「東京オリンピックの裏側で、こんなドラマが巻き起こっていたとは」松坂桃李(岩田幸彰)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年11月3日 / 20:50

 最終章に突入した物語では、ついに1964年の東京オリンピック開催に向けた組織委員会が発足する。その事務総長に就任した田畑政治(阿部サダヲ)の片腕として活躍するのが、JOC役員を務める“岩ちん”こと岩田幸彰だ。頭脳明晰(めいせき)で背広もおしゃれに着こなす岩田を演じるのは、数々の映画やテレビドラマで活躍する松坂桃李。最終章に向けた意気込みと、撮影の舞台裏を語ってくれた。

岩田幸彰役の松坂桃李

-これまで所々に出演してきた岩田が、ついに本格的に活躍するようになりました。最終章の撮影に入ったときのお気持ちは?

 昨年、何度か撮影した後、期間がだいぶ空いたんです。その間、他の仕事もしていたので、今年に入って最終章の撮影が始まったときは、「再び」というよりも、改めて「クランクインしました」という気持ちの方が強かったです。最初のシーンが、去年も撮影していた都知事室だったので、「こんな感じでしたね…」と少しずつ思い出していき、そこからだんだん、田畑さんを中心にしたテンションが定着していくような感じで。ただやっぱり、気分はそれまでよりも一段階も二段階も高まりました。

-その間、どんな気持ちでいましたか。

 ずっと撮影がなかったので、「このままフェイドアウトだな…」と(笑)。松重(豊/東龍太郎役)さんとも、他のドラマでご一緒する機会があったので「もう、役忘れちゃったよね」「そうですねぇ…」みたいな話をしていました(笑)。

-第41回では、岩田自身もヨットでオリンピック出場を目指していたことや、戦時中に従軍していた過去が明らかになりましたね。

 岩田自身のオリンピックに対する強い思いを知ることができたのは、とても大きかったです。もちろん、「田畑さんに付いていく」ということだけでもお芝居はできますが、そこにもう一つ自分自身のエピソードが加わることで、より加速しやすくなりました。自分は、選手としてはオリンピックに出場できなかったから、今度は裏方として東京オリンピックに参加したい…。そういう思いを持つことができたおかげで、気持ちが乗せやすくなりました。

-岩田はなぜ田畑に付いていくのでしょうか。

 阿部さんが演じる田畑さんは、嵐のような人です。本来、嵐は避けたいものですが、田畑さんにはどこか「巻き込まれたい」と思わせる魅力がある。口が悪い、せわしない、よく怒る、情緒不安定…。言葉だけ並べてみると、「この人のどこがすごいんだろう?」という感じですが、実際に相対してみると、「なにかすごいことを起こすのでは?」、「この人と一緒にいると、楽しいことが待っているのでは?」と思わせてくれる。田畑さんの周りに集まってくるのは、そういうところに魅かれた人たちなんだろうな…と。

-オリンピックにまい進する田畑のパワフルな姿勢をどんなふうに見ていますか。

 一つのことを成し遂げるために、田畑さんのように周りの顔色をうかがうことなく、「こういうことをやろう」と全面的に押し出していける人はすごく強いし、人を引き付ける。何よりも、それが成功につながる一番の近道なんだろうな…と。この作品を通じて、改めてそう感じました。

-その一方で、田畑の言動には、現代では許容されにくい部分もありますね。

 確かに今、田畑さんのような言動をしたら、一瞬で消されてしまうでしょうね。世間的にも冷めた風潮があり、関わって被害に遭うことを誰もが避けたがるので、何かを「やります」と手を挙げる人も少なくなっている気がします。でも、そういう時代だからこそ、田畑さんのように「これだけ面白いことができるんだから、やってみようよ」と押し出す人がいてもいいのではないかと。そういう意味では、今、田畑さんのような人がいてくれたら…とも思います。

-共演して気付いた阿部さんの魅力は?

 場の空気を一瞬で変えることができる方だな…と。お芝居でしっかり向き合ってみて、改めてそう感じました。例えば、「組織委員会でこんなことがありました」とみんなでネガティブな話をするシーンでも、阿部さんが一言「何!?」と言うだけで、面白くなりそうな空気に変わるんです。台本に書かれているのは「何!?」の一言だけです。でも、それを阿部さんが言うと、「ネガティブなままでは終わらない」と感じさせることができる。そういう部分は、役者を続けていくに当たって、僕自身も身につけたいところです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

唐沢寿明「原点回帰をした感じがしました」『トイ・ストーリー5』【インタビュー】

映画2026年7月3日

 おもちゃと子どもの絆を描いてきたディズニー&ピクサーの人気シリーズの最新作『トイ・ストーリー5』が、7月3日から全国公開された。現代的なテクノロジーというかつてない脅威に、おもちゃたちが手を取り立ち上がる姿を描いた本作で、30年来、主人公 … 続きを読む

【映画コラム】6月の公開映画から

映画2026年7月3日

「シラート」(6月5日公開)★★★ スペイン産の異色ロードムービー  砂漠でのレイブパーティー(音楽イベント)に参加したまま行方が分からなくなった娘を捜すため、ルイスは息子のエステバンと共にモロッコの山岳地帯から砂漠の奥地へと車を走らせる。 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第25回「変事の予兆」家臣を追放した信長の孤独【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年7月2日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。6月28日放送の第25回「変事の予兆」では、天下統 … 続きを読む

ケナ・ハリス共同監督&リンジー・コリンズプロデューサー「おもちゃたちがデバイスのことをどう思うのかという視点がとても面白い」『トイ・ストーリー5』【インタビュー】

映画2026年7月1日

 ボニーのもとで暮らすバズやジェシーたちの前に、最新型の電子タブレット「リリーパッド」がやってくる。多機能なデバイスに夢中になるボニーの姿を見たおもちゃたちは自分たちの存在意義に疑問を抱き始める。おもちゃと子どもの絆を描いてきたディズニー& … 続きを読む

山下リオ「それぞれの愛の形を、まざまざと見せつけられるような映画になっていると思います」『遺愛』【インタビュー】

映画2026年6月30日

 父の死を契機に母の介護を始めた女性の周囲で、次々に起こる異変。それは、母の抜け殻に入り込んだ“何か”による呪いなのか、それとも、介護に疲れ追い詰められた女性の心の闇が生んだ虚構なのか…。酒井善三が監督し、テレビ東京プロデューサーの大森時生 … 続きを読む

page top