【インタビュー】「連続ドラマW 悪党 ~加害者追跡調査~」東出昌大「撮影は台本との戦いでした」瀬々敬久監督「東出くんのドキュメンタリーのような作品」

2019年5月11日 / 13:09

 少年時代、殺人事件で姉を失った過去を持つ元警官の探偵・佐伯修一。彼は、依頼に応じて社会復帰した犯罪加害者たちの現状を調査する中で葛藤を繰り返し、自らの心の傷と向き合うことになる…。薬丸岳の小説『悪党』を原作にしたサスペンス「連続ドラマW 悪党 ~加害者追跡調査~」が、5月12日からWOWOWで放送が開始される。主人公の佐伯を演じるのは、これが連続ドラマ初主演となる東出昌大。監督は『64-ロクヨン-(前編/後編)』(16)、『友罪』(18)の瀬々敬久。『菊とギロチン』(18)に続いて2度目の顔合わせとなる2人が、撮影の舞台裏を語ってくれた。

東出昌大(左)と瀬々敬久監督

-脚本を読んだときの印象をお聞かせください。

東出 「ハードボイルドな作品」というのが台本を読んだときの印象でした。ただ、監督とお話ししたら、「あまりハードボイルドにはしたくない。佐伯は復讐(ふくしゅう)の鬼だが、日常も出していきたい」とおっしゃっていたんです。単にハードボイルドなだけなら、見えを切るような芝居をすれば、それらしいキャラクターとして見せることはできます。でも、それでは瀬々監督とやる意味がない。だから、撮影は台本との戦いでした。

瀬々 原作を基に、鈴木謙一さんと一緒に脚本を作っていきましたが、佐伯がさまざまな人と会う中で、次第に事件の真相が見えてくる、というのが物語の基本的な構造です。どうしてもせりふで説明しなければならないことが多かったので、そのあたりが難しいな…と初めは思っていました。でも、撮影が終わった今は、東出くんをはじめとする俳優たちの力もあり、登場人物それぞれのエモーションが渦巻いている作品になったな…と。期待以上の手応えを感じています。

-東出さんはこれが連続ドラマ初主演になりますが、お気持ちは?

東出 打ち上げの席で「初主演」と言われて「そうだったんだ」と思ったぐらいで、そういう気負いは一切なかったです。僕にとっては、「瀬々監督と一緒にやれる」ということが一番でした。

-撮影現場の様子は?

瀬々 撮影の面白さは、「現場に行かないと何が起こるか分からない」というところにあります。だから、演技について細かい指示はせず、東出くんの自由な演技をカメラで撮る、という方針で臨みました。結果的に、全6話の作品に東出くんが俳優としてどう挑んでいくか、というドキュメンタリー的な要素が濃厚に出た作品になったのではないかと。とても刺激的でした。

東出 俳優を信じて、「行ってこい」と大海原に投げ出すように背中を押してくださるあたりは、瀬々監督らしいですよね(笑)。もちろん、せりふはすべて覚えていましたが、瀬々監督が「気持ちが乗るように、せりふを変えてもいい」という姿勢でいてくれたので、途中からは台本を忘れて臨むようになりました。「台本は週刊誌だと思え」。これは若松孝二監督の言葉だそうですが、今回の現場ではこの言葉ついて、深く考えさせられました。でも、楽しかったです。

-瀬々監督から見た俳優・東出昌大の魅力は?

瀬々 何と言っても、他者との“コール&レスポンス”がすごい。共演者の芝居を受けて、投げ返す。そうすると、相手も輝くし、東出くん自身も輝く。大きなうねりがあるわけではないのに、ただ向き合っているだけで、感情と感情が積み重なり、どんどん高みに上っていく…。その化学反応がすごいなと。将棋の羽生善治さんを演じた『聖の青春』(16)がいい例ですが、今回もそういう見事な化学反応を何度も見せてくれました。

-東出さんは、演じる上でどんなことを心掛けましたか。

東出 僕は、何かを表現をしようとするよりも、“表現しない”ことの方が魅力的だと考えています。自分もそうありたいと思っていますが、どうしても雑念が生じ、「もっとこうした方がよく見えるのではないか」と考えてしまうことが多い。ただ今回は、『菊とギロチン』で一緒だった寛一郎を始め、多くの方が「何もしない」芝居を見せてくれました。そういう皆さんの力を借りて、探偵・佐伯として存在することができたのではないかと。撮影前半、瀬々監督が冗談交じりに「受け芝居が続くな」とおっしゃっていましたが、その通りだと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】世界が揺らぐとき、人間は何をするのか…『DIGGER/ディガー』『ディスクロージャー・デイ』

映画2026年10月20日

『DIGGER/ディガー』(10月9日公開)  石油採掘会社のCEOとして君臨するディガー・ロックウェル(トム・クルーズ)の、利益しか考えない強欲な行動によって氷河に亀裂が生じ、地球規模の環境災害が発生する。コンプソン大統領(ジョン・グッド … 続きを読む

堂本光一演出「百鬼夜鏡」、「期待を超える作品を作っていけたら」川﨑皇輝×内村颯太×元木湧×北川拓実×安嶋秀生×松尾龍【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月20日

 堂本光一が構成・演出を務める舞台、EX THEATER ARIAKE OPENING LINEUP「百鬼夜鏡」が、11月3日からEXシアター有明で上演される。本作は、 “人ならざる力”を持ち、恐怖や災いを象徴する鬼と、室町時代にタイムスリ … 続きを読む

芦田愛菜、努力を続けるコツは「一度に大きく飛躍しようと頑張り過ぎない」【インタビュー】

ドラマ2026年10月19日

 芦田愛菜が主演するドラマ「南田南弁護士は天才肌」(カンテレ・フジテレビ系)が、10月19日22時からスタートする。世界的にヒットした韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を日本版にリメイクした本作は、自閉スペクトラム症(ASD)の新人弁護 … 続きを読む

ドラマ「LOST10」脚本・奥寺佐渡子×監督・塚原あゆ子 横浜流星と小栗旬が演じるバディの魅力と制作の舞台裏を語る【インタビュー】

ドラマ2026年10月16日

 横浜流星が主演する金曜ドラマ「LOST10」が、16日22時からTBS系でスタートする。大河ドラマ以来の民放連続ドラマ出演となる横浜が、映画『国宝』の脚本家・奥寺佐渡子と再タッグ。「Nのために」「最愛」などを手掛けた塚原あゆ子監督、新井順 … 続きを読む

磯村勇斗「吉田監督の世界に入れることが楽しみでした」吉田恵輔監督「磯村くんは思考が自分に近い」初顔合わせの舞台裏『mentor』【インタビュー】

映画2026年10月15日

 かつて、花火遊びをきっかけにアパートを全焼させてしまった2人の少年、龍之介(磯村勇斗)と拓海(末澤誠也)が15年ぶりに再会。さらに、その火事で大火傷を負い、妻子を失った被害者・埜本(綾野剛)と交流する中で、2人は運命を狂わせていく…。   … 続きを読む

page top