「『アシガール』で過酷な場所を走った経験があるので、まだまだ余裕で走れます(笑)」黒島結菜(村田富江)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年6月9日 / 20:50

-第22回、富江が素足で走ったことが問題になり、学校に押しかけた父兄に対して四三が「あなたたちのような理解のない人がいるから、女子スポーツが普及しないんだ」と訴える場面も熱かったですね。

 実はあの場面、泣いてしまったんです。勘九郎さんのお芝居に、ものすごく感動して。本番前のテストでは「先生、その通り!感動する」と思いながらも、普通に聞いていました。ところが、本番になったら勘九郎さんが、テストを遥かに上回る熱量でしゃべり始めて…。それを見ていたら、涙が止まらなくなり、思わず拍手までしてしまいました。それぐらい勘九郎さんのお芝居からは、うそのない真っすぐな気持ちが伝わってきました。こんなふうに、本番中であることを忘れるような経験は滅多にないので、そういう現場にいられたことが、とてもうれしかったです。

-日本の女子スポーツの黎明期に活躍した女性を演じてみて、改めて感じたことは?

 私自身、小さい頃からスポーツには慣れ親しんで、何の疑問も感じずにやってきました。でも、「女にとってはお嫁に行くことが一番。スポーツなんてとんでもない」という時代があった。そのことに、まず驚きました。今でこそ、世界中で男子と同じように女子もスポーツを楽しむようになり、マラソンではおへそを出して走ったりもしていますが、あの時代からは考えられないことだなと。もし、当時の人が現代にタイムスリップしてきたら、ものすごい衝撃を受けるでしょうね(笑)。そういう歴史があって、今につながっていると知ることができたのは、とてもよかったです。

(取材・文/井上健一)

村田富江役の黒島結菜(中央)

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

原田琥之佑「この映画は、何でもあるけど、何にもないみたいなところが一番の魅力だと思います」『海辺へ行く道』【インタビュー】

映画2025年8月26日

-同年代の共演者とはアドリブでやり取りをしたこともありましたか。  奏介がテルオたちと大きなオブジェを作るシーンがあって、映画のスピードはずっとゆっくりなのに、あのシーンだけ会話のスピードが速くなるんです。そこで結構アドリブを入れたんですけ … 続きを読む

上田竜也&橋本良亮、舞台初共演を通して「絆はより強固になる」 音楽劇「謎解きはディナーのあとで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年8月26日

-皆さんの歌唱シーンもあるのですか。 橋本 それはもちろん、ちょくちょくあります(笑)。歌います。アンサンブルの方と一緒に歌うシーンもありますが、ミュージカルではないんです。バックに流れていて、それに合わせて芝居していくという形だと思います … 続きを読む

青山貴洋監督「問診シーンが最大の課題に」日曜劇場『19番目のカルテ』【インタビュー】

ドラマ2025年8月25日

 また、原作から得た気付きも大きいという。「原作には、読者の感情を揺さぶる瞬間が描かれています。それがどこにあるのかを探りながら、ドラマにもそのエッセンスを取り入れるようにしています」。  原作の短編では、百々がさまざまな医療機関を受診して … 続きを読む

中園ミホ 連続テレビ小説「あんぱん」は「やなせたかしさんが書かせてくださった」執筆を終えた脚本家が物語を振り返る【インタビュー】

ドラマ2025年8月22日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、いよいよクライマックスが近づいてきた。このタ … 続きを読む

森田剛「戦争と背中合わせの世界であるということは今も変わらない」 19世紀を代表する未完の戯曲に挑む パルコ・プロデュース 2025「ヴォイツェック」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年8月22日

-本作は、19世紀を代表する未完の戯曲です。そうした作品を今、上演する面白さや魅力はどう感じていますか。  自分は与えられた役を生きることに集中したいと思います。ただ、今も昔も、みんなそれぞれに傷ついて、それを隠して生きていると思います。戦 … 続きを読む

Willfriends

page top