「東京オリンピックの聖火リレー最終ランナーという重要な役。プレッシャーを感じています」井之脇海(坂井義則)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年12月8日 / 20:50

 いよいよ大詰めを迎えた「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」。次回、最終回でついに田畑政治(阿部サダヲ)らの悲願であった1964年東京オリンピックが開幕する。その開会式の見せ場となる聖火リレー最終走者に抜てきされたのは、広島に原爆が投下された1945(昭和20)年8月6日、広島で生まれた青年・坂井義則だった。演じるのは、連続テレビ小説「ひよっこ」(17)、大河ドラマ「おんな城主 直虎」(17)をはじめ、多数の作品で活躍する井之脇海。物語のクライマックスを飾る気持ちを語ってくれた。

坂井義則役の井之脇海

-出演が決まったときのお気持ちは?

 これまで、大河ドラマは「平清盛」(12)と「おんな城主 直虎」(17)に出演させていただきましたが、どちらも物語終盤の盛り上がる流れの中での出演でした。今回も、1964年東京オリンピックの聖火リレー最終ランナーという重要な役を頂き、とてもありがたく思っています。ただ、僕の登場シーンが、物語の集大成のような意味合いを担うので、ややプレッシャーも感じています。

-演じる坂井義則に対するイメージは?

 1964年東京オリンピックの様子は、この役を頂く前からニュースやドキュメンタリーなどで知る機会があり、坂井義則さんの存在と、原子爆弾が投下された1945(昭和20)年の8月6日に広島で生まれた方ということは知っていました。聖火台に上ったときの笑顔がすごく印象に残っていたので、その役が僕に来たことに驚きました。

-演じる上で心掛けたことは?

 坂井さんは、陸上選手としてオリンピック出場を目指しながらも、代表選考会で敗退し、夢がかなわなかったという過去を持っています。でも、たまたま“原爆が投下された日に広島で生まれた”ということが理由で、聖火ランナーに選ばれる。坂井さんご本人も、そこに葛藤があったことを生前のインタビューで語っていたらしく、ドラマではその部分を膨らませて描いています。僕としては、そういう坂井さんの葛藤をしっかり表現しなければ…と責任感が生まれるのと同時に、台本に描かれていない部分の生きざまを上乗せできたら、さらに魅力的な人物になるのでは…とも思っています。

-坂井以外の最終聖火ランナーのことはご存じでしたか。

 坂井さんが最終ランナーだったことは知っていましたが、最後の8人全員が戦後生まれの10代だったことは、この作品で初めて知りました。アスリートではない“普通の若い力”を見せつけることで、復興に対する強い意思やメッセージを込めていたんでしょうね。そういった史実を、ドラマを通して知っていただくのは、意味があることだと思っています。

-走りの練習はどのように?

ランニングの監修をしてくださっている金哲彦さんに、坂井さんのフォームに近づけるよう指導していただき、自分で走り込みをするなど、トレーニングを積みました。実は、小学生の頃は足が速かったので、ちょっと大きな大会に出たことがあるんです。でも、出場したらビリになってしまい…(苦笑)。それがトラウマになり、以来、走ることに苦手意識があったのですが、役作りのためにトレーニングを始めたところ、長距離でもバテずに走ることができています。もともと、山登りが好きで体力には自信があったこともあり、山に行けないときは、街を走るのもいいな…と、改めて感じました。

-坂井は2人の主人公、金栗四三(中村勘九郎)、田畑政治の両方と会う機会があるようですが、それぞれの印象をお聞かせください。まずは金栗さんから。

 四三さんは、真っすぐな男ですよね。得体の知れない力を持っていて、本人が意図しないところで人に支えられ、好かれているような人物だなと。陸上をやっている坂井さんにとっては、夢だったオリンピックに3度も出場した日本陸上のパイオニア的存在。若さや未熟さを含めて、自分は同じ土俵に立てていないと感じたと思います。そういうふうに、四三さんは坂井にとっての壁になりますが、その壁を乗り越える方法を教えてくれるのも四三さん。クライマックスに差し掛かる2人のシーンは、僕も気合いを入れて撮影したので、ぜひ見てほしいです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

二宮和也「子どもたちの映画館デビューに持ってこいの作品です」『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY』【インタビュー】

映画2025年5月17日

 テレ東系で毎週月~金、朝7時30分から放送中の乳幼児向け番組「シナぷしゅ」の映画化第2弾。番組のメインキャラクター「ぷしゅぷしゅ」と相棒「にゅう」が、バカンスで訪れた「どんぐりアイランド」を舞台に繰り広げる冒険をオリジナルストーリーで描き … 続きを読む

【週末映画コラム】異色ホラーを2本 デミ・ムーアがそこまでやるか…『サブスタンス』/現代性を持った古典の映画化『ノスフェラトゥ』

映画2025年5月16日

『サブスタンス』(5月16日公開)  50歳の誕生日を迎えた元人気女優のエリザベス・スパークル(デミ・ムーア)は、容姿の衰えによってレギュラー番組を降ろされたことから、若さと美しさと完璧な自分が得られるという、禁断の再生医療「サブスタンス= … 続きを読む

新原泰佑、世界初ミュージカル化「梨泰院クラス」に挑む「これは1つの総合芸術」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年5月16日

 世界中で大ヒットを記録した「梨泰院クラス」が、初めてミュージカル化される。主人公のパク・セロイを演じるのは小瀧望。日本・韓国・アメリカのクリエーターが集結し、さまざまな人種が混じり合う自由な街・梨泰院で権力格差や理不尽な出来事に立ち向かう … 続きを読む

グレッグ・ターザン・デイビス「とにかく、ただ純粋に面白い映画を撮ることだけが、自分たちに与えられたミッションでした」『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』【インタビュー】

映画2025年5月15日

 トム・クルーズ主演の大ヒットスパイアクション「ミッション:インポッシブル」シリーズの第8作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』が、5月23日の公開に先駆けて17日から先行上映される。前作『ミッション:インポッシブル/デッ … 続きを読む

研ナオコ、認知症のおばあちゃん役で9年ぶりの映画主演「主演女優賞を狙ってます(笑)」岡﨑育之介監督「研さんの人生の奥行きがにじみ出た」『うぉっしゅ』【インタビュー】

映画2025年5月12日

 人生に迷いながらソープ嬢として働く若い女性・加那と、彼女に介護されることになった認知症の祖母・紀江の交流を明るくポップなタッチで描いたユニークな映画『うぉっしゅ』が絶賛公開中だ。  本作で、加那を演じる若手注目株の中尾有伽と共に、紀江役で … 続きを読む

Willfriends

page top