エンターテインメント・ウェブマガジン
シェークスピアの恋愛喜劇「お気に召すまま」が満島ひかり、坂口健太郎、満島真之介、温水洋一、中村蒼、中嶋朋子ら共演で上演される。演出を手掛けるのは、気鋭の演出家の一人である熊林弘高。一般的には牧歌的なユートピアと解釈されている物語の舞台“アーデンの森”を、人間のあらゆる性的欲望がうごめく暗闇と解釈し、物語が展開する。本作で、オリバー役を演じる満島に、作品への思いを聞いた。
この作品のお話は数年前に、直接、演出の熊林さんからお声掛け頂きました。熊林さんは僕が初めて舞台に立った作品の演出家さんで、今回が4回目。演劇の世界に生み落としてくれた方です。力になりたいという気持ちもありますし、30歳になって1本目の作品というとても素晴らしいタイミング。新たな関係が作れるんじゃないかという期待もあって、即決しました。それにプラスして、初めての舞台で恋人役をさせていただいた中嶋朋子さんもご一緒ですし、姉のひかりもいるので、いろいろな意味で、改めてこの作品で再デビューするんだなという思いがありました。
熊林さんはもっとコアな戯曲が好きな方だと思っていたので、シェークスピアをやるというのは驚きではありましたが、稽古を通してこの作品は“古典”ではないんだと感じています。特に今回の翻訳では、普遍的な男女の関係性や自分とは何なのかという、根本的であり、誰もが向き合わなければいけないテーマを描いています。情報があふれすぎて、本当の自分に向き合わなくても生きていけるようになってしまった今だからこそ、「どう生きていくのか、自分を周りをどう愛していけるのか」という問いがある。まさに、今やるべきこの作品で描かれていることは多くの人の心に響くと思います。
何よりも、同じ母から生まれた人と、この年になって、一つのゴールに向かって一緒に過ごせるということは幸せだし、とても恵まれていると感じます。大人になり、きょうだいと一緒に仕事をしているという人は少ないはずです。そんな中、毎日顔を合わせて、思ったことを存分に話し合うことができる関係性にあるのはとても素晴らしいこと。感謝しかありません。ただ、今回の作品では官能的なシーンも多いので、いつか家族会議が開かれるんじゃないかという危うさはありますが(笑)。
今はもうないですよ。以前に共演したときには感じたこともありましたが、キャリアの違いや男女の違いということも今はもう全て乗り越えて、個が個として立っているので、お互いにリスペクトし合えています。仲がいいという言葉よりも、もっと絶対的な関係性があると思います。僕たちは、役者になる前からずっと、同じ釜の飯を食べ、同じ屋根の下で眠り、笑い合って泣き合ってけんかしたりしながら今日まで来ました。だからこその、あうんの呼吸があるんです。お互いの出している空気だけで今、何を考えているのかが分かる。それが、舞台上で役柄を通して見えてくると、芝居以上の空気感が出るはず。とても楽しみです。
映画2025年12月5日
戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年12月4日
YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む
ドラマ2025年12月1日
WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。 主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む
ドラマ2025年12月1日
NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。これまで、いくどとなく視聴者を驚かせてきたが、第4 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年11月30日
今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む