「熱量高く議論する人たちの思いが、宮藤官九郎さんの言葉の力で僕らにも乗り移ってくる。痛快です」松重豊(東龍太郎)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年11月24日 / 20:50

-「いだてん」は、過去の歴史を描く今までの大河ドラマとは違い、1964年の東京オリンピックを中心とした近現代を扱っています。その点で何か感じたことはありますか。

 今までの大河ドラマは、かつらを付け、衣装を着て、場合によってはよろいやかぶとも身に着けるなど、肉体的にある程度の負荷を負って、歴史上の人物になる“扮装ごっこ”のようなところがありました。でも、今回はそういうことがなく、僕の白髪もそのまま。その上、宮藤さんのホンには、ホームドラマや現代の会社もののような要素があり、会話のテンポがよく、笑いもある。だから、すごく肩の力を抜いて取り組むことができます。ホンを読んで、声を上げて笑うようなことは、今までの大河ドラマにはありませんでしたから。

-今までとはだいぶ違うと?

 ただ、その分、何が大河ドラマなのかということについては、改めて考えさせられました。朝ドラとも土曜ドラマとも違い、ある歴史の景色を見せていくのが大河ドラマ。そういう思いを踏まえて、今までの大河における明治維新や関ケ原に当たるものは何かと考えたら、僕らの時代が背負っているものは、やっぱり戦争。第2次世界大戦に翻弄(ほんろう)されつつも、最終的には東京オリンピックを実現し、それから50数年たって、再びオリンピックが開催される。そういう自分が今いる場所につながる歴史の立脚点として、大河ドラマにふさわしいお芝居をしたいと思っています。とはいえ、宮藤さんの世界観の新鮮さもあり、演じるのはとても楽しいです。

(取材・文/井上健一)

東龍太郎役の松重豊

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