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「今までで一番やりたい役に出会えた」。夏帆が充実感にあふれた表情を見せる作品は、いつの間にか大人になってしまい、いろいろな葛藤を抱えながらも懸命に生きる全ての人たちに送る、共感度MAXの映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(10月11日公開)。しかし夏帆といえば、『天然コケッコー』(07)、『海街diary』(15)など、過去にもさまざまな素晴らしい作品や役と巡り合ってきている。本作に特別な思いを寄せる理由とはなんだろうか…?
上手に生きているように見えて、実は不器用で、心は完全にすさみ切ったCMディレクター砂田(夏帆)が、自由奔放な“秘密”の友達・清浦(シム・ウンギョン)を連れて、祖母の見舞いのために大嫌いな地元・茨城に帰り、本当の自分を見つけて成長していく姿を描いた本作は、『嘘を愛する女』(18/中江和仁監督)、『ルームロンダリング』(18/片桐健滋監督)など、新進気鋭の若手映像作家を生み出すプロジェクト「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM」で、2016年審査員特別賞に輝いた。CMディレクターとして活躍する箱田優子の第1回監督作だ。
今の自分で真っ向から勝負して、20代の代表作になるような作品を作りたいと考えていたときにこの映画と出会いました。オファーを受けた当時というよりは、演じているうちに砂田と自分に重なる部分が多いと感じて他人とは思えず、徐々に「こういう役をやりたかったのかもしれない…」と思うようになりました。
いろいろあります。自分ではうまくやっているつもりでも、実はできていない不器用なところや、子どもの頃に思い描いた自分になれているのか? という葛藤、気がつけば自分も親も年を取り、祖父母は死に向かっていて、その時間の流れを止められないことに焦っているところなどが重なります。
そうですね。20代になってからずっと、この先どう生きるべきか? と考えているし、どういうふうに仕事と向き合い、どんな役をすべきか、そして自分に合うものは何だろう、自分にしかできないものは何だろう、などと考えています。そんな迷いを抱えているからこそ、砂田は今の自分にしか演じられなかったのかもしれません。
今回は他人を演じるというよりは、自分をどれだけさらけ出せるか、という挑戦でもありましたが、やはり重なるところが多いからか、だんだんと砂田と自分の境目があいまいになっている感じはありました。
ロケハンには、ただ付いていっただけです(笑)。というのも、砂田という役は箱田さんが投影されているし、最初は撮影で箱田さんのご実家を使うかもしれないという話があったので、箱田さんと一緒に地元に行って、そこの空気を感じたいと思いました。結局、撮影でご実家は使いませんでしたが、クランクイン前に箱田さんのプライベートの顔を見ることで役作りにつながったのでよかったです。
砂田が愛想笑いをしているときに、スナックのママに「かわいいって言われるかもしれないけど、ブスだかんね」と言われるシーンは印象的でした。たまに、初対面なのに、こちらがハッとするような確信づいたことを言ってくる人っていますよね。自分はうまく立ち振る舞っているつもりでも、実はそれとは裏腹の心がバレている…みたいな。皆さん見ていてドキッとするかもしれませんね。
とてもすてきな方でした。役への理解が深く、それでいて自由に演技をされている姿が素晴らしかったです。アドリブの入れ方も絶妙で勉強になりました。今回は全編通してアドリブが多かったので、掛け合いも楽しかったです。
10代の頃に出演した『天然コケッコー』です。もともと女優を目指して芸能界に入ったわけではなかったけど、この作品を通して演じることが好きになりました。今でも「あの作品はいいよね」と言ってもらうことも多くて、そういう評価をしてもらえる作品は少ないので、転機になった作品と言えます。
大きな失敗をしたとか、誰かに何かを言われたとかではないですが、数年前にいろいろなことが重なり、仕事を続けることが難しいな…と挫折しそうになったことはあります。でも、10代からこの仕事をしてきて、学歴も職歴もないし、この世界以外のことは何もできないし、やりたいことも見付からなくて、だったらもうちょっとここで頑張ってみようと思いました。
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