【インタビュー】「FORTUNE」吉岡里帆、久しぶりの舞台で見せる“大人な役”に「自分の嫌なところもしっかりと見せることで役が生きてくる」

2019年11月27日 / 12:00

 森田剛が主演する舞台「FORTUNE」が2020年1月13日から上演される。本作は悪魔に魂を売った男の顛末(てんまつ)を描いた「ファウスト」を、現代のロンドンに舞台を置き換えた作品。英国を代表する劇作家サイモン・スティーブンスの最新作として世界に先駆けて日本で初演される。本作で、悪魔と契約を結び、闇へ落ちていく主人公・フォーチュンが思いを寄せる、若くして結婚している映画プロデューサーのマギーを演じる吉岡里帆に、作品に懸ける思いを聞いた。

マギー役の吉岡里帆 ヘアメイク:Mifune (SIGNO)/スタイリスト:Eriko Suzuki

-本作への出演が決まったときの、率直な思いは?

  舞台に出演すること自体が久しぶりですし、演出家のサイモンさんが日本で初めて上演される作品ということで、新鮮なことが重なっていて、すごく幸せに感じました。マギーは私にとって、挑戦的な役でもあります。この作品は、人生を描いた重みのある物語でもあるので、サイモンさんの演出でどう面白く昇華していくのだろうと、今は楽しみな気持ちでいます。

-戯曲を読んで、本作のどのようなところに魅力を感じましたか。

 「ファウスト」は、宗教的で哲学的なところにフイーチャーした作品だと思いますが、「FORTUNE」は、もう少し軽やかな印象がある作品に仕上がっていると思います。現代の私たちにとって、より身近な人間の業(ごう)を感じていただけると思うので、見に来てくださったお客さまたちが、自分の人生経験と照らし合わせながら見られる、距離感の近い作品になるのかなと思いました。

-吉岡さんが演じるマギーという女性については、どのようなイメージを持ちましたか。

 マギーは真っすぐで、知的で、ある種、清廉潔白なイメージです。美しく、真っすぐで、愛情深い女性である反面、人間らしさも描かれています。戯曲を読んで、私はそこに面白さを感じたので、落ちていくさま、人に引きずられていくさまをお見せできるよう、この作品に挑みたいと思います。

-マギーという役は、吉岡さんがこれまで演じてきた役を考えると、かなり大人なイメージの役になると思います。現在、どのように演じたいと考えていますか。

 大人な役を演じられるのはうれしく思っています。背伸びして見えないように、自分の中に落とし込まないといけないという緊張感もあります。マギーの愛を真っすぐに信じているところや、心が折れそうになっても、何とかその人と向き合おうとする気持ちは、共感する部分でもあるので、そういったところから手繰り寄せてマギーを作っていきたいと思います。自分の嫌なところもしっかりと見せることでマギーという役が生きてくると思うので、きれいにやろうとせず、自分の中に渦巻いているエネルギーを舞台上でしっかりとお見せできたらと、今の段階では思っています。

-吉岡さんにとっては、本作は久しぶりの舞台出演になりますね。

 そうですね。たくさんの方を前にしたパフォーマンスというものに不慣れなので、そこがまず、一つ目の壁かなと思っています。時間をかけて鍛錬していって、お客さまに伝わるように頑張りたいと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

森下佳子「写楽複数人説は、最初から決めていました」脚本家が明かす制作秘話【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。これまで、いくどとなく視聴者を驚かせてきたが、第4 … 続きを読む

富田望生「とにかく第一に愛を忘れないこと」 村上春樹の人気小説が世界初の舞台化【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月30日

 今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む

Willfriends

page top