【インタビュー】『愛がなんだ』岸井ゆきの「『この役を逃したら駄目だ!』と思いました」今泉力哉監督「テルコ役は『ぜひ岸井さんで』とお願いしました」

2019年4月18日 / 12:00

-そういう意味では、岸井さんもやりやすかったですか。

岸井 やりやすかったです。一緒に悩むという体験も、すごく面白かった(笑)。

今泉 他の監督は悩まない?

岸井 普通は悩んだときでも「僕はこう思うんだけど」となるんですけど、今泉さんの場合は「ちょっと分からないんだよね。1回やってみてくれる?」と。そういうふうに言われたことは、あまりないので(笑)。

今泉 あ、そうか…(笑)。お芝居に限らず、「これは嫌」というものはあるんですが、逆に「絶対こうしてほしい」というものがあまりなくて。そうしてしまうと、できることが限られてくるので、それが怖いんですよね。それより、役者さん同士の方が分かることもあるだろうと。例えば、マモルがテルコの家に来て残酷な告白をする終盤の場面。マモルはテルコの真横に座りますが、僕だったら、あの位置には絶対に座らせません。残酷な告白をしに来ているときに、その距離はあり得ない。だから、「どこ座ります?」と聞いたとき、成田さんが「ここですかね」と近くに座ったのを見て、「マジか?」と。

-その成田さんの選択に納得できましたか。

今泉 遠くに座るとテルコの顔を見なければいけないけど、真横なら視線を外してしゃべることができるんです。それが分かったので、「ああ、そうか…」と。そういう意味で、僕が頭で考えるより、やっぱりそのとき、テルコやマモルになっている役者さんに聞いた方がいい。だから、2人の距離感とか感情に関しては、頼れる部分は頼っていました。

岸井 そう言ってくださると、私も「じゃあ、一緒に考えましょう」と思うことができるので。面白かったです(笑)。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)2019映画「愛がなんだ」製作委員会

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ジェイソン・ステイサム ~絶滅危惧種のアクションスター~

映画2025年12月31日

筋肉系スターの最後の生き残り  そう考えると、『エクスペンダブルズ』シリーズの現役の傭兵役というのは、ステイサムにとってはむしろ異色と言っていい。多彩な個性や国籍の寄せ集めチームという設定のおかげで、彼のナチュラルな魅力もしっかり際立ってい … 続きを読む

寺西拓人 声優初挑戦は「とても刺激的で楽しい経験でした」 「マクロス」、「アクエリオン」シリーズの河森正治監督の長編アニメーションに出演『迷宮のしおり』【インタビュー】

映画2025年12月30日

-どんな点が楽しかったのでしょうか。  舞台や実写作品の場合、役を演じていても、どこか自分が残っているんです。でも、アニメーションは外見が自分と全く異なるので、より強い没入感が味わえて。それがすごく楽しかったです。 -そういう意味では、主人 … 続きを読む

織山尚大、芸能活動10周年を迎え「今のこの年齢で演じる意味がある」 舞台「エクウス」で3年ぶりの主演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月29日

 映画『うちの弟どもがすみません』やドラマ『リベンジ・スパイ』など、数々の映画やドラマ、舞台で活躍する織山尚大の3年ぶりの主演舞台となる「エクウス」が1月29日から上演される。本作は、実際に起きた事件を基に描かれた、ピーター・シェーファーに … 続きを読む

【映画コラム】「2025年映画ベストテン」

映画2025年12月28日

【日本映画】  邦画界は、今年も『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』『チェンソーマン レゼ篇』『名探偵コナン 隻眼の残像』など、アニメーション作品が興行成績の上位を占めたが、実写映画でも大ヒット作が生まれた。歌舞伎を題材とした … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 ▽家族を世話する母    ムン・ソリは、「クイーンメーカー」(23年)や「私たちの人生レース」(同)のように、女性の主体性や自分らしさを打ち出す役を担い、エンパワーメントの姿を体現してきた。だが「おつかれさま」では、“肩書きのない母”を真 … 続きを読む

Willfriends

page top