【インタビュー】『ビジランテ』大森南朋「こういう映画はずっとあり続けてほしい」鈴木浩介「篠田麻里子さんからは母性の強さを感じました」桐谷健太「監督の中の“毒”みたいなものが映画になった」

2017年12月12日 / 15:55

 『22年目の告白-私が殺人犯です-』(17)の大ヒットも記憶に新しい入江悠監督が、自らのオリジナル脚本で挑んだ『ビジランテ』が12月9日から全国公開された。入江監督の地元・埼玉県深谷市でロケを行ない、父の死をきっかけに再会した一郎、二郎、三郎の三兄弟が運命に翻弄(ほんろう)されていく姿を、ハードなバイオレンス描写とともに描いた。三兄弟役でトリプル主演を務めた大森南朋、鈴木浩介、桐谷健太に撮影の舞台裏を聞いた。

(C) 2017「ビジランテ」製作委員会

-すさまじい熱量にあふれた映画でした。入江監督のオリジナル脚本ということですが、最初に台本を読んだときの感想はいかがでしたか。

大森 台本には描かれていない部分が多かったので、実際に現場に行ってみないと分からない、監督の頭の中にあることがたくさんあるんだろうなと思いました。とはいえ、こういうことがやりたいんだろうなという、入江監督の世界を読み取るきっかけにはなったような気がします。

鈴木 重いな…と思いましたね。

大森 楽しめました?

鈴木 楽しんで演じられるような役柄ではなかったので…(笑)。台本を読んだときは緊張しました。大変な撮影になるんじゃないかと、目に見えない重圧を感じて。でも、一郎や三郎を見たら、南朋さんはすごく大変そうだし、健太も大変なシーンがたくさんあるし、それに比べれば、俺はまだ二郎でよかったな…と(笑)。

桐谷 二郎は二郎で大変ですよ。

鈴木 そうですね。三者三様で大変な台本だなって…。

大森 誰にもなりたくないですし。

-桐谷さんはいかがでしょうか。

桐谷 監督はどうしてこういう話を書こうと思ったのか、知りたくなりました。監督が脚本を書くと、俺はすごく信頼感が増すんです。ただ、三郎をどう演じたらいいかは全然分からなかった。でも、撮影が始まるとき、三郎の格好をして深谷に立ってあの寒い風を受けた瞬間に、何かを感じたというか…。三郎はこういう歩き方するんだろうなと思ったんですよ。それは、この深谷の空気を知っている監督が書いたからで、それを知らない俺に分からないのは当たり前だなと。

-皆さん仲が良さそうですが、劇中では一郎に対して二郎と三郎が対立する形で兄弟らしさがよく出ています。現場はどんな雰囲気だったのでしょうか。

大森 現場は和気あいあいとしていました。

桐谷 3人一緒の時はよくしゃべりました。南朋さんとも浩介くんとも面識があった上での三郎役だったので、待ち時間は2人に甘えさせてもらいました。もともと仲の悪い兄弟ではなく、千切れてしまった絆がまた戻るのかどうか…という部分もあったので、そういう仲の良さが、三郎を演じる上で役立ちました。

-入江監督とは、役について現場でどんなお話をされましたか。

鈴木 僕はほとんど話していないです。健太がコミュニケーションを取っているのを見ている感じで(笑)。やり方は人それぞれですし、やってみて感じたことでしかできないから…。もっとこういうふうにやりたいんですけど…なんて話すと、逆にハードルが高くなる気がしますし。

大森 僕も演出の話みたいなものはあまりしなかったです。「この作品終わったら、次は何入るんですか?」「『サイタマノラッパー』です」「忙しいですね」みたいな世間話ばかりで(笑)。

-現場はずっと和やかな雰囲気だったのでしょうか。

大森 はい。ハードな話ですけど、過酷なシーンの時に緊張感が漂うぐらいで、特にピリピリした現場ではなかったです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】異領域を融合する舞台芸術、演出家イ・インボの挑戦

舞台・ミュージカル2025年7月3日

 グローバルな広がりを見せるKカルチャー。日韓国交正常化60周年を記念し、6月28日に大阪市内で上演された「職人の時間 光と風」は、数ある韓国公演の中でも異彩を放っていた。文化をただ“見せる”のではなく、伝統×現代、職人×芸人、工芸×舞台芸 … 続きを読む

毎熊克哉「桐島が最後に何で名乗ったのかも観客の皆さんが自由に想像してくれるんじゃないかと思いました」『「桐島です」』【インタビュー】 

映画2025年7月3日

 1970年代に起こった連続企業爆破事件の指名手配犯で、約半世紀におよぶ逃亡生活の末に病死した桐島聡の人生を、高橋伴明監督が映画化した『「桐島です」』が、7月4日から全国公開される。本作で主人公の桐島聡を演じた毎熊克哉に話を聞いた。 -桐島 … 続きを読む

磯村勇斗&堀田真由、ともにデビュー10年を迎え「挑戦の年になる」 ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」【インタビュー】

ドラマ2025年7月2日

 磯村勇斗主演、堀田真由、稲垣吾郎が出演するカンテレ・フジテレビ系“月10ドラマ”「僕達はまだその星の校則を知らない」が7月14日から放送スタートする。本作は、独特の感性を持つがゆえに何事にも臆病で不器用な主人公・白鳥健治(磯村勇斗)が、少 … 続きを読む

蓮佛美沙子&溝端淳平「カップルや夫婦が“愛の形”を見直すきっかけになれたら」 グアムで撮影した新ドラマ「私があなたといる理由」【インタビュー】

ドラマ2025年7月1日

 ドラマ「私があなたといる理由~グアムを訪れた3組の男女の1週間~」が、7月1日からテレ東系で放送がスタートする。本作は、グアムを訪れた世代が違う男女3組のとある1週間を描いた物語。30代の夫婦(蓮佛美沙子、溝端淳平)、20代の大学生カップ … 続きを読む

風間俊介「横浜流星くんと談笑する機会が増えてきたことがうれしい」蔦重と和解した鶴屋喜右衛門役への思い【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

ドラマ2025年6月29日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。6月29日放送の第25回「灰の雨降る日本橋」では、浅間山の噴火によっ … 続きを読む

Willfriends

page top