【インタビュー】「お気に召すまま」満島真之介、30歳を迎え「ここからが再デビュー。生まれ変わる」

2019年7月28日 / 12:00

-オーランド役の坂口さんの印象は?

 一度、映像で共演はしているのですが、舞台では初共演です。この作品は、坂口くんにとって新たな扉を開くための一歩なんだろうなと感じています。かわいい顔をしているだけではない坂口くんの姿が見られることを期待しています。本来の彼が持つ光や闇が見えてくると、さらに広がりのある作品になると思うんです。小手先でどうこうではなく、パーンと身も心もオープンにして、ここまでやっちゃいましたという姿を、ほほ笑ましく見ていたいです。僕は、坂口くん演じるオーランドの兄の役ですので、支えるというよりは、どれだけでもぶつかってこいという気持ちでいます。

-稽古場の雰囲気は?

 よく知っている方ばかりなのですが、舞台では初共演という方が多いという、不思議な空間です(笑)。実は、僕は朋子さんとひかりしか舞台では共演したことがないんですよ。なので、ほとんどの方が初めましてなんです。でも、熊林さんの作品に出演したことのある人たちが集まっていて、そこに新しい出会いが生まれています。それぞれがとても人間らしく、人生が体からにじみ出ている方々ばかり。それが存分に出てくると、とてもかわいらしく、愛くるしい舞台になると思います。ただ、この作品は、ジェンダーや男女の愛情、同性愛というテーマをオブラートに包まず、全部さらけ出すように描いているので、稽古場は独特です(笑)。とても書けないような隠語が飛び交っていて、みんなエロチックな言葉を当たり前に笑いながら要求されている。でも、それを真剣にやると美しく見えてくるから不思議。

-先ほど、本作が30歳になって初の作品とおっしゃっていましたが、役者としては今後、どのような目標を持っていますか。

 僕は、人=役者だと思っているので、スキルどうこうではなく、出会ってきた人や体験してきたこと、喜びも悲しみも苦しみも、全てが自分の財産になっていて、立っているだけで人生がにじみ出てくる人間になれたらいいなと思っています。どういう仕事をしたいかというよりも、人としてどんどん豊かになっていきたい。いろいろな世界を飛び回って、世界中の人たちとたくさんのことを共有したいし、日本でもいろいろな作品を作っていきたいと思っています。ですが、自分の身を削って馬車馬のように走るというよりも、日々のご飯や睡眠、歌ったり踊ったり、みんなとおしゃべりしている時間など、日々の生きているという実感を大切にしたい。豊かな日々を過ごしていくことで、周りを愛すことができるし、感謝できる。僕としてそこに生きていけると思うんです。きっと、そんな日々から、奇跡のような瞬間が訪れるんでしょうから。今回の作品はまさに、大切な日々を実感し、生まれ変わって飛び立つための滑走路。ここが再デビューです。

(取材・文・写真/嶋田真己)

舞台「お気に召すまま」

 舞台「お気に召すまま」は7月30日〜8月18日に東京芸術劇場プレイハウスほか、愛知県豊橋市、新潟市、兵庫、熊本市、北九州市で上演。東京の追加公演も決定。
公式サイト https://www.asyoulikeit.jp/

 

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