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次のロサンゼルスオリンピックでの必勝を期して、着々と日本水泳チームの強化を図る田畑政治(阿部サダヲ)。一方、真打ちに昇進した美濃部孝蔵(森山未來)は、メチャクチャな振る舞いが災いし、相変わらず鳴かず飛ばずの日々を送っていた。貧しい暮らしの中、孝蔵の落語家としての才能を信じ、けなげに支え続けるのが妻のおりんだ。第27回で、生活のためにやむなく納豆売りを始めた孝蔵とのやり取りに、同情を禁じ得ない視聴者も多かったのではないだろうか。演じる夏帆が、撮影の舞台裏、おりん役に込めた思いを語ってくれた。
本当にうれしかったです。実は、宮藤(官九郎/脚本家)さんがオリンピックを題材に大河ドラマをやると聞いたときから、絶対に出たいと思っていたんです。大河ドラマで近代を描くということはとても挑戦的ですし、一体どんな作品になるんだろうと思って。しかも、大河ドラマ初出演で、初共演の森山未來さんと夫婦役を演じさせていただくことができる。とても光栄に感じました。
志ん生(孝蔵の後の姿)さんや娘の美津子さんが書かれた本を読ませていただきました。そこから、ご本人はどちらかというと穏やかな性格で、とても母性の強い人という印象を受けました。だから、どんなに暮らしがすさんでいても、孝蔵さんや家族に対する思いは大事にしたいな…と。そんなことを考えながら演じています。
池波さんご自身が、実際におりんさんのお孫さんなので、最初はものすごくプレッシャーを感じました。でも、まだ池波さんとはお会いしたことがないんです。撮影に入ったときは放送前で、どんなお芝居をされているのか分からなかったので、池波さんの若い頃の映画などを参考にさせていただきました。ただ、拝見してみたら、池波さんのお芝居にはものすごく品があって、色気もあって…。私がこんなふうにできるのかな…と心配になりましたが、撮影や演出の力を借りながら、頑張って演じているところです。
そう言っていただけると、とてもうれしいです。私自身、一番心配していたところでもあるので…。
おりんの登場場面は決して多くはなく、断片的です。普通のドラマであれば、物語に合わせて徐々に関係性を築いていくことができますが、今回は出てくるたびに何年もたっていることが多い。子どもが生まれたと思ったら、次の撮影では、もうその子どもが歩いていたり…。その分、現場でいろいろと積み上げていくことができないので、その間を埋めていくのが大変です。しかも、次の撮影まで数カ月空いたりするので、おりんという役を思い出すのも一苦労で…(笑)。だからこそ一つ一つ丁寧に演じていきたいと思っています。
森山さんのお芝居を間近に見て、そのそばで自分がお芝居できるのは、とても貴重な体験だと思いながら撮影に臨んでいます。森山さん自身はとても気さくな方ですし、どんなお芝居をしても全て受け止めてくださるので、ものすごく安心感があって…。関東大震災の最中、おりんが「私は身重なんだよ!」と強い調子で言い放つ芝居(第23回)なんかは、まさに森山さんとの掛け合いがあってこそ生まれたもの。ただその分、プレッシャーもあるので、毎回緊張しています。
魅力満載です(笑)。生命力や躍動感があって、目が離せません。これは森山さんにしか演じられないだろうな、と思わせるものがあります。孝蔵という役の魅力もありますが、大きいのはやはり、森山さんの魅力ではないでしょうか。こんなふうに演じられる役者さんは、なかなかいません。それはオンエアを見ていても、実際に面と向かってお芝居をしていても感じます。改めて本当にすごい役者さんだと思いました。
おりんさんは、本当に良くできた女房だな…と。台本を読んでも、実際に演じていても、つくづくそう思います。売れない頃から孝蔵さんを支え、“名人・志ん生”と呼ばれるまでにした上に、息子2人も名人に育て上げた。まさに“賢妻”です。今の時代、なかなかこんな女性はいません。憧れますが、孝蔵さんのメチャクチャな振る舞いを見ていると、私にはちょっとまねできそうにないな…と(笑)。でも、それだけ孝蔵さんのことを信じていたのかと思うと、やっぱりいい夫婦だったんでしょうね。
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