことに気づいた今は、「エクウス」をより理解できると思うので、10年目の節目の年にこの作品に携われたことは運命だなと思いました。今のこの年齢で演じる意味があるのかなと思います。
-改めて公演に向けての意気込みや読者へのメッセージをお願いします。
僕にとって3年ぶりの主演舞台ですし、10年という節目でもあります。この「エクウス」という作品が、どれくらい自分に影響をもたらして、そして皆さんにどんなものをお届けして、どんなものを共有できるか、今も試行錯誤しながら稽古しています。確実に皆さんの人生のターニングポイントの1つになる舞台になるのではないかと思います。ぜひ、生で感じていただき、その場で生まれる空気感や感情を味わって、何かを感じ取っていただければ、僕はアイドルをやっていて良かったと思います。2026年を良い年に、そしてこの作品を良い作品にしたいと思っていますので、ぜひ劇場にお越しください。
(取材・文・写真/嶋田真己)
舞台「エクウス」は、1月29日~2月15日に都内・東京グローブ座、2月20日~24日に大阪・サンケイホールブリーゼで上演。

舞台「エクウス」
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