「“東洋の魔女”は、『いだてん』が描いてきた女子スポーツの集大成」安藤サクラ(河西昌枝)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年12月1日 / 20:50

 世界選手権で優勝し、“東洋の魔女”と呼ばれるようになった日紡貝塚女子バレーボールチームは、紆余(うよ)曲折を経て、1964年の東京オリンピック出場が決定する。監督の大松博文(徳井義実)の下、主将としてこのチームを束ねるのが河西昌枝だ。演じるのは、連続テレビ小説「まんぷく」(18~19)に主演した安藤サクラ。東京オリンピックのハイライトともいえる“東洋の魔女”役に対する意気込みを語ってくれた。

河西昌枝役の安藤サクラ

-オファーを受けたときのお気持ちは?

 まさか、声を掛けていただけるとは…と驚きました。「いだてん」は、一視聴者として見ていて、大好きな番組でしたから。物語が後半に差し掛かっていたこともあり、このタイミングで呼んでいただけるとは想像もしていなかったので、心がウキウキするほどうれしかったです。しかも、東京オリンピックで金メダルを取り、“東洋の魔女”と呼ばれた女子バレーボール日本代表の主将を務める河西昌枝さんという大役。正直、私はバレーボールの経験がないため、多少の不安はありましたが、脚本を拝見すると出演シーンもそれほど多くはなかったので、「これならできるかも」と出演を決意しました。

-バレーボールの練習はどのように?

 バレーボールの練習は1日2時間程度、10日間ほどの日程が組まれていたと思います。私のような初心者がオリンピック日本代表選手のように見えるようになるためには、短過ぎたかもしれません。ただ、練習や撮影の際には、斎藤真由美さんやヨーコ・ゼッターランドさんというそうそうたるプロの方たちから実技指導を受けることができました。撮影のためとはいえ、一流の方にご指導いただけるなんて光栄ですし、本当に感謝しています。こんなぜいたくな経験は、大河ドラマならではです。

-指導の成果はいかがでしたか。

 とはいえ、実際に形にするのは簡単ではありませんでした。私のような素人が東洋の魔女の回転レシーブをやると、全身に見たことのないようなアザができる、ということだけは皆さんにお伝えしておきたいです(笑)。

-河西選手を演じる上で、どんな準備を?

 河西選手は、いつも爪に透明マニキュアを塗っていらしたそうです。そのお話を伺い、バレーボール一色の生活の中にも、女性らしさを大切にされていたことが分かるエピソードだなと、非常に心に残りました。ご本人の写真も拝見しましたが、印象的なパーマをかけていらっしゃったので、大変おしゃれな方だったんだな…と。だから、私も演じる際には、髪形や爪など細かいところもきちんとしたいと思っていました。

-演じる上で心掛けていることは?

 大松監督も河西さんをはじめとする選手たちも、太平洋戦争を経験して東京オリンピックに臨んだ世代です。あの時代を生き抜いた人だからこそ出せるエネルギーがあるはずなので、私もその熱量に少しでも近づき、ご本人の思いに応えられるよう、気持ちを持っていきたいと考えながら演じています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

 元禄時代に実際に起こった仇(あだ)討ちを題材に歌舞伎などで取り上げられて以来、何度もドラマ化、映画化、舞台化されてきた屈指の名作「忠臣蔵」が、上川隆也主演、堤幸彦演出によって舞台化される。今回、吉良上野介を演じるのは、高橋克典。高橋はデビ … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。謎の絵師“写楽”が、蔦重の下で歌麿(染谷将太)ら当 … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

Willfriends

page top