【インタビュー】舞台「殺してもいい命」篠田麻里子、結婚で役柄への思いも変化「自分のことよりも人のことを思いやれる人間になった」

2019年6月14日 / 12:00

 映画・ドラマ化もされ、大ブームを巻き起こした秦建日子のベストセラー小説『刑事 雪平夏見シリーズ』。2018年2月にはテレビドラマ&映画『アンフェア』の原作となった推理小説の続編「アンフェアな月」が篠田麻里子主演で初舞台化された。そして、6月21日からは待望の舞台「アンフェアな月」第2弾~刑事 雪平夏見シリーズ~「殺してもいい命」が開幕する。前作に引き続き、雪平役を演じる篠田に作品への思いを聞いた。

雪平夏見役の篠田麻里子(メイク:奥川 哲也/スタイリスト:根岸 豪)

-続編が決まったときのお気持ちは?

 うれしかったです! 第1弾の千秋楽を迎えたときは達成感もありましたが、課題もたくさんあって、ぜひもう1回、雪平役に挑戦してみたいと思っていたので、今回のお話を頂いてまた頑張れる、やっとぶつかっていけるって思いました。

-どんなところが課題だったのでしょうか。

 刑事ドラマを舞台でやる難しさを目の当たりにしました。(前作は)映像だと見せられることが見せられず、伝わりにくかった部分もあったと思います。でも本作は、原作の小説を舞台用にアレンジしているので、演出的にも見やすいものになっていると思います。

-篠田さんが演じる雪平は、原作はもちろん、テレビドラマや映画でも絶大な人気を誇ったキャラクターです。それだけに、役作りは大変だったのではないですか。

 影響を受けないためにも、映像作品は見ないようにしていました(笑)。映像をご覧になっていた方には、「雪平夏見」のイメージができあがっていると思いますが、本作は秦さんが原作で描いた雪平夏見像なので、映像とはまた違った人物になっていると思います。安藤との関係性も映像作品とは違いますし、別の作品として楽しんでいただけると思います。

-では、今、篠田さんが考えている雪平はどういった人物像ですか。

 正義に向かって真っすぐに生きる女性。そういう女性は、社会的には生きづらいし、素直になれない部分もあると思いますが、誰に何を言われても自分の生き方を貫いているかっこいい女性だと思います。

-雪平と似ていると思うところはありますか。

 白か黒ではっきりしている性格です。最近はさすがに大人になったので、グレーも必要だと思えるようになりましたが(笑)。雪平はすごくはっきりしていて、衝動的で、大人のようで大人じゃない。本能で生きている人に見えるので、そこは似ているなって思います。

-本作の脚本を読んでどこに魅力を感じましたか。

 前作は、母性や母親、女性がテーマでしたが、本作は、刑事ドラマの面白さがよく出た物語になっていると思います。「刑事 雪平夏見シリーズ」の良さは、刑事ドラマの中にある人間模様や刑事の生活背景まで描かれていることだと思いますが、今回はそこも丁寧に描かれているので、前回とは違った面白さのある作品になると思います。それぞれの命についても考えてもらえたらうれしいです。

-安藤役の松田凌さんとは本作が初共演ということですが、どんな印象を持っていますか。

 超真面目な人(笑)。いろいろな方と共演していると、真面目な方にもたくさんお会いしますが、「超」がつくほど真面目な人ってあまりいないんですが…真面目ですね。それでいて素直。いろいろな人からお芝居についてアドバイスを受けると、とりあえず、言われたことは全部やってみようとする人なので、ああ、素直なんだなって思いました。一緒にやっていて楽ですし、それでいて「こういう案はどう?」って提案もしてくれるので、パートナーとして最高です。

-篠田さんはドラマや映画、CM、ラジオと幅広く活躍されていますが、「演じる」ことにどんな思いがありますか。

 演じるというよりも、一人の人間の人生を感じていくって考えるようにしています。今は、たくさんの作品に出演させていただいていますが、もともと自分の中では女優は苦手分野だったんです。でも、こういう人生ももしかしたらあったかもしれないし、こういう人間だったらこうなったかもしれないって考えられるようになって、考え方の幅が広がった気がして、今は面白くなってきました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

南沙良「人間関係に悩む人たちに寄り添えたら」井樫彩監督「南さんは陽彩役にぴったり」期待の新鋭2人が挑んだ鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』【インタビュー】

映画2025年7月4日

 第42 回吉川英治文学新人賞を受賞した武田綾乃の小説を原作にした鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』が、7月4日公開となる。浪費家の母(河井青葉)に代わってアルバイトで生活を支えながら、奨学金で大学に通う主人公・宮田陽彩が、過酷な境遇を受 … 続きを読む

紅ゆずる、歌舞伎町の女王役に意欲「女王としてのたたずまいや圧倒的な存在感を作っていけたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年7月4日

 2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。  物語の舞台は歌舞 … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】異領域を融合する舞台芸術、演出家イ・インボの挑戦

舞台・ミュージカル2025年7月3日

 グローバルな広がりを見せるKカルチャー。日韓国交正常化60周年を記念し、6月28日に大阪市内で上演された「職人の時間 光と風」は、数ある韓国公演の中でも異彩を放っていた。文化をただ“見せる”のではなく、伝統×現代、職人×芸人、工芸×舞台芸 … 続きを読む

毎熊克哉「桐島が最後に何で名乗ったのかも観客の皆さんが自由に想像してくれるんじゃないかと思いました」『「桐島です」』【インタビュー】 

映画2025年7月3日

 1970年代に起こった連続企業爆破事件の指名手配犯で、約半世紀におよぶ逃亡生活の末に病死した桐島聡の人生を、高橋伴明監督が映画化した『「桐島です」』が、7月4日から全国公開される。本作で主人公の桐島聡を演じた毎熊克哉に話を聞いた。 -桐島 … 続きを読む

磯村勇斗&堀田真由、ともにデビュー10年を迎え「挑戦の年になる」 ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」【インタビュー】

ドラマ2025年7月2日

 磯村勇斗主演、堀田真由、稲垣吾郎が出演するカンテレ・フジテレビ系“月10ドラマ”「僕達はまだその星の校則を知らない」が7月14日から放送スタートする。本作は、独特の感性を持つがゆえに何事にも臆病で不器用な主人公・白鳥健治(磯村勇斗)が、少 … 続きを読む

Willfriends

page top